原沢敦美氏が横浜市長に:「パワハラしない」以上の政策を打ち出せるか

前市長の辞職に伴う横浜市長選挙が10月18日に投開票され、無所属新人で弁護士の原沢敦美氏(59)が初当選を確実にした。パワーハラスメント問題で辞職しながら再出馬した山中竹春前市長(54)ら6人を退けた。

原澤敦美氏Xより

約375万人の市民を抱える巨大都市の選挙で問われたのは、政策以前に「部下をまともに扱えるか」という、管理職としては初歩的な資質だった。

パワハラで辞職して、もう一度市長に?

山中氏は職員への言動が第三者調査でパワハラと認定され、9月に辞職した。それでも再び市長選に立候補したのだから、政治家の復活への執念には驚かされる。

しかし、職員へのハラスメントが問題になった市長が、再び同じ市役所のトップに戻ろうとする。職員にしてみれば、辞めたはずの上司がまた戻ってくるかもしれないという、悪い冗談のような展開だった。

市民が求めたのは、立派な政策以前に、職員が安心して働ける普通の職場だったのかもしれない。

航空整備士から弁護士へ

当選を確実にした原沢氏は、慶應義塾大学大学院を修了後、日本航空で航空整備士として勤務。女性では珍しかった1等航空整備士の資格を取得した。その後、弁護士に転身し、企業法務やガバナンス、入札制度改革などに携わってきた。

航空機の整備から企業のコンプライアンスへ。今度はパワハラ問題で傷ついた横浜市役所の「整備」を任されることになったわけだ。

原沢氏は「あらゆるハラスメントを許さない職場環境」を公約に掲げた。市長候補の公約としては当たり前すぎる話だが、それが最大の売り物になるところに横浜市政の混乱が表れている。

横浜市役所は修理できるか

もっとも、コンプライアンスの専門家だからといって、行政経営の専門家とは限らない。横浜市には少子高齢化、社会保障費の増加、公共インフラの老朽化、郊外住宅地の衰退など、課題が山積している。

2027年の国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」や山下ふ頭の再開発も、華やかな構想だけでなく、財政負担と費用対効果を検証する必要がある。

原沢氏は財政健全化や企業誘致も掲げるが、厳しい政策判断を迫られる場面は少なくない。

しかも、自民党、維新、国民民主党の地方組織が推薦し、公明党市議団も支持した。これだけ幅広い政治勢力に支えられれば、今度は各党への気配りで身動きが取れなくなる恐れもある。

パワハラをしないことは市長の必要条件だが、それだけでは横浜の未来は開けない。「怒鳴らない市長」が誕生するだけで市政改革が終わってしまわないことを祈るばかりだ。

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