平成化する「24時間テレビ」:テレビはもう懐メロの世界

8月29日、日本テレビ系「24時間テレビ49」が始まりました。今年で49回目。昭和に始まり、平成に国民的番組となり、令和まで生き延びた長寿番組ですが、今年のラインアップを眺めると、少々妙なことに気づきます。登場人物がみんな平成なのです

オープニングを飾ったのは72歳の松平健による「マツケンサンバⅡ」。さらに南原清隆、天野ひろゆき、ビビアン・スーによるブラックビスケッツまで復活しました。時計の針が30年ほど逆回転しています。

24時間テレビ公式サイト

ブラックビスケッツまで掘り起こした

ブラックビスケッツが披露したのはSTAMINAとTiming~タイミング~。Timingが発売されたのは1998年です。当時20歳だった若者はもう48歳。つまり「懐かしい!」と喜んでいる中心層は、もはや立派な中年です。

かつて「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」は、ブラックビスケッツという新しい人気者を生み出しました。そして約30年後、日本テレビはそのブラックビスケッツをもう一度呼び戻しています。ビビアン・スー本人も「もう51歳です!」と語りました。

ドラマまで「つんく♂」という見事な平成セット

今年のスペシャルドラマも、北川景子主演でつんく♂と家族を描きます。つんく♂といえばシャ乱Q、モーニング娘。、ハロー!プロジェクト。平成そのものです。

マツケンサンバ、ブラックビスケッツ、つんく♂。ここまでそろうと、チャリティー番組というより「平成を懐かしむ会」に近づいてきます。そのうち「学校へ行こう!」や「電波少年」まで復活しても、それほど驚かないかもしれません。

若者を応援しながら若者はテレビを見ていない

「24時間テレビ」では毎年、子どもや若者の挑戦が描かれますが、肝心の若者はあまりテレビを見ていません。娯楽の中心はYouTube、TikTok、Instagram、Netflixなどへ移りました。

「夜8時になったら家族全員がテレビの前に座る」という昭和・平成型の生活習慣そのものが消えつつあります。そこでテレビ局が目を向けるのが、まだテレビを見てくれる世代です。

40代にブラックビスケッツ。50代につんく♂。さらに上の世代にはマツケンサンバ。マーケティングとしては正しいのでしょうが、かなり寂しい光景です。

「愛は地球を救う」ではなく「懐かしさは視聴率を救う」

かつてテレビは流行を作る側でした。昨日まで無名だった若者を、一晩でスターにする。新しい歌、新しい芸人、新しい言葉、新しいファッションを全国に広める。テレビには、少なくとも「次に何が来るのか」を見せる力がありました。

ところが今は逆です。平成に流行した歌手を呼び、平成に人気だった番組を復活させ、平成のアイドルやヒット曲を並べて、「あの頃はよかったですね」と視聴者に語りかける。

テレビは未来を見せる装置から、思い出を再生する装置へと変わりつつあります。それを最も象徴しているのが「24時間テレビ」なのかもしれません。番組の有名なコピーは「愛は地球を救う」ですが、今は「懐かしさは視聴率を救う」です。

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