ワルシャワからの情報によると、ポーランド最高裁判所は28日、「ポーランド国外で成立した同性婚を承認しない」とする判断を下した。同裁判所は今年3月、他の欧州連合(EU)加盟国で成立した同性婚をポーランドも承認すべき義務があるとの昨年11月の欧州司法裁判所(ECJ)の判決を受け、今年8月末からECJの判断をポーランド国内法に反映させる予定だった。それをここにきて、「憲法違反」として、ECJの判決内容の施行をストップさせた。

トゥスク首相とキエルヴィンスキ内相(右)、ポーランド内務省公式サイトから、2026年7月27日
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ECJが昨年11月、EU加盟国は他の加盟国で成立した同性婚を承認しなければならないと判断した背景には、EU市民がEU域内の異なる国々をまたいで家族生活を継続できるという保証が必要と判断したからだ。この権利は、EU域内における「移動の自由」の一環と見なされた。これは2018年にベルリンで結婚した男性2人がECJに提起した訴訟への判決だ。
ポーランドではECJの判決を受け、キエルヴィンスキ内相が発令し、すべての戸籍登録機関に遵守が義務付けられた。同通達は、8月末に施行される予定だった。それを今回、最高裁判所がキエルヴィンスキ内相の発令した通達を「憲法違反である」と決定したわけだ。最高裁判所が土壇場に立場を変えた背後には、右派保守の野党「法と正義(PiS)」の議員らが憲法裁判所に異議申し出を行うなど、政治的圧力を強めてきたからだ。同裁判所は主に、PiS政権下で任命され、同党に近い判事らによって構成されている。ちなみに、ポーランド憲法では、「結婚を男女間の結合」と定義している。
ところで、EU27カ国で同性婚を認めていない国は11カ国。西ヨーロッパの大部分で同性婚が合法化されている一方、東欧や中欧の国々を中心に、現在も認められていない。
同性婚を認めていない11カ国の中で、同性婚は認めないものの「登録パートナーシップ(シビル・ユニオン)」などの代替制度を認めている国(5カ国)と、一切認めていない国に分かれる。
パートナーシップ制度も同性婚も、どちらも認めていない国は6カ国、スロバキア、ポーランド、ブルガリア、ルーマニア、リトアニア、ラトビアだ。ポーランド以外は憲法で「婚姻を男女間に限る」と明記している。なお、エストニアは2024年、ギリシャも2024年に同性婚を合法化した。
これら11カ国の国内では同性婚の挙式や登録はできないが、ECJの判決により、別のEU加盟国で合法的に成立した同性婚カップルが、同性婚を認めていない国に移住した場合、滞在権や居住権などの目的において、その婚姻関係を「配偶者」として承認しなければならない。
ちなみに、欧州ではポーランドやスロバキア、ハンガリーなどの民族主義的政権が強い国では依然、同性婚拒否の傾向が強い。例えば、スロバキアは2014年に婚姻を男性と女性の独自の結合と明記した憲法改正案を可決しているが、2025年9月、婚姻の定義をさらに補強し、LGBTQ+コミュニティの権利を制限する新たな憲法改正を実施している。
具体的には、性別の厳格化だ。憲法に「スロバキアは、生物学的に決定された男性と女性の二つの性別のみを認める」という条文(第52条a)が追加され、出生時の性別が基準となり、「法律で定められた重大な理由がない限り、性別を変更することはできない」と規定された。また、養子を受け入れられるのは「法律上の婚姻関係にある夫婦(異性間の夫婦)」に事実上限定された。あわせて代理母出産(サロガシー)も禁止された。家族のあり方や教育などの「文化的・倫理的な問題」においては、EU法よりもスロバキアの国内法・主権を優先することが明記された。
オルバン政権が16年間続いたハンガリーでは2025年4月14日、「人は男か女のいずれかである」という生物学的性別の二元論を憲法に明記し、トランスジェンダーやノンバイナリーの法的承認を完全に排除した。また、2021年に制定されていた「反LGBTQ+法(子供の保護を名目に同性愛の描写を制限する法律)」をベースに、プライド・パレードなどのLGBTQ+関連の公的な集会を憲法レベルで永久に禁止・制限できるようにした。
しかし、オルバーン長期政権が今年4月の選挙で敗北し、新首相に就任したペーテル・マジャル氏が対話姿勢を見せているため、同性婚問題で動きが出てくるかもしれない。ただし、新首相はプライド・パレード開催禁止を撤廃したが、同性婚禁止を見直しする意向は現時点ではない。マジャル新首相もオルバン政権下で要職を務めた政治家で、その政治信条は中道保守派だ。
いずれにしても、EUの「他国での同性婚の承認義務」について、ポーランドだけではなく、国内法やキリスト教的伝統を守りたい東欧諸国(ポーランドやルーマニアなど)の最高裁判所が「国内の憲法に反する」として拒絶の姿勢を示すことが予想される。換言すれば、「EU法」を優先するか、「国内法」を重視するかのホットな争いだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年7月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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