高知県警は、SNSを通じて鹿児島市の女性から現金30万円をだまし取ったとして、元プロテニス選手で会社員の平木理化容疑者(54)を詐欺の疑いで逮捕しました。平木容疑者は「身に覚えがありません」と容疑を否認しています。
平木容疑者は1997年、インドのマヘシュ・ブパシ選手と組み、全仏オープンの混合ダブルスで優勝しました。日本人選手として世界の頂点に立った人物の逝捕は、テニス界にも大きな衝撃を与えそうです。

平木理化容疑者 Wikipediaより
「フランスの医師」を名乗る人物
逮捕容疑は2022年2月から5月にかけて、何者かと共謀し、当時40代だった女性から30万円をだまし取ったというものです。
女性はSNSで「フランスで整形外科医として働いている」と名乗る人物と知り合いました。連絡を重ねるうちに、「死別した妻の補償金を受け取るため、あなたを保証人にした」「妻の荷物が税関で止められており、解除には証明書代が必要だ」などと持ちかけられたといいます。
女性は指定された平木容疑者名義の口座に30万円を振り込みました。警察によると、その日のうちに平木容疑者がATMから現金を引き出す様子が、防犯カメラに記録されていたということです。
SNS詐欺を支える「受け皿口座」
今回の手口は、外国の医師や軍人、資産家などを名乗って被害者の信用を得た後、荷物の通関費や相続手続き費用などの名目で送金を要求する、国際ロマンス詐欺に似ています。
こうした詐欺では、被害者と直接やり取りする人物だけでなく、金を受け取る口座や現金を引き出す役割が必要になります。警察は、平木容疑者がどのような経緯で事件に関与したのか、口座がほかの人物に利用されていなかったかなどを慎重に調べることになります。
同じ口座に送金したという別の被害申告もあり、高知県警が関連を捜査しています。
輝かしい経歴と容疑は分けて考えるべき
グランドスラム優勝者という輝かしい経歴と、今回の逮捕との落差は、強い注目を集めるでしょう。しかし、逮捕は有罪判決ではありません。平木容疑者は容疑を否認しており、現段階で事件への関与が確定したわけではありません。
著名人の事件では、過去の栄光が大きいほど報道も過熱しがちです。必要なのは経歴との落差を面白がることではなく、SNS上で作られた架空の人物が、どのように被害者を信用させ、実在する銀行口座を通じて金を吸い上げたのかを解明することです。
「海外から荷物を送る」「税関で止められた」「解除費用を立て替えてほしい」という話が出た時点で、まず詐欺を疑うべきです。SNSで築かれた親密さは、相手の身元を証明するものではありません。今回の事件は、著名人の逮捕という話題性以上に、誰もがSNS詐欺の標的にも、場合によっては資金移動の一部にもなり得る危険を示しています。







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