長期金利がついに3%:青天井の概算要求に市場が警戒か

日本の長期金利が、ついに3%の大台に乗った。9月1日の国債市場で、指標となる新発10年物国債の利回りは一時3.0%まで上昇した。3%台は実に30年ぶりである。

長期金利上昇の原因は財政だけではない。特にG20で米ベッセント財務長官が「日銀の利上げを望んでいる」と明言したことも大きかった。

FT.com

過去最大143兆円でも「シーリングなし」

だが最大のインパクトがあったのは、2027年度予算の概算要求である。2027年度予算の概算要求は一般会計で約143兆円に達する見通しとなった。4年連続で過去最大である。

政府は「補正予算で使っていた支出を当初予算に移しただけだから、見た目ほど増えていない」と説明するが、昨年度のようにイラン情勢など緊急の補正が組まれない保証はどこにもない。

市場が反応したのは、新設された「強く豊かな日本」投資枠である。この枠には要求上限がない。片山さつき財務相は各省庁に対し、「シーリングは設けない」「青天井で要求してください」とまで説明した。案の定、各省庁からの要求は殺到し、投資枠だけで13兆円を超え、さらに金額を示さない「事項要求」まで残っている。

予算を「投資」と名づける証券マンの感覚

「政府が投資を増やせば成長できる」というのは、日本成長戦略会議のメンバーになった会田卓司氏の持論である。彼は「国債は借り換えれば無限に発行できる」というが、発行が増えたら金利が上がることも知らない。

民間でも政府でも投資にはリターンが必要だが、それは何%なのか。それが達成できなかったら、誰が責任を取るのか。クールジャパン機構のように13年間も垂れ流しで、誰も責任を取らないのか。

霞が関にとって、これほどありがたい「投資」はない。シーリングを外して「成長につながる案件ならいくらでも要求していい」と言われれば、世の中のほとんどの予算は成長投資に化ける。

金利上昇で利払費も過去最大

さらに皮肉なのは、積極財政で市場の金利上昇懸念が強まると、その金利上昇そのものが財政を悪化させることだ。財務省の2027年度概算要求では、利払費は16.6兆円。想定金利は3%から3.8%に上がったので、2026年度予算から3兆円以上増える。

10年金利が3%になったからといって、すべての国債の金利がただちに3%に上がるわけではない。ゼロ金利の国債がたくさん残っているので、実効金利はまだ1%前後である。平均残存年限は長く、実効金利は借り換えを通じて徐々に上がる。

しかし上がるのに長い時間がかかると、下がるのも容易ではない。高市政権の「積極財政」は長期にわたって財政支出を数十兆円増やす。

長期金利3%は「通過点」

高市首相は一貫して「行き過ぎた緊縮志向」を批判し、財務省を敵視してきた。消費減税に慎重な官僚を左遷し、「成長投資」を主張する証券マンの助言に従ってバラマキを止めない。

すると今度は、財務省よりはるかに手ごわい相手が出てきた。債券市場である。10年金利3%は、世界的に見ると高いほうではない。「まだ通過点だ」というのが市場の見方である。

日本経済新聞

最大の財政リスクは高市政権の「金融抑圧」

名目金利はインフレで上がるが、日本の金利上昇は先進国でもきわだって急速であり、長短金利のスプレッドも開いている。これは財政リスクの反映だというのが債券市場の常識である。財政リスクとは財政がデフォルトすることではなく、インフレで政府債務を踏み倒すインフレ税が始まっていることだ。

これは30年間眠っていた債券市場が目を覚まし始めたサインであり、ゼロ金利に戻ることは考えられない。債券市場が見ているのは、高市政権が日銀を牽制する金融抑圧の姿勢であり、これが変わらないかぎり流れは変わらない。それが債券市場のプロ、ベッセント氏の警告である。

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