佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑫:公正性・安全性・市民還元のための最低限要求

(前回:佐倉ふるさと広場拡張整備計画を問う⑪:計画は立ち止まる必要がある

ここまで検証してきたとおり、佐倉ふるさと広場拡張整備計画は、経済性・安全性・民主性・政策整合性のいずれにおいても、公共事業として必要な検証を欠いたまま進められている。

その意味で、以下に示すのは「反対条件」ではない。

この計画を公共事業として成立させるための最低限の条件である。

これらが満たされない限り、本事業は「観光政策」ではなく、将来世代に負債を残す統治リスク案件であり続ける。

① ふるさと広場の来場者数および周辺環境に関する綿密な事前調査と公表

本事業の是非を判断するための最低限の前提として、佐倉市は以下の調査を実施し、その結果を市民に全面的に公開すべきである。

【現状の来場者数の実態把握】

  • 計測方法、計測地点、計測期間、抽出方法(無作為かイベント時を含むか)の明確化
  • 第三者検証または外部監査の有無の明示

【拡張後47万人の算定根拠の詳細開示】

  • 想定ターゲット別の来場者内訳
  • 使用したデータ、前提条件、算定式の公開
  • 類似施設との比較根拠の提示

【周辺道路および生活環境への影響調査】

  • 県道64号を含む主要アクセス道路の実測交通量調査
  • 過去の事故データの整理・分析
  • 来場増加に伴う渋滞・事故・騒音・ごみ等の影響予測

【リスク評価の公表】

  • 想定される負の外部性(交通安全、生活環境、周辺住民負担)の整理
  • それに対する対策の方向性と概算費用の提示

これらの調査なくして、20億円規模の公共投資の可否を判断することはできない。

調査結果は、専門家のみならず一般市民が検証可能な形で公表されなければならない。

② 交通・生活インフラの事前整備計画(段階的精緻化型)

①の調査結果を踏まえ、佐倉市は来場増加が見込まれる地域の交通・生活インフラについて、現時点で合理的に可能な範囲での具体的な整備方針を示し、段階的に精緻化していく計画を明らかにすべきである。

とくに、以下の観点について、検討の内容と方向性を市民に説明する必要がある。

【主要アクセス道路の改良方針】

  • 想定交通量を踏まえた車線構成の見直しの可否
  • 右折レーン、交差点改良、信号制御の改善余地の検討
  • 駐車場動線と周辺道路の分離に向けた設計の考え方

【歩行者の安全確保に向けた考え方】

  • 歩道の拡幅・連続性確保の可能性の検討
  • 横断歩道・信号機・照明の設置に関する優先順位
  • 観光客と生活動線の分離(通学路・生活道路の保護)の方針

【渋滞および通過交通への対策の検討】

  • ピーク時の交通需要マネジメント(TDM)の導入可能性
  • 迂回路誘導・交通規制の選択肢の整理
  • 生活道路への流入を抑制する物理的・制度的措置の検討

【生活環境への影響管理の枠組み】

  • ごみ・騒音・違法駐車への管理体制の設計
  • 苦情対応の窓口と運用ルールの整備
  • 必要な人員配置および予算措置の検討

【緊急時対応とリスク管理の基本方針】

  • 事故・災害時の動線確保の考え方
  • 救急車両・消防車両のアクセス確保の担保
  • 臨時的な来場集中時の運用計画の検討

重要なのは、問題が生じてから対応するのではなく、起こり得るリスクをあらかじめ認識し、段階的に改善していく仕組みを組み込むことである。

これらの整備方針は、事業開始前に一定の方向性を示したうえで、実運用を通じて継続的に見直し・修正されるべきである。

③ マーケティング設計の明示(段階的精緻化型)

①の調査結果を踏まえ、佐倉市は本事業が「観光政策」として何を目指すのかを、具体的なマーケティング設計として明示すべきである。

とくに、以下の事項について、現時点での方針と今後の精緻化の道筋を市民に説明する必要がある。

【主要ターゲットの具体像の設定】

  • 「市内・近隣」「都心」「インバウンド」それぞれの位置づけ
  • 各ターゲットのペルソナ化と来訪目的・行動特性の整理

【来訪動線・消費動線の設計】

  • ふるさと広場内での回遊設計
  • 周辺観光資源(印旛沼、水辺、歴史資源等)との接続
  • 市内事業者(飲食・小売・宿泊等)への誘導経路の明確化

【市内経済への還元構造の可視化】

  • 地元農産物の優先活用の方針
  • 市内事業者の参画ルールの検討
  • 雇用の地域還元に関する基本的な考え方

【経済効果の試算と検証指標(KPI)の設定】

  • 来場者数、消費額、滞在時間、再訪率などの主要指標
  • 目標値の設定と測定方法の明示
  • 未達時の改善プロセスの整理

重要なのは、これらを一度で完成させることではなく、調査結果と実運用を踏まえて段階的に精緻化していくことである。

その過程と判断根拠は、可能な限り公開されるべきである。

④ 市民参加の制度化(期間限定型)

市民参加は「説明会」ではない。市民が計画修正に実質的に関与できる仕組みが必要である。

そのために、

  • 市民協議会の設置(任期制・期間限定)
  • 会議の原則公開
  • 議事要旨・検討資料・意思決定過程の体系的公開

といった制度的担保が不可欠である。

政策形成過程そのものを市民に開くことが、信頼の前提となる。

⑤ 公正性・透明性の担保

公共事業において最も市民の信頼を損なうのは、意思決定の過程が見えないことである。

したがって、

  • 事業者選定の全過程の公開
  • 関係者間の金銭的・人的・組織的利害関係の整理・公開
  • 契約条件および評価基準の全文公開

は、最低限守られるべきルールである。

透明性は、公共事業の「コスト」ではなく「前提」である。

⑥ 事後評価と是正メカニズム

事業は「始めたら終わり」ではない。

  • 年次評価報告の義務化
  • KPI未達時の改善義務
  • KPI未達等の重大な逸脱時に、計画の見直し・是正・中止を可能にする条項

これらを制度として組み込まなければならない。

これがなければ、本事業は「失敗しても止められない構造」を温存したままとなる。

市民として、いま求めるべきもの

以上の条件は、決して過剰な要求ではない。むしろ、これらが欠けたまま進む公共事業のほうが、はるかに異常である。

この要求リストが満たされない限り、佐倉ふるさと広場拡張整備計画は、市民の誇りにも、地域経済の基盤にもなり得ない。

それどころか、佐倉市の統治能力そのものを問われる案件であり続ける。