家族4人で東京23区の賃貸に住む必要はない

内藤 忍

東京23区の賃貸物件について興味深いデータをSNS上で見つけました。東京の分譲マンション・賃貸市場を分析して情報発信している「こぺる」さんという方の記事です。

東京23区の全賃貸物件のうち、単身者向けや2人暮らし向けのワンルーム・1K・1LDKといった間取りが全体の大部分を占めています。

これに対して、家族4人が個室や十分な収納を確保して暮らすために最低限必要となると思われる専有面積70平米以上の物件が占める割合はわずか9.5%パーセント(約25万戸)しかありません。

しかもこれは築年数を考慮していませんから、旧耐震のような築古物件を除けばさらに広い部屋の数は少なくなります。

一方で、2025年の東京23区の世帯数予想は夫婦と子が105.95万世帯、ひとり親と子が37.44万世帯で、合わせて143.39万世帯と圧倒的な需給ギャップが存在します。

ファミリータイプの物件の賃料は月次での上下動はあるものの、長期的には上昇を続けています。

2026年3月の東京23区の分譲マンション賃料の平米単価の平均は5,042円です。70平米であれば、単純に家賃は35万円を超えます。

家賃の上限が額面の年収の25%という一般的なルールから計算すると年収1680万円以上が必要です。

この条件を満たすことができるファミリーは全体の1割以下でしょう。

さらに今後も不動産価格や建築コスト、人件費等の上昇を背景にマンションの平均専有面積は減少していき、東京23区で家族4人がゆったり過ごせる可能性はさらに下がります。

となれば、アクセスの良い郊外に脱出すると言うのが現実的な選択肢となります。

その結果、東京23区は単身者と一部の富裕層ファミリーが住む街となり、郊外との住み分けが進むことになるでしょう。

アクセスの良い郊外とは、例えば、武蔵小杉、浦安、流山、あるいは東京の多摩地区といったエリアです。

このようなエリアでは、駅周辺に大型の商業施設があることが多く、都心よりも利便性が高いかもしれません。また教育環境が充実して公園のような公共設備が整っている場所も多くあります。通勤には時間がかかるかもしれませんがむしろ都心部よりも生活しやすいとも言えます。

そう考えれば、家族4人で生活を切り詰めて東京23区の狭い賃貸物件に住む必要はもはやありません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年5月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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