「イスラム共和国」はイランのはずが……
トランプ米大統領が7月8日、トルコ・アンカラで開催されたNATO首脳会議の場で、思わぬ言い間違いをして世界中の注目を集めた。イランについて語るはずの場面で、なぜか「日本イスラム共和国(Islamic Republic of Japan)」という、実在しない国名を口にしてしまったのだ。
会見にはウクライナのゼレンスキー大統領も同席していた。トランプ氏は米海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」の防衛能力を誇る文脈で、2カ月ほど前に111発のミサイルがこの空母に向けて約1時間にわたり発射され、そのすべてを迎撃したというエピソードを紹介した。本来この攻撃はイラン(イスラム共和国)によるものを指していたとみられるが、トランプ氏は口が滑ったのか、攻撃の主体を「日本イスラム共和国」と述べてしまった。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより
SNSで急拡散、「そんな国あったっけ?」と話題に
この発言はまたたく間に世界中のSNSやニュースサイトで拡散し、「Islamic Republic of Japan」という言葉自体が検索トレンド入りする事態となった。もちろん、日本は立憲君主制であり議院内閣制を採る国家で、天皇は象徴的な国家元首、実際の行政権は首相と内閣が担う。国教は存在せず、憲法で信教の自由が保障されている。「イスラム共和国」を名乗る、あるいはそれに類する国名を持つ国は他に存在するが、日本がそのように呼ばれたことは歴史上一度もない。
複数の海外メディアも今回の一件を速報し、80歳のトランプ氏が「イラン」と「日本」を、さらには「ゼレンスキー」と「プーチン」を取り違えたと報じるなど、高齢の大統領の失言が改めて話題となった。
対イラン強硬姿勢の最中でのハプニング
この発言が飛び出したのは、トランプ氏が対イラン強硬姿勢を強調していた最中だった。同氏はNATO首脳会議で、必要であれば追加の軍事行動も辞さない構えを示し、米国とイランの間で結ばれていた了解覚書は事実上失効したとの認識を示していた。イランの弾道ミサイル開発は近年、米国とイランの緊張の主要な火種であり続けており、今回の言い間違いはそうした深刻な文脈の中で起きたものだ。
日本は米国の同盟国であり、在日米軍基地を抱える存在ではあるが、イランをめぐる軍事的対立には一切関与していない。それだけに、今回の言い間違いは深刻な話題の最中に思わぬ形で笑いを誘う結果となった。
健康や集中力への懸念?
高齢の大統領による言い間違いは今回が初めてではないが、同盟国である日本の国名と、緊張が高まるイランの正式名称を取り違えるというのは、聞き手を戸惑わせるには十分なインパクトがあった。外交の現場における一言一句は、時に深刻な政策的含意を帯びるだけに、こうした失言が本人の健康や集中力への懸念として語られるのも無理はない。
とはいえ、今回の一件はあくまで単純な言い間違いであり、日本の国家体制や日米関係そのものに変化があったわけではない。過熱するSNS上の反応に振り回されることなく、実際の外交・安全保障政策がどう動くかを冷静に見極めていくことが引き続き重要だろう。







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