リニアに乗るには新幹線プラス「たった1000円」

内藤 忍

JR東海のリニアモーターカーがようやく静岡県内でも着工できる見通しとなり、2036年に名古屋までの開業を目指して工事が進められるそうです。

前の静岡県知事の「自然環境に与える影響からの反対」がなぜ新しい知事になって一転したのか。工事の遅延による機会損失や建設コストの高騰によるJR東海の損失は数兆円と思われます。

県知事の地域エゴが理由だとしたら国民全体に与えたマイナスの影響は大きすぎます。今後、当時の建設反対の理由の正当性と前知事の責任の有無に関しては徹底的に検証してほしいと思います。

リニアモーターカーが完成すれば、品川から名古屋まで40分、大阪までは67分で到着できることになります。

新幹線に比べかなりのハイスピードであるにもかかわらず、乗車料金は新幹線より若干高い程度に設定されるようです。

リニアの料金は東海道新幹線のぞみの普通車指定席料金をベースに品川〜名古屋はのぞみに700円を上乗せした11,480円程度、新大阪までは1000円を上乗せした14,720円と試算されています。

以前あった超音速旅客機のコンコルドは普通の飛行機の約2倍の運賃と言われていましたから、リニアに乗るには新幹線プラス「たった1000円」というのはそれに比べると破格です。

今後、インフレ等の影響を考慮して上乗せ額が大きくなるかもしれませんが「安すぎないか」というのが実感です。

この程度の差額であればリニアに利用客が殺到し新幹線を利用する人が減るのではないかと一瞬思いましたが、少し考えるとそうでもないかもしれません。

まずリニアは始発駅が品川です。駅の場所がどこになるかはまだ分かりませんが、東京駅に比べるとアクセスが良いとは言えません。東北新幹線や北陸新幹線で上京した人は、東京駅から品川駅まで山手線で移動する手間があります。

また、リニアは路線の9割近くがトンネルと言われています。スピード重視の人にとっては車窓の風景は関係ないかもしれませんが、観光目的の旅行者にとっては、新幹線から富士山を眺めたりする方が楽しそうです。

さらに室内も新幹線よりも狭くなるようなので快適性は低いといえます。

そうなると、時間を重視するビジネスパーソンの利用が中心で、平日の朝や夕方以外は意外に混雑しないのかもしれません。

開業当初は物珍しさから鉄道オタクに限らず乗車体験希望者が殺到するはずです。しかし、それが落ち着けば新幹線との棲み分け行われることになりそうです。

そして、リニアが開通すれば東海道新幹線を計画的に運休させてメンテナンスを行うことが可能になります。これこそがJR東海が巨費を投じてリニアを整備する理由と言われています。

11兆円もかけて作っても採算は全く合わないのが明らかですが、新幹線のバックアップのために巨額の投資をしなければならないのは民間企業としては気の毒な気がします。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年7月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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