東京23区の未来を予言する「千葉県の人口減少」

内藤 忍

日本経済新聞電子版によれば1920年の国勢調査開始以来一貫して増え続けていた千葉の人口が2025年の調査速報で初めて減少に転じたようです(図表も同紙から)。これは首都圏の県でさえもいよいよ人口減少が始まったことを示す象徴的な出来事です。

確かに千葉県全体が等しく人口減少しているわけではありません。流山市、千葉市、柏市といった東京都心に近い北西北地域は、むしろ利便性や良好な子育て環境といった魅力から、今もなお人口増加を続けています。

その一方で、房総半島の南部や香取・海匝といった北東部では加速度的な過疎化と高齢化が進行しています。一つの県の中で極端な二極化が進んでいます。

この千葉の現実は人口増加が続く東京23区にとっても他人事ではありません。東京でさえもそう遠くない未来に千葉県と同じような人口減少が始まることは確実です。

現在の東京の人口増加は、他県からの転入超過という「社会増」によって辛うじて維持されているに過ぎません。生まれる数より亡くなる数が上回る「自然減」の幅は年々拡大しています。

地方の人口が減少していけば、いずれ東京への流入も少なくなり東京の人口も縮小を始めざるを得ません。

利便性の高い駅前やタワーマンション群に人口が凝縮していく一方で、東京23区内であっても駅から遠い戸建ての住宅街や陸の孤島のようなアクセスの悪い地域は空室や空き家が目立つようになっていく。まさに千葉県の周辺部と同じ運命をたどることになりそうです。

これからの日本の人口動態を展望するとき、かつてのような「地方から都市へ」という単純な構図だけで説明できる時代は終わりました。

この日本全体での人口減少トレンドはもう引き返せない確定した未来です。

国全体の推計では今世紀半ばには総人口が1億人を割り込み、社会の約4割を高齢者が占める超高齢化社会がやってきます。子供の数が減り、それが次の世代を更に少なくしていく縮小スパイラルが続きます。

いずれごく一部の例外を除き東京23区のマンションさえも需給関係から空質率が上昇し価格が下落に転じる時代がやってくるのは確実です。そうなれば「都心・中古・ワンルーム」という鉄板投資も過去のものになっていくでしょう。

takashi miki/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年5月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント