黒坂岳央です。
「ゴールドカードは年収が低い人が見栄で持っているだけ」
という意見をよく見る。NTTドコモの調査によれば、ゴールドカード保有者の年収分布は
年収
400万未満:62.8%
600万未満:17.2%
800万未満:9.5%
1000万以上:10.5%
となっており、ホルダーの半分以上が年収400万未満となっている。このデータがSNSで出回ったことで、この発言がバズるきっかけとなったのだ。
ゴールドカードを含めて、複数枚クレカを保有する筆者の立場からすると「ゴールドカードは見栄で持つ人より、実利で求める人が多い」と見ている。その根拠を述べたい。

eli_asenova/iStock
カードがステータスの時代ではない
まず、ゴールドカードが“ステータス”であった昭和や平成は終わった。
かつてのゴールドは、一定以上の年収・職業・信用が求められ、持てる人が限られていた。また、今と違ってカードがスマホの中に入る(Apple Payなど)時代ではなかったので、お会計時にゴールドカードを出せば「おお」
と歓声が上がる時代がたしかにあったのだ。
しかし現在は、年会費無料条件や年間決済額の条件達成によるアップグレード、インビテーションの大量発行などにより、ゴールドは誰にでも手が届きやすい存在になっている。つまり、ゴールドカードはもはや上位層の証明ではないのだ。なんならプラチナカードですらかなり手が届きやすくなっている。
実体験として筆者は今年、あるプラチナカードを申込した際、あっという間に即時発行されたので「こういう高級カードは何日もかけて入念な審査をするものでは?」と感じて驚いてしまった。
全く自慢のつもりはない。むしろ、通るかどうかドキドキしていたくらいだったのだ。それが拍子抜けするほどあっさり通ったので「高級カードは乱発されている」という印象を肌感覚で得ることになった。
加えて今の時代、スマホ決済が増えたことで、人前でカードを見せる場面も減ったのではないだろうか。筆者は基本的にクレジットカード決済はほぼすべてApple Payか、オンライン決済で使用している。また家族以外と外食に行く機会もあまりないので、人前でカードを見せる場面は皆無である。
令和はもう、クレジットカードでステータス自慢をする時代ではないのだ。今どきやっている人はかなり感覚が古いか、承認欲求強めの人たちと言えるだろう。
本人はカッコいいと思っていても、周囲でクレカに詳しい人が見れば「マイル目的の決済修行?」くらいにしか思わない。前述の通り、特別な人だけが持てるカードではないからだ。
ゴールドカードはボーナス特典狙い
筆者は人前でクレカを見せることはないといった。だが、そんな自分もゴールドやプラチナカードはいくつも持っている。それは見栄とは異なる動機のためだ。それがここから話す「ボーナス特典」である。
実際、今のゴールドカードは「見栄の道具」というより「特典を回収するサブスク」に近い。年間利用ボーナス、空港ラウンジ、旅行保険、無料宿泊、レストラン優待など、年会費以上の価値を引き出せる設計になっているカードは多い。
特に筆者のように頻繁に旅行や出張にいって、飛行機、ホテルをよく使う立場の人はゴールドカードは見栄とは無関係に経済的合理性がある。
たとえばアメックスゴールドプリファードカードというゴールドカードは、年間200万円決済をすると1泊無料宿泊券がもらえる。また、エポスゴールドカードは100万円決済するとボーナスポイント付与され、ポイントは積立投資に使える。その他に本来有料の空港ラウンジが無料で利用できてしまう。
極めつけがマイルだ。クレカで貯めたポイントを特典航空券として利用すると、1ポイント5円、いや時に10円くらいのとんでもない価値に引き上げることだってあり得る(海外航空券を取得するのはかなりの競争に勝つ必要があるが)。
今の時代、ゴールドカードを持っている人は見栄というより、ボーナス特典やマイル目的で持っていることの方が多いと自分は見ている。
年収400万円未満でもゴールドカードはメリット
「しかし、年収400万円未満だと可処分所得が少ないのでゴールドカードを持つメリットはないのでは?」と思われるかもしれない。だが、生活費をすべてカード決済に寄せれば年間100万円は十分に達成可能である。
家賃、光熱費、通信費、保険料、食費、日用品、教育費など、固定費をカード払いに集約すれば、むしろ「年収は高くないが決済額は大きい」という状態が起こり得る。
また、共働き世帯で決済を片方に寄せているケースや、個人事業主で経費決済があるケース。さらに投資の積立にカード決済をしているなら、ボーナス特典を得るための決済額に到達することは現実的だ。
◇
ゴールドカードの世界は、「コスパ勢」と「見栄勢」が入り組んだ混合市場なのである。さらに見栄で持っている人ほどSNSで嬉々として自慢をする。「ゴールドにした」「プラチナにした」「ステータスが上がった」と。
つまり、外から可視化されるのは静かに経済的メリットを楽しむ層ではなく、見栄を張る層になりやすい。結果として「ゴールドカード=痛い人」という印象が作られてしまうのだ。
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