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先日解散したと思ったら、もう衆院選投票日まで1週間を切りましたね。
今回の衆院選では、序盤から新聞、通信社の情勢報道で自民党の勝利が予想されていました。2月1日夜には、定評のある朝日新聞の選挙情勢が報道され、マス・メディアの予測は与党もしくは自民党単独で衆院過半数を制するという見方で一致しました。
各社の自民党の予想議席数の数字には驚かされたと思いますが、その数字の背景については各社ともあまり踏み込んで議論や分析を行っていないように思います。そこで今回は、報じられた数字や分析を確認しながら、自民党圧勝という予想がどのような背景で生じているのか考察していきたいと思います。
自民党比例区得票率の予測値は岸田内閣の衆院選と同水準
まず自民党に対する支持率がどの程度回復しているのかを確認してみます。各社世論調査で解散後に自民党の支持率が回復したことが伝えられていますが、選挙を考える上でよりよい指標として、情勢報道の比例区での自民党の獲得議席を使うことができます。
朝日新聞の情勢報道では、比例区での自民党獲得議席の中心値は72議席としています。これは、岸田内閣発足直後に行われた2021年衆院選での自民党の獲得議席と同じです。この選挙で自民党の比例区得票率は34.7%でした。
この当時より現在は多党化しているためにドント式の作用で配分が大政党有利になることや、「比例は公明」の返却分※1)を勘案すれば、32~33%といったあたりが自公連立時代の自民党比例区得票率と比較できる数字になるでしょうか。これは、だいたい第2次安倍政権下の2014年、17年衆院選と同じくらいの支持率を背景とした予想得票率、予想議席数と言えます。なお、朝日新聞の情勢調査によると、無党派層の比例区での自民党投票割合は前回衆院選と変わらないようです。
こうして見ると、高市内閣下での自民党支持率は低迷していましたが、解散後に一定程度回復して第2次安倍政権くらいには戦える数字になったと想定することができます。ただしその予想得票率の水準は、内閣支持率の高さから来る印象や、今回衆院選の「圧勝」予想から得られる印象に比較すると、かなり低いものと言えます。
投票率が5割程度と仮定した場合、自民党の絶対得票率(有権者数に占める自民党への投票者数)は17%程度、つまり比例区で高市自民党に投票するのは6人に1人程度に過ぎないことになります。
公明票離反でも小選挙区を圧勝?
しかし、そうだとすれば小選挙区での自民党の予想獲得議席数は過大に感じられます。比例72議席の2021年衆院選で自民党は、小選挙区で189議席を獲得しました。今回の朝日新聞の情勢報道では、小選挙区での自民党の獲得議席の中心値は220とされています。
そして、岸田内閣のときは公明党の支援がありましたが、今回はそれがありません。図表1は、以前のニュースレターで示した、公明票の離反(自民党から対抗野党候補に票が移動)が自民党の獲得議席数に与える影響幅のシミュレーション結果です。この図には2021年衆院選の結果を元にした試算も示しています。公明票の離反割合を5割とした場合、自民党は122議席の獲得にとどまる結果となります※2)。
※1)次の分析記事によると、2025年参院選比例区で公明党に投票した回答者のうち18%が今回自民党に投票すると回答している。同選挙の公明党比例区得票率は8.8%であることから、返却分は1.6%弱と推計される。「中道改革連合、なぜ苦戦? 国民候補と共倒れの情勢も 朝日調査」『朝日新聞』2026年2月1日配信
※2)前掲記事によれば、参院比例区での公明党投票者のうち55%が中道改革連合の候補に投票するとし、29%が自民党に投票するとしている。中道改革連合は全選挙区に候補を擁立していないため、中道擁立区における参院比例区公明党投票者の中道候補への投票意向割合は75%程度と推測される。ここから中道擁立区における同層の自民党投票意向割合を2割程度と置き、以前の比例区公明党投票層の自民党投票割合が7割程度だったとすれば、離反割合は5割程度となる。
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以降、『菅原琢の政治分析』にて(無料登録で続きを読めます)。
編集部より:この記事は政治学者の菅原琢氏のニュースレター『菅原琢の政治分析』2026年2月2日の記事を転載させていただきました。






