福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑が、今度は「告発した議員への処分」という新たな問題に発展した。
自民党福岡県議団は8月31日、所属する江藤秀之県議を会派の会員資格停止処分とした。期間は12月定例会の閉会日までで、江藤氏は議員総会など県議団の活動に参加できなくなる。理由は8月17日の臨時会で会派拘束に従わなかったことだ。

江藤秀之氏 自由民主党福岡県支部連合会HPより
採決そのものを止める動議に「会派拘束」
17日の臨時会では、蔵内勇夫議長に対する議長職辞職勧告決議案が提出されていた。

蔵内勇夫議長(当時)
ところが採決直前、自民党県議が採決中止を求める緊急動議を提出。県議団は所属議員に動議へ賛成するよう会派拘束をかけ、賛成多数で可決された。この結果、辞職勧告決議案そのものが採決されない異例の展開となった。
江藤氏は自民党県議団でただ1人、この動議に反対した。県議団は会派の方針に従わなかったことを問題視し、資格停止処分に踏み切った。
よりによって処分されたのが「告発者」
問題を複雑にしているのは、江藤氏が正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑を告発した当事者であることだ。
江藤氏は2020年の副議長就任をめぐり、自民党県議団幹部に計825万円を支払ったと説明。その一部について、副議長になるための「長年の慣例」と認識していたと証言している。一方、名前を挙げられた側は受領を否定しており、県議会では第三者委員会による調査が進められる。
疑惑を告発した議員が、疑惑の渦中にある議長への辞職勧告案を採決させない動議に反対し、その結果として処分された。形式上は「会派拘束違反」でも、県民からは報復的な処分と受け取られかねない。
「反対したこと」より「採決を止めたこと」のほうが問題では
政党や会派が重要案件で投票行動を統一すること自体は珍しくない。しかし今回は、辞職勧告案への賛否ではなく、「採決そのものを中止する」動議に会派拘束をかけた。
第三者委員会の調査が終わっていないため辞職勧告は時期尚早だというなら、議場で堂々と反対票を投じればいい。それをせず、採決自体を封じたことには違和感が残る。
さらに、それに反対した議員まで処分するとなれば、「なぜそこまでして採決を避けたかったのか」という疑問を招くのは当然だろう。
自民県議団が傷つけているのは自分たちの信用
蔵内氏はその後、8月25日付で県議を辞職した。本人は金銭授受を否定しており、疑惑については第三者委員会による事実認定を待つ必要がある。
しかし、それとは別に自民党県議団の対応そのものが問われている。
金銭授受疑惑を解明する前に、採決中止に反対した議員を処分する。これでは「会派の結束を守ることが真相究明より優先された」と見られても仕方がない。
福岡県議会に必要なのは、異論を唱えた議員を締め出すことではなく、正副議長ポストをめぐる慣例と金銭の流れを徹底的に明らかにすることだ。告発者を処分して組織防衛に走れば、傷つくのは江藤氏ではなく、自民党県議団自身の信用である。







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