さて話題になった陸自幹部の中国大使館突撃事件です。
事件後官房長官が「遺憾の意」を示しただけで今朝まで防衛大臣も統幕長も陸幕長もこの件に関する緊急会見を行いませんでした。その間小泉大臣はのんきにどうでもいい話をX投稿をし続けてきました。
これは自国の公務員、しかも「軍隊」の将校があろうことか、他国の在外公館に武装して侵入したという由々しき問題です。これは直ちに最高指揮官でもある高市総理、そして小泉防衛大臣、以下統幕長、陸幕長が中国政府と大使館に対して謝罪を行うべき次案です。
ところが今に至るまでそのような謝罪を行ったという発表はありません。

中華人民共和国駐日本国大使館 Wikipediaより
事件の起きたのが24日の午前9時であり、その間防衛省では臨時の会見すら行われなかった。今日の会見は定例会見です。なんとものんきです。
1点目が、自衛官が在京中国大使館の敷地内に侵入し逮捕された事案についてです。3月24日、陸上自衛隊えびの駐屯地に所属する陸上自衛官が、在京中国大使館の敷地内に侵入し、建造物侵入の容疑で逮捕されました。実力組織である自衛隊において、規律の維持は大変重要です。法と規律を遵守すべき自衛官が、在京中国大使館の敷地内に侵入し、建造物侵入の容疑で逮捕されたことは、誠に遺憾です。なお、公館警備については、警察において、関連施設の警戒警備の徹底の指示をするなど、所要の警備強化の措置を講じているものと承知しています。今回の事案については、現在、捜査機関による捜査が行われており、防衛省としては、これに全面的に協力しています。また、防衛省としても事実関係が明らかになり次第、厳正に対処してまいります。
大臣の発言は「誠に遺憾」です。植木等の歌ですかい?
AIで検索する以下の通りです。
「遺憾に存じます(いかんにぞんじます)」は、昭和41年(1966年)頃から国会答弁や政治家の会見で頻繁に使われるようになった、不祥事や残念な出来事に対して使われる定番の役人・政治用語です。単なる謝罪ではなく、「残念だ」「思い通りにいかない」という心境をフォーマルに表明する言葉であり、玉虫色の表現とも評されます。
これは子どものころ流行しましたが、政治家の無責任な発言の代名詞となりました。それが植木等の歌にもなったわけです。
まさに「謝罪ではなく、「残念だ」「思い通りにいかない」という心境をフォーマルに表明する言葉」であって、真摯な謝罪ではないわけです。
日本国政府、防衛省、自衛隊も頭を下げる必要はないと公言しているのに等しい。
ぼくならなぜ総理、防衛大臣、陸幕長あたりが即座に謝罪しないのか?遺憾の意を表明しただけでは謝罪ではないのではないか?そのような外交的な礼節を欠く態度は冷え切った日中関係を更に悪化させるのではないか?とかあれこれ質問したくなりますが。中学生新聞の記者でも質問するでしょう。何か質問してはいけない「大人の事情」でもあったのではないかと勘繰りたくなるのが人情でしょう。
ところが防衛記者会(クラブ)は防衛省に対してこの件に関して臨時会見を開くような要請はありませんでした。これは報道室に確認しました。
この極めて重大な事件に対して、何日も防衛記者クラブは会見を求めることなく、本日の防衛大臣定例会見までおとなしく待ってたということです。
ところが昨年5月16日にはT-4練習機墜落に関する臨時会見(令和7年5月16日(金)18:47~18:53)その後にさらにに追加して会見が行われました。
5月16日、T-4練習機墜落に関する防衛大臣の臨時記者会見で「搭乗員らしきものを発見し、収容した。損傷が相当激しい」との中谷大臣の発言が遺体の扱いをめぐって批判され、同日中に会見がやり直された。中谷大臣が「搭乗員らしきもの」と述べたのは、当時遺体かどうか確認が取れていなかったためと考えられる。
墜落事故の「搭乗員らしきもの」発言は謝罪したが…事実誤認は訂正しない防衛省の”二重基準”

記者:
それ、遺体ではないんですか。確認ですけれども、御遺体について、「もの」っていうのはちょっとおかしくないですか。
頭の悪いこの記者の発言があったせいか、あるは記者クラブが要求したせいか、同日に再度臨時会見が行われるという異様な事態が起きました。(令和7年5月16日(金)20:12~20:20)。記者クラブから詰問されたんじゃないですかね?
報道官も「搭乗員2名が行方不明」「搭乗員と思われる体の一部を発見及び収容」と説明しており、遺体と断定していなかったわけです。防衛省が乗員2名の死亡を確認したのは22日です。ですから中谷氏は「搭乗員らしきもの」と発言したわけです。これを乗員の一部だと断定してあとで違いました、となったらそれは大問題でしょう。
その程度の軍事や航空事故以前、常識がないのが記者クラブの記者ということです。
そして今回の中国大使館の事件は比較にならないぐらい大問題です。ところが官邸も防衛省も正式な謝罪を行っていない。防衛記者クラブはこれを「全く問題ない」と認識していたことになります。問題意識があれば防衛省に対して臨時会見を開くように要望をだしていたはずです。陸幕広報室では記者クラブ限定でレクは行ったようです。
恐らくは、ですが「謝ったら死んでしまう病」という不治の病に侵された、高市早苗総理が「私は頭を下げない」「私に恥をかかせるな」と頑張っているのではないでしょうか。
何しろ軍艦を戦艦と言い間違ったぐらいでも、頑張って謝罪せずに「中国に戦艦がある」と閣議決定してしまったぐらいです。
まともな国家であれば即座に政府が即座に謝罪の意を示しているでしょう。素直に非を認めることは危機管理の鉄則です。引き延ばして言い訳をしていると余計に炎上するのがこの世の理です。
政府、防衛省がなぜ謝罪しないのか?ジャーナリストでなくても不思議に思うことでしょう。またそれが国益を大きく損なっているというは多くの人たちがもっている認識です。防衛記者クラブの記者たちにはそのような認識がないのでしょう。
あるいは高市総理に忖度しないと死んじゃう病気なのでしょうか?
自分たちは報道機関の代表だ、他の媒体やフリーランスを排除して会見その他の取材機会を独占するぐらい偉いのだ、という「お偉い」「高い見識」の記者クラブの優秀な「ジャーナリスト」たちがなんで餌を与えられるまで口開いたままでいたのでしょうか。
全く不思議としか言いようがありません。今の会員を排除して記者クラブに赤旗と週刊文春と日刊ゲンダイを入れた方がよほど国民の知る権利の保障になります。現状記者クラブは国民の知る権利から当局を守る防波堤として機能しており、権力監視という本来の役目を放棄しています。

■本日の市ヶ谷の噂■
陸自は無人機スキャンイーグルを運用しているが、地上から無人機を射出するカタパルト件回収機装置、Mk4はトレーラーに搭載されているが、国交省の認める規格になっていないために、間抜けにもトレーラーごと特大大型車両の荷台に搭載して運用している、との噂。
■
大人の事情で商業媒体に掲載されなかった記事を、Noteで有料公開します。
Kindleで有料記事の公開を始めました。
いずも級、22DDHは駆逐艦に非ず。 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
暴力装置 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
東洋経済オンラインに寄稿しました。
拡大する防衛費を防衛省・自衛隊が適切に使えていない可能性。陸上自衛隊による、銃の調達や取り扱いから垣間見える「知識不足」の疑い
https://toyokeizai.net/articles/-/911653
ソニーグループが「隠れた防衛関連企業」といわれる理由、実は同社製のある汎用品がミサイルやドローンなどに欠かせないパーツになっていた
https://toyokeizai.net/articles/-/907817
過去の著作の電子版が発売になりました。
『ル・オタク フランスおたく物語』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DY1PJ1YL/
『弱者のための喧嘩術』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DY1L9SPW/
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2026年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。









コメント
記者クラブの問題提起については概ね同意します。
自衛官による中国大使館敷地への侵入という外交上の重大案件に対し、防衛記者クラブが臨時会見を要求しなかったという点は、権力監視機関としての報道機関のあり方として疑問が残ります。
一方、末尾の「市ヶ谷の噂」——陸自がScanEagle Mk4カタパルトをトレーラーごと特大車両に搭載して運用しているという件——については、技術的に疑義があります。
Insitu社の公開資料によれば、Mk4ランチャーの収納時寸法は幅2.21m・長さ5.43m・高さ1.65m、重量約1.9tです。
国土交通省の一般制限値(幅2.5m・長さ12m・高さ3.8m・総重量20t)をいずれも大幅に下回っており、特殊車両通行許可を要する「規格外」には該当しません。
設計上、Mk4トレーラーは通常の牽引トラックで公道走行が可能であり、「特大大型車両の荷台に搭載」という運用は仕様上不要です。
少なくともスペック上はこの噂を裏付ける根拠が見当たりません。