9月13日投開票の沖縄県知事選で、現職の玉城デニー氏(66)の街頭演説中に大声で叫ぶなどの行為が相次いでいるとして、玉城氏の選挙母体「県民と歩む会」が沖縄県警に候補者の安全確保を申し入れた。沖縄タイムスが報じた。
同紙によると、「県民と歩む会」の新垣邦男事務総長、山内末子事務局長らが8月31日に会見し、街頭演説で玉城氏に近づいて暴言を吐いたり、大声を上げたりするケースが確認されているとして警備強化を求めたという。

演説する玉城デニー知事 同知事動画より
玉城氏への妨害は当然批判されるべきだ
山内事務局長は、候補者に近づいて暴言を吐いたり大声で叫んだりすれば、「それを見ている県民も萎縮し、選挙に対する不信感にもつながる」との趣旨の懸念を示した。
この指摘自体はもっともだ。選挙では候補者を批判する自由も、反対意見を表明する自由も保障される。しかし、演説が聞こえなくなるほど大声を出し続けたり、候補者に接近して威圧したりする行為まで「表現の自由」で正当化されるわけではない。
街頭演説は候補者だけのものではない。政策を聞きたい有権者の権利も守られなければならない。
自民党候補へのヤジなら「市民の声」なのか
問題は、こうした原則が政治的立場によって変わっていないかという点だ。
玉城知事への妨害を「選挙への不信感につながる」と批判するのであれば、自民党候補や保守系政治家の街頭演説が同じように妨害された場合にも、当然同じ基準で批判する必要がある。
日本では過去、安倍晋三首相(当時)の街頭演説にヤジを飛ばした市民が警察に排除され、「表現の自由」が大きな争点となった。
もちろん、一言のヤジと、継続的に演説を妨害したり候補者の安全を脅かしたりする行為は同じではない。それでも、「誰に向けられたヤジなのか」によって評価が逆転するようでは、議論に説得力はない。
沖縄タイムスに問われる報道の一貫性
沖縄タイムスが今回、玉城知事側の訴えを大きく取り上げること自体に問題はない。実際に危険な妨害行為があるなら、報道するのは当然である。
しかし、同じ媒体が保守系政治家へのヤジについては「市民の声」や「表現の自由」という側面を強調し、玉城氏へのヤジだけを「選挙妨害」として扱うのであれば、ダブルスタンダードとの批判は免れない。
メディアへの信頼は、政治的立場ではなく、同じ行為に同じ基準を適用することによって成り立つ。
左派への不信を深める二重基準
近年、左派・リベラル勢力や既存メディアへの不信が強まっているとすれば、その一因はこうした二重基準にあるのではないか。
自分たちの側への妨害は「民主主義への脅威」、相手側への妨害は「抗議する権利」では、有権者の理解は得られない。
玉城知事への威圧や演説妨害は批判されるべきである。同時に、自民党候補への同様の行為も批判されるべきだ。
選挙で守るべきなのは玉城氏でも、自民党候補でもない。すべての候補者が自由に訴え、有権者がそれを自由に聞ける環境である。
沖縄タイムスにも、政治的立場にかかわらずその原則を貫く姿勢が求められる。








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