やせ薬「マンジャロ」を韓国から買いに来る人が激増:その理由は?

韓国から糖尿病治療薬「マンジャロ」を買いに来る人が増えています。その目的は「やせ薬」として処方してもらうこと。その背景にあるのは、驚くほど大きな価格差です。

飛行機代を払っても日本のほうが安い

韓国メディアによると、ソウル在住の30代男性は友人と福岡を日帰りで訪れ、マンジャロ4カ月分を約85万ウォン(10万円)で買いました。同じ量を韓国で買うと安くても170万ウォン以上。往復航空券約35万ウォンを加えても、日本まで飛んだほうが安かったといいます。

韓国では4週間分の2.5mg製剤が、安い医療機関でも約29万ウォン(3.5万円)ですが、日本の公定薬価は今年8月に値下げされて5772円と1/6です。なぜこれほど違うのでしょうか?

日本ではマンジャロは2型糖尿病治療薬として薬価制度の対象になっており、公的に薬価が決められていますが、韓国では自由診療で、医療機関が価格を設定できます。そこへ円安が重なり、薬を買えば日本旅行がタダになるという現象まで起きたのです。

「やせ薬」として人気が爆発

マンジャロの成分チルゼパチドは、GIPとGLP-1という2つの受容体に作用し、血糖を下げるだけでなく食欲を抑え、体重を減少させる作用があります。

肥満患者を対象にした大規模臨床試験では、72週間の投与で平均体重が5mg群で15.0%、10mg群で19.5%、15mg群で20.9%減少しました。プラセボ群は3.1%減だったため、従来の「ダイエット薬」とは一線を画す数字です。

韓国でも2024年にマンジャロの肥満症への適応も承認されましたが、日本ではマンジャロの承認された効能はあくまで2型糖尿病です。医師の処方が必要で、保険が適用されます。肥満症治療薬として承認されている製品名は「ゼップバウンド」です。

ブームの陰で「不正持ち帰り」も急増

韓国税関によると、マンジャロやウゴービなど肥満治療薬の違法輸入摘発は、2025年の年間1189件から、2026年上半期だけで4155件に激増しました。国際郵便だけでなく、旅行者が荷物に入れて持ち込むケースも増えています。

ただマンジャロは臨床試験でも消化器症状が主な副作用として確認され、死亡例も出ています。日本ではあくまで2型糖尿病の治療薬として認められており、やせ薬として使うことはおすすめできません。

薬価差が飛行機代より大きければ、人は国境を越えますが、本来は医師の管理下で使う処方薬まで「越境ショッピング」の対象になる現状は健全とはいえません。マンジャロブームが映し出しているのは、日本の薬価の異常な安さという現実です。

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