外からみた沖縄知事選:日本政府は沖縄との信頼関係構築を目指すべき

注目された沖縄県知事選は下馬評通り保守系の古謝玄太氏が革新系の玉城デニー氏を破り、県政交代となりました。なぜ古謝氏が勝利したか、既に様々なメディアがいろいろ分析しているのであえて私は触れません。ただ私はこれで沖縄県民の考え方が変わったわけではないと考えています。

当選確実の報が出たときのようす 古謝玄太氏 Xより

沖縄県は沖縄返還以降、保守と革新がまるでシーソーのように交互に変わってきた歴史があります。ただし、近年の選挙情勢の変化のきっかけは2014年に翁長雄志氏が仲井間氏を破った選挙であります。翁長氏は生粋の保守の方でしたが、選挙を見据え辺野古移転反対を唱え「オール沖縄」という切り口を作ります。保革の闘争から一歩踏み出したとも言えるのですが、それまでしばしば起きていた駐留米軍の米兵のトラブルやオスプレイ問題を含め、沖縄県民の安心安全という視点に立ったものだと理解しています。

翁長氏は知事就任途中でガンで死去し、その後を継いだのが玉城氏で2期8年の施政でありました。ここで古謝氏に変わったのがシーソー県政の結果ないし、沖縄県民の代替わりが進んできた結果といえるのかは肌感覚が分からないので何とも言えません。ただ、玉城氏は思想的に走りすぎた気がします。つまりイデオロギー優先でバランス感覚を失い、挙句に経済の浮揚が十分ではなく、更に国からの県振興予算は2014年の3500億円をピークに減少を辿り、2025年に2600億円台となっています。26年はわずかに増額になっていますが、基本的には国と県の対立構図がハッキリしていた12年間だったと思います。

沖縄は確かに琉球王国の時代から歴史的に様々な問題を抱えている中、日本政府は沖縄を手厚く繋ぎ止める施策を知事が誰であろうとも継続せざるを得ない事情がありました。それは大きく2つ。1つが沖縄県民の意識が本土となかなか混じりあわないと思っている方が多いこと。もう1つは油断を見せれば中国がいつでも手出しをしてくる可能性です。

島の人たち、これは沖縄に限らず北海道、九州、四国を含むという意味でいうと、海を渡るという心理的バリアは非常に大きいのです。私が時折大陸文化の話をしますが、日本国内に限って言えば本土が大陸という発想になるのです。そして島の人たちは本土に行くことをあたかも海外移住するほどの意識すらある人がいまだに相当います。それは鉄道や道路が橋やトンネルで繋がっていようがどうかは関係ないのです。ましてや沖縄は本土から距離もあり、歴史的成り立ちも違うのです。日本史をいくら勉強しても沖縄は一番最後にしか出てこないのです。このギャップはそう簡単に割り切れるものではないと思います。

よって今回、古謝氏が選挙で勝ったというより玉城氏の成績が振るわなかったといったほうが正解だと考えています。古謝氏は経済問題を主眼にし、センシティブな基地問題をイシューとして前面に押し出さないことが選挙戦略だったとも言えます。この手の話は例えば静岡県の2024年に当時の川勝知事がリニアのことが社会問題化したこともあり、辞任したのと似た構図ではないでしょうか?つまり県民意識がワンイシューではなかったのです。だけど県民のスタンスが全面的に変わったわけではない、ここが重要だと思います。

古謝氏に期待したいのは上記2つの根本問題、県民の意識と中国関係問題をどう捉え、解決策を見出せるかという点です。私なら国が圧倒的資金を沖縄に投入し、動かしえないほどの経済基盤を沖縄本土のみならず、離島にも作り上げ、沖縄県民に対する極めて高いリスペクトを政府こそが積極的に行うような対応が必要だと思います。このあたりは北米の先住民政策を見れば勉強になるはずです。

島しょにおける経済基盤の敷設は統制の絶対的な条件であります。たとえば国後、色丹、あるいは樺太にロシアがしっかりした経済基盤を作りつつあるのは一つの戦略だし、竹島には韓国警察が常駐しています。日本は数多くの島があることも理由してか、島しょ管理がおおらかなところがあるのです。ですが、大陸から見れば島には全く違った価値が存在するのです。ここに日本は鈍感だと思うのです。

日本政府は古謝氏が勝った⇒辺野古建設が推進されるという単純なことではなく、この機会をうまく使いながら1972年の返還以来、いまだ成しえない沖縄と日本の絶対信頼関係の構築を目指すべきかと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月14日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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