単身世帯が最多に:仕事の負担も独身に集中するが給料は上がらない

日本で「一人で暮らす人」が最多になりました。日本経済新聞は、単身世帯が全世帯の35%を占める時代になり、職場の変化を報じました。もはや「結婚して家庭を持っている社員が標準で、独身社員は一時的な存在」という時代ではないのです。

「あなたなら大丈夫ですよね」

西日本の自治体で働く40代の独身女性は地元勤務を希望していたにもかかわらず、2026年春に3度目となる東京勤務を命じられました。地元ではマンションの住宅ローンを払いながら、東京でも家賃を負担することになります。

同じように東京へ赴任する同僚を見ると、首都圏ですでに家庭を築いている人を除けば、全員が独身だったといいます。会社員なら、この光景には見覚えがあるのではないでしょうか。

「○○さんは子供が小さいから出張は難しい」とか「△△さんは親の介護があるから転勤させられない」という理由で、最後に残った独身者に「あなたなら大丈夫ですよね」となるわけです。

独身者は会社の「調整弁」なのか

残業、休日出勤、急な出張、地方転勤、海外赴任。こうした仕事は「家庭の事情が少ない」と会社から判断された人に集中しやすくなります。

しかも独身者にも当然、生活があります。親の面倒を見る人もいれば、住宅ローンを抱える人もいます。友人との約束もあれば、趣味もあります。資格の勉強をしている人もいるでしょう。

ところが会社では、子供の運動会は「事情」になりますが、独身者の予定は単なる「私用」とみなされがちです。家族がいる人のプライベートには社会的な名前が付いています。「育児」「介護」「家族行事」です。

負担が増えても給料は同じ

もっと奇妙なのは、仕事の自由度を会社に提供しても、それがほとんど給料に反映されないことです。会社の都合に合わせて生活を変更できる「柔軟性」そのものを、企業は無料で使っているからです。

かつて日本企業は、転勤や長時間労働を受け入れる社員に年功賃金や終身雇用で報いる建前がありましたが、終身雇用は弱まり、昇給も小さくなりました。それでも「身軽な社員は会社の都合に合わせて当然」という発想だけが残っています。

配慮のコストを誰かに押しつけない

残業、出張、休日勤務、転勤など、社員の生活を制約する働き方には明確な値段を付けるべきです。転勤を受け入れたら手当を厚くする。急な勤務変更を引き受けたら評価する。特定の社員ばかりに出張が集中していないか人事がチェックする。

負担を「善意」で処理しない仕組みが必要です。企業が子育て支援を充実させることには賛成ですが、その費用を独身社員の時間で払ってはいけません。

単身世帯が3割を超える社会で、独身者を会社の「余白」として扱う人事制度は、すでに現実に合わなくなっています。会社がその生活を削って働いてもらいたいのであれば、せめて、その分くらい給料を払うべきです。

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