加熱するこども支援、本質は何処にあるのだろう?

「独身税」と揶揄されたこども子育て支援金制度が4月から始まりました。子育て世代の支援を社会全体で行うという発想のもと医療費に上乗せされるので子供がいなくても税金がかかることで独身も子育て世代を助けるのか、という意味で論争を巻き起こしました。

黄川田仁志こども家庭庁大臣と高市首相 同大臣SNSより

日本は全ての国民がなるべく平等に社会全体を支えるという発想が基本です。例えば、今の年金制度は若い世代が高齢者世代を支えているわけです。よって今回の子育て支援金制度が加わることで現役世代が子供も高齢者も支える発想であり、日本型社会主義そのものだとも言えます。

さて、子どもの支援については私は2系統の問題が混在された形で展開されてきたと感じています。1つは少子化、1つは子育てです。政府が今まで積極的に打ち出したのは後者の方です。前者については一時期、政府の無策を問われたくないので形だけ少子化対策を政府レベルでやっている姿勢はみせましたが、ご承知の通り、目に見えた効果はありません。

では子育て支援とは何でしょうか?1つは女性の社会進出を促した一方で、子育てとの両立ができない点についての社会の認識の修正を試みたのだと思います。最大の構造上の問題は「男性が働き、女性が家庭を守る」という人間の歴史と言ってもよい認識を壊すことだったと思います。これは努力の甲斐もあり、確実に変わってきており、男性が育休を取っても何も言われない時代になってきています。育休を7か月取ったという記者の手記もありました。

たまたま今朝ニュースを見ていたら客室乗務員は女性が多く、鉄道会社には男性が多い事実を取り上げていました。「顧客からの期待」や植え付けられたイメージは否定できません。昔、航空会社のコマーシャルでフラットシートで寝ている男性客の毛布をそっと掛け直しているシーンがあったのですが、あれ、女性のCAだから良いようなものの男性CAが男性客の毛布を掛け直していたら絵にならないでしょうね。話の主題からはずれてしまいますが、男女の役割は分けきれないこともあるのかもしれません。

話しを元に戻します。保育園に入れない待機児童をなくす努力もありました。統計的には待機児童数は8年連続で下落し、良化しているものの地域差はあり、住宅開発が進む地域や急速に児童が増えた場所では相変わらず問題は抱えています。ただ、それらもいずれ解決していくのだと思います。

また中学高校生まで医療費が無料になる制度もありました。私はこのブログで「容易な薬漬けにし、免疫力をつけるという点でどうなのか」と疑念を呈しました。

総合的に見て日本は「子はかすがい」を国家レベルで実現しようとしている、と感じます。つまり「子はかすがい」とは夫婦間に於ける絆の話ですが、日本の社会が子供を守り、育てるという意味でのかすがいと言えそうです。

ではこの政策は正しいのか、といえば本質がどこにあるのかもう一度考える時期にあると思うのです。

まず子育て世代の支援はなぜ必要なのか、といえば金が一番かかる世代だという点で経済的支援が必要だという発想かと思います。では昔はそれでもどの家庭でも歯を食いしばって子育てをしてきたのになぜ、現代社会では経済的支援が必要なのでしょうか?

私のざっくりした考えは基本的に皆さん、ぜいたくになり、生活レベルも上がり、生活費が以前よりかかるようになったということではないでしょうか?携帯は各自持つ、車は時々新しいもの、旅行は頻繁、子供は必ず勉強塾と習い事に行かせる、外食も親の口に合うものを子供に押し付ける、すると子供がまずいものは口にしなくなる…と言った具合。

日本経済の底上げ、ないし社会の質の向上とも言えるのですが、それが各方面にしわ寄せが来たわけです。よって子育て支援をされる層は今回の支援が嬉しい話になるのでしょうけれどこの世代は一方で、年金を通じて高齢者を支えていると思えば、一方で支援され、一方で支援するとも言えます。健康保険料の負担額に対して現役層はそう病気にはならないので、払った保険料の元を取れないとぼやいている人も多いのだろうと思います。

これが日本の良さでもあり、嫌な人は日本を飛び出していくことになるのでしょう。

一方で、少子化問題ですが、個人的には子供の数を増やすことはできなくはないと思っています。それは女性全体で見る出生率は低下の一途を辿っていますが、結婚した夫婦がもうける子供の数(完結出生児数)は1.9-2.0あるのです。つまり「若者よ、結婚せよ」を促すだけで劇的な出生率の変化が見込まれます。ではなぜ若者は結婚しないのか、ここをもっと深く掘り下げると解が見えてきそうです。私には自分が子育てされた際に親やひいては社会に大事にされ過ぎた結果、スポイルされた子供が育ったのではないか、という仮説を考えています。

つまり政府が行なう子育て対策が高じて順応性が低い我儘な子供が育ち、共同生活という意識が低くなり、結婚を経済的観点からしか捉えることができず、結婚への積極的意識が持てなくなったという大胆な説です。これ、よく考えると飛躍しているようですがそんな馬鹿な話ではないと思います。

とすれば今の政府の政策が本当に正しいのか、上辺だけの満足感で人格形成においてもう一歩踏み込んだ考えが必要なのか、検討するものアリだと思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月5日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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