本書は高市政権の「責任ある積極財政」の理論である。内容はこれまで成長戦略会議などで彼が主張してきたMMTもどきの話で、買って読む価値はない。「サナエノミクス」の意味を知りたい人は、AIで要約してもらえばいい。
「企業の貯蓄過剰が問題だ」というのは正しい
Geminiによると本書の内容は
日本経済の異常値は企業の貯蓄超過(黒字):本来、企業は銀行などから資金を借り入れて(赤字になって)積極的に設備投資を行い、成長していくべき存在である。しかしバブル崩壊以降、日本企業は借金返済を最優先し、「投資主体」から「貯蓄主体」へと変質してしまった。企業がお金を貯め込んで投資を控えた結果、社会全体の需要が減少し、これがデフレの根本的な原因(真犯人)となった。
ここまでは正しい(これが★一つつけた理由)。次の図のように2024年の非金融法人企業の純貯蓄(貯蓄-投資)は26兆円の貯蓄超過、つまり純投資がマイナスである。これは10年ぐらい前から多くの経済学者が指摘してきたことで、長期低迷の最大の原因と考えられている。

これは新しい話ではないが、会田氏独自の解決策は財政赤字をもっと増やせという提案である。これはバランスシートを読み違えている。上の図のように一般政府の財政赤字は8兆円で、経常収支の黒字30兆円と合わせると、企業と家計の貯蓄を相殺している。
つまり日本経済のISバランスは均衡しているのだ。
財政赤字を増やすと「クラウディングアウト」で金利が上がる
マクロ経済学で習うように、総供給(貯蓄)が総需要(投資)より大きい場合は、物価と金利が変動して貯蓄と投資が一致する。日本もコロナで巨額の財政赤字が出たあとインフレになり、金利が上がって財政赤字が減った。それがISバランスの均衡である。
これ以上、財政赤字を増やすと、インフレになって円安になる。ISバランスが均衡している状態で財政赤字を増やすとクラウディングアウトが起こって民間投資が阻害され、金利が上がるだけだ。それがいま起こっていることである。
会田氏は「財政赤字で成長する」というが、民間経済の潜在成長率を政府が上げることはできない。財政赤字を増やすと一時的にGDPは上がるが、長期的には潜在成長率に回帰するというのが、今年ノーベル賞を受賞したウッドフォードなどの自然利子率の理論である。
財政赤字では成長できない
高市政権の「成長投資」で、成長率はまったく上がらない。クールジャパン機構のような税金の無駄づかいがふえるだけだ。よくある高圧経済も、バイデン政権でインフレの火に油を注いで、10%も物価が上がった元凶である。
政府投資を増やしたら総供給が増える前に総需要が増えるので、財政赤字では成長できない。一時的にGDPが増えても、財政赤字が減ったら元に戻る。潜在成長率を上げるには雇用改革などで生産性を上げる必要があり、補助金などのバラマキは有害無益である。
ISバランスも知らないで「バラマキ財政で無限に成長できる」というオカルト経済学を高市首相や城内経財相が信じていることが、金利上昇と円安の止まらない原因である。








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