電通グループが過去最大規模の赤字に陥り、トップ交代と再建策を同時に打ち出す異例の局面に入った。海外買収戦略の後遺症が一気に表面化し、国内好調との対比が鮮明になっている。さらに配当ゼロの影響は広告業界にとどまらず、電通株の配当収入を経営の支えとしてきた報道機関にも波及し始めている。
【参照リンク】電通Gが過去最大の赤字、次期社長は佐野傑氏に 海外事業不振で損失 日経新聞
- 2025年12月期の連結最終損益は前期1921億円の赤字からさらに1000億円以上悪化する見通しで過去最大の赤字となる公算が大きく、会社予想529億円赤字を大幅に下回る結果となる。
- 主因は海外事業の買収で計上したのれんの巨額減損で、9月末までに800億円超に加え追加で数千億円規模が発生、2013年の英イージス買収(約4000億円)以降150社超のM&Aの累積負担が顕在化した。
- 競争激化と海外事業の低収益が続き19年以降ほぼ毎年減損を計上、堅調な国内広告・コンサル事業とは対照的に海外事業が最大の経営課題となっていた。
- 配当は初のゼロ配とし財務面での防衛を優先し、自己資本5942億円・自己資本比率19%も赤字で悪化する見込み。
- 新経営陣は海外3400人削減や不採算事業見直し、資産売却など構造改革を進める方針で、今回の減損処理により将来の減損リスク自体は縮小する見通し。
- 銀座ビル売却益約300億円や好調な国内事業のだけでは損失は補填できず、さらなる本業の収益力改善が不可欠とみられる。
- 電通株の配当収入を経営補填に活用してきた時事通信・共同通信は赤字を補填する原資を失い、経営悪化に直面して人員削減などのリストラを進めている状況となっており、広告会社の業績が報道機関の経営に直結する構造が浮き彫りになった。
参照:【内部資料入手】時事通信で若手・中堅社員の流出止まらず、再雇用頼みで現場混迷…データで分かったいびつな「砂時計型」年齢構成の惨状 ダイヤモンドオンライン
今回の巨額赤字は海外拡張路線の総括であると同時に、日本の広告・メディア産業の相互依存構造を露呈させた。減損処理で将来リスクは軽減されるが、海外収益力の立て直しに加え、配当に依存してきた周辺メディアの経営モデルも転換を迫られている。電通問題は一企業の決算を超え、メディア産業全体の構造変化を象徴する出来事になりつつある。

電通本社 同社HPより






