簗農水相の「運動員買収」疑惑:運動員に日当を払うと選挙違反?

簗和生農水相に、新たな公職選挙法違反の疑惑が浮上した。10月14日の文春オンラインによると、2024年10月の衆院選で、簗氏陣営の複数の選挙事務員が電話による投票の呼びかけなどに従事し、報酬を受け取っていたという。

簗氏の選挙運動(共同通信)

簗氏には、誰に何を依頼し、どのような対価を支払ったのかを説明する責任があるが、選挙運動を手伝った人への報酬を原則として禁じる公選法にも問題がある。

電話を受ける事務員には払えても、投票依頼には払えない

公選法は、選挙に関わる人への報酬を一律に禁止しているわけではない。労務者への報酬や、あらかじめ届け出た事務員、車上運動員などへの報酬は、一定の条件と上限の下で認められる。一方、一般の選挙運動員への報酬は原則として認められない。福岡県

今回の争点は、事務員という名目で支払われた金銭が、実際には投票依頼という選挙運動の対価だったのではないか、という点にある。文春は、複数の事務員が電話で投票を依頼し、報酬を受け取ったと証言したと報じている。ライブドアニュース

名称を「事務費」「日当」とすれば合法になるわけではない。総務省も国会答弁で、一般に、同じ人が同じ日に労務と選挙運動の両方に従事した場合、その人に報酬を支給することはできないとの解釈を示している。衆議院

無償奉仕を求める制度は公平か

金銭で選挙運動員を大量に動員できれば、資金力のある候補者が有利になる。報酬規制には、そのような競争を抑える意味があるが、無報酬なら公平なのか。仕事を休んで何日も選挙を手伝える人は限られる。

生活費を稼ぐ必要のある若者や、育児・介護を抱える人にとって、無償で時間を提供する負担は大きい。その結果、すでに後援会や組織の支援を持つ候補者が有利になり、新人は人手の確保に苦労する可能性がある。

資金力による格差を抑えようとして、組織力による格差を固定してはいないか。電話で政策を説明し、支持を呼びかける活動にも時間と労力がかかる。その対価を払うことまで原則として「買収」の問題になる制度は、見直す余地がある。

報酬の透明化と買収防止を両立させよ

もちろん、運動員報酬を自由化するだけでは、日当を装った利益供与が広がりかねない。本人の投票や集票数に応じて金銭を渡す行為と、実際の活動時間に応じた適正な報酬を、明確に区別する仕組みが必要だ。

例えば、運動員の登録、報酬額と人数の上限、業務・活動時間の記録、銀行振込、収支報告での公開を組み合わせ、一定範囲の有償活動を認める改革が考えられる。無償奉仕を建前にするより、金の流れを見えるようにした方が、不正を検証しやすくなるのではないか。

もちろん現行法に問題があるという主張は、簗氏の疑惑を免責する理由にはならない。簗氏には現行ルールに照らした説明を求めた上で国会は、選挙を支える人の労力に適正な対価を払える制度を議論すべきである。

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