どうやら注目のトランプ関税に関する最高裁の判断が近々下されるような気配になってきました。裁判ですからどのような判断が下るのか、予断を許さないのですが、これまでのやり取りを読み取る限り、トランプ氏の関税政策は強引であり、論理的根拠希薄というニュアンスが強いように感じます。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより
とすればトランプ氏の敗訴の可能性はあるのですが、その敗訴の判断も単なる勝ち負けではなく、どのような具体性を持った判断になるのか、そしてその影響はどうなるか気になるところです。
私が考える判決のパタンを思いつくまま、上げてみたいと思います。
- 勝訴 これはお咎めなしなのでトランプ氏が今後さらにこのスキームを活用することが見込まれ、7月に再交渉のカナダ、アメリカ、メキシコの貿易協定であるUSMCAには暗雲となります。
- 敗訴その1 トランプ氏の行為は権限を逸脱しているが、ペナルティはなく、今後、それを修正せよ、との判断。日本の一票の格差問題の様な判断でこのケースがないとは言えません。というのはトランプ氏はこれが負ければ大混乱に陥ると述べているので最高裁の判断が混乱を避けるということもあります。
- 敗訴その2 直ちに関税を撤廃し、既に多数の裁判が起きている原告である企業側への対応を速やかに実行し、収めた関税を還付せよという判断。この確率は一番あり得ると思います。
- 敗訴その3 直ちに関税を撤廃し、原告である多数の企業側のみならず、納税したであろうすべての企業に自動的に返金するというシナリオもあり得ます。この場合、事務工数が膨大となり、大変な労力になるでしょう。
多分、上記4つのシナリオをベースに様々な派生を含めた判断の可能性が起こりえるとみています。判断は早ければ2月20日で、仮になくてもさほど遠くない時期になりそうです。
では日本がアメリカ向け投資第一弾として決めた案件は何だったのか、という話も当然出てくるかもしれません。もともとは関税交渉を進める中でアメリカから一定の譲歩を引き出した見返りで84兆円もの投資をするわけです。もしもこの関税裁判で敗訴になれば「この投資ってまだ必要なの?」という話になるでしょう。
今般、その第一弾として3つのプロジェクトで総額5.5兆円規模が決まりました。この決定は関税がどうなろうが覆ることはないと思います。既に双方が合意している内容ですから「やっぱりやめます」という話にはならないでしょう。ただし、第2弾、第3弾となるとそれは時期不明になるかもしれません。
そもそもアメリカへの投資もなかなか難しいのでしょう。今回の投資も正直、かなり地味な案件で、探しに探してようやく決めた、という感じが見て取れます。韓国も同様のコミットメントをしていますが、いまだに決められず、トランプ氏から関税を元に戻す、と脅されています。韓国のようなマネーと共に人もついてくるようなやり方はアメリカは好みません。少し前にアメリカの韓国系工場の建設現場から大量の不法労働者が強制送還されたようなハンナンスタイルはずっと変わらないわけで、あの国は純粋な投資には不慣れなのであります。
最後に株価とドル相場への影響です。まずドル相場ですが、弱含みとなる可能性は高いのですが、為替だけは一筋縄に行かないので断言は避けます。円は強含みになると思います。特にアメリカはこの関税収入を原資とした減税を行っているのでそのシナリオが崩れれば債務上限問題が再び、俎上に上がることになります。
株価はプラスに反応だと思います。特に消費関連には陽が差すわけで消費の回復も期待できます。物価は上昇気味になるので利下げが遠のくというシナリオも描けるのかもしれません。
いずれにせよ、近日中に出るであろう最高裁の判断は極めてインパクトが高いので要注目だと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年2月19日の記事より転載させていただきました。






