最高裁判所が、これまで男性職員に限っていた裁判所の夜間業務について、女性職員にも割り当てる方針を決めました。
対象となるのは、逮捕状の審査や発付手続きなどを補助する裁判所書記官や事務官の夜間勤務です。これまで女性職員は原則として対象外でしたが、今後は性別に関係なく担当することになります。

最高裁(公式サイト)
男女平等なのに夜勤は男性だけ?
背景には、刑事司法手続きのデジタル化があります。2027年3月までに刑事手続きのデジタル化が始まり、逮捕状の請求などもオンラインで可能になります。これに伴い、全国の裁判所で行ってきた夜間業務を東京と大阪に集約する方向で調整が進んでいます。最高裁は、この機会に従来の男女別の勤務体制も見直すことにしました。
興味深いのは、これまで裁判所で男性だけが夜間勤務を担っていたという事実です。女性の深夜労働を原則禁止していた労働基準法の規制は、1999年に撤廃されました。それから27年が経過しても、司法行政の現場には性別による役割分担が残っていたのです。
女性の夜間勤務を制限してきた背景には、安全確保や休憩施設の整備などの事情があったとみられます。しかし、そうした問題は設備や勤務制度によって解決すべきものであり、女性を一律に対象外とする理由にはなりません。
しかも、裁判所では女性職員の割合が増えています。2024年に採用された職員の61.5%は女性だったといいます。
女性の採用が過半数を占める一方、負担の大きい夜間業務を男性だけが担当する仕組みは、公平性の観点から再検討が必要だったといえるでしょう。
権利の平等だけでなく義務の平等も
男女共同参画というと、女性管理職の比率や昇進機会の平等が議論されることが多くあります。
もちろん、女性が能力に応じて昇進できる環境を整えることは重要です。しかし、平等とは権利や待遇だけでなく、仕事上の責任や負担についても考えるべきものです。
男性だから夜勤を担当し、女性だから免除されるという制度は、男性にとって不公平であるだけでなく、女性の職務経験やキャリア形成の機会を制限する可能性もあります。
ただし、男女平等を理由に、育児や介護、健康上の事情を無視して一律に夜勤を命じることも適切ではありません。必要なのは、性別ではなく個人の事情に応じた合理的な勤務制度です。
デジタル化で働き方そのものを変えられるか
今回の改革には、もう1つ重要な論点があります。それは、そもそも夜間業務をどこまで減らせるのかという問題です。
オンライン化によって全国の業務を集約できれば、従来のように各地で当番を配置する必要性は小さくなります。職員の負担を減らしながら、司法手続きの迅速化を図ることも可能になるでしょう。
一方、東京と大阪に業務が集中すれば、両地域の職員の負担が増えるおそれもあります。業務量に応じた人員配置や手当、十分な休息時間の確保が不可欠です。
男女平等を実現することは、男性の負担をそのまま女性にも背負わせることではありません。性別による不合理な区別をなくすと同時に、デジタル化によって不要な負担そのものを減らす。今回の最高裁の方針転換は、司法行政の働き方を根本から見直す機会にすべきではないでしょうか。







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