トランプ大統領は弾劾されるべきか?

イラン戦争についてはややあいまいな感じもしますが、一時停戦になり、安ど感が広がっていますが、ここに至るまでのトランプ氏による世界のかく乱はあまりにも強烈であり、歴史の教科書にも出てこないほどの事態にあると思います。今日は戦争の話ではなく、今日までの流れを踏まえ、トランプ氏そのものについてもう一度考えてみたいと思います。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

トランプ大統領は第1期の就任時以降、その破天荒な発想、ふるまい、行動に賛同者は酔いしれ、反対派は嫌悪感を持ち、さらに一部の良識あるアメリカ人からは「アメリカの恥」とまで言わせしめました。そして氏の行動や発言はエスカレートし、第2期就任後はギアをアップし、別次元の展開となっているのはご承知の通りです。このような人物と友好関係を結ぶのは果たして正しいのか、と考えると今やおぞましさすら感じるのであります。

エプスタイン問題が話題になったのはジェフリー エプスタイン氏が多大なる影響力を持ち、その人脈を駆使する中、極めて理解に苦しむ行為を多々行ってきたからであります。その調査書類が開示されるとアメリカのみならず、世界中で関係のあった人々が糾弾されました。それは「そんな奴と交友関係にあったとすれば、それは好ましくない行為に関与しようが、しまいが友好的であったこと自体が罪である」というあまり論理的とも言えない感情が先行し、世論が激しいバッシングをするのであります。

例えば今、ナチスやヒトラーを礼賛すれば極めて冷遇されるでしょう。その名前を口にすることすら憚れると人々が思うのは歴史から学ぶというより一切合切を消去して無かったことにしたいという願望の方が強いとも言えないでしょうか?それは人々があの時代とあの時の行為を反省し、二度とそのような事態にならないよう宣言したとも捉えられます。

トランプ大統領がイランに対して「文明を滅ぼす」と発した時、私はトランプ氏はもはや普通の精神状態とは考えられないと判断しました。人間が築いた文明を滅ぼし、国家を殲滅させるという意味をどう理解したらよいのか、これは学者でも説明ができない話でしょう。人類は宗教と共に進化してきたのです。その宗教は多岐にわたり、それぞれが独自の教義や経典、教え、伝えをベースに人類の塊をいくつも作り上げたのです。卵か先か鶏が先か的な話ではありますが、宗教をベースとするコミュニティが国家の基盤となることも多く、またそれが宗教観対立で闘争関係を生み、歴史を振り返れば数々の戦争が巻き起こったのであります。

今回のイラン戦争の根本は宗教観と特定民族へのヘイトだと考えています。もちろん、今回の事態になった伏線はあります。イランも独裁国家として国民の自由を制約し、国体護持のためにあらゆる我儘を正義としたことは事実です。それに対してユダヤ教のイスラエルはイスラム教シーア派との長年の確執と恨みを晴らす時が来た、と一気に攻めたわけです。ただネタニヤフ氏が攻めたのはイランの前にトランプ氏のマインドを攻略しました。つまりトランプ氏を味方につけ、広告塔とし、SNSで激しい罵りをしてもらうことで戦略家であるネタニヤフ氏率いるイスラエルの超保守派閥が理想とする中東社会を作り上げようとしているのです。私から見ればトランプ氏はネタニヤフ氏の掌の上でコロコロ状態そのものであります。

さて、この悪行に世論が割れるアメリカも修正第25条の適用という声が出てきました。アメリカ憲法修正第25条の第4項がそのポイントです。ざっくり言えば判断能力を欠いたと思われる大統領に対して弾劾することができる規定であり、これは上院下院の2/3の賛同が必要です。もちろん、これが可決するとは今日は思えないのですが、トランプ氏の誤った判断が積み重なることで共和党員に「恥を知れ」という厳しい世論の声が出てくればこの高いハードルが絶対に崩れないとは言えないこともあり得るでしょう。

国連は戦争犯罪とし、ICC(国際刑事裁判所)は当然、それに同調しますが、両方ともほぼ機能しません。現状、トランプ氏の暴走を唯一、止めることができるのはアメリカ議会、それも民主党は全員罷免に賛成なのはわかっているので上下院の共和党員がそのカギを握っているとも言えます。極めてごくわずかな人数の人たちの判断でこの世界は覆ることができるのです。ちなみに仮に罷免された場合、ヴァンス副大統領が代行するのですが、ヴァンス氏は戦争反対派で今は自分の考えに蓋をしている状態にあります。

トランプ時代が終わった時、我々は同氏をヒトラーやエプスタイン氏と同列に扱うかもしれません。既に私の知るアメリカ人たちは「アメリカの恥(シェイム!)」と言っています。どんな形でイランを攻めたところで真の戦いは終わるところを知らない新時代に突入することになるでしょう。

私は今、すべての外国企業はアメリカでビジネスをするということを遠慮すべきではないか、とすら考えています。日本企業はエコノミックアニマルというか「儲け至上主義」が強すぎると思います。アメリカ投資をボイコットする、ぐらいの声をあげる勇気ある企業があってもおかしくないでしょう。政府レベルではアメリカに対して足を向けられないのですから民間が声を出すしかないのです。

今回を含めたトランプ氏の数々の施政は異質であり、新しい時代の考え方などとは微塵たりとも感じさせることはないのであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月9日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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