精神疾患を理由に離職した公立小中高校の教員が、2024年度に1319人となり、過去最多を更新した。2021年度の950人から39%増え、調査を始めた2009年度以降、ほぼ一貫して増加している。
ここまで悪化が続けば、一部の教員の「心の弱さ」では説明できない。学校という職場そのものが、人を追い詰める構造になっている。

paylessimages/iStock
仕事は増えるが、人は増えない
教員の仕事は授業だけではない。いじめ、不登校、特別支援、部活動、保護者対応、校務分掌、各種調査など、学校に求められる役割は増え続けている。
しかし、人員や予算はそれに追いついていない。欠員が出れば、残った教員が仕事を引き受ける。負担が増えて誰かが休職し、さらに残った人が疲弊する。教員不足が教員不足を生む悪循環である。
文科省は「働き方改革」を掲げるが、改革のための会議や計画、調査、報告書が増え、かえって現場の仕事を増やすこともある。火事を消さずに、防火研修だけを重ねているようなものだ。
職員室から余裕が消えた
多忙化は、教員同士の人間関係も悪化させる。
本来なら、経験のある教員が若手を支え、問題を職員室全体で共有するべきだ。しかし、誰もが自分の仕事で精いっぱいになり、同僚を助ける余裕を失っている。
休職者の仕事を引き受けた教員には不満がたまり、若手は相談しづらくなり、管理職は板挟みになる。
結果、教職は学生からさらに敬遠され、人材不足が加速するという負のスパイラルに陥っている。
これは個人の性格の問題ではない。人手と時間を削り続けた行政の結果である。
保護者対応でも教員を守らない
保護者からの無理な要求も深刻だ。担任の変更、勤務時間外の電話、子ども同士のトラブルへの過剰な介入など、学校の責任範囲を超える要求まで持ち込まれる。
もちろん、正当な訴えには丁寧な対応が必要だ。しかし、暴言や長時間の拘束まで受け入れる必要はない。
ところが教育委員会は、「保護者に寄り添い、丁寧に説明するように」と学校へ指示するだけで、自ら前面に立とうとしない。悪質な要求への対応基準や法的支援、専門職の配置もあまりに遅れている。
1319人は行政の怠慢の結果
必要なのは相談窓口や研修の追加ではない。教員でなくてもできる仕事を学校から外し、保護者の過剰要求には教育委員会が前面に立ち、欠員が出ても崩壊しない人員を配置することだ。
それをせず、通知文と会議で乗り切ろうとしてきた結果が1319人である。
教員が学校を去れば、文科省と教育委員会は原因を調査し、また現場に調査票を配るだろう。日本の教育行政は、教員を守ることより、教員が壊れた理由を集計することのほうが得意らしい。







コメント