秋には選挙が多く、日本でも週末は全国レベルで地方選が行われ、今週末も続きます。カナダでも地方選が行われ、市長選や市議選などの結果が続々と上がってきています。アルバータ州では独立を問う州民への「問診投票」が月曜日に行われていますし、注目される今週末のイスラエル総選挙や来月早々のアメリカの中間選挙も控えます。
ここまでの選挙を見ると有権者が現状に何らかの不満を抱えており、その矛先を政治に向け、選挙戦に対して必要以上の期待を示しているように感じます。選挙は常にそんなものかもしれませんが、国民や市民感情と現実とのギャップを推し量るという点で、現職が再選するのか、新人が当選するのかを調べてみると一つのバロメーターになるかと思います。
ちなみに日本で週末行われた市長選は5つで、うち新人が3勝、現職が2勝です。カナダBC州の場合、44か所で現職が新人に敗れるという事態が起きています。歴史的な変化と捉える報道もあります。
実は選挙ではなかったのですが、先般の簗和生氏の大臣更迭も実質的には国民による審判ではなかったのか、と考えています。あれだけ与野党からマスコミまで総動員して責任追及をしたのは簗氏の大臣資質を社会が受け入れず、その為に次の選挙や内閣改造まで待てない、今すぐクビにしろという激しい抗議だったとみてます。
かつて安倍晋三氏も様々な問題を抱え、社会から大きな不満の声が起き、野党も攻めましたが、陥落できなかったのは国民の一体化した声ではなく、一部の層の声が大きかったことはあったでしょう。本人の抗弁もなかなかで、2017年の森友問題の際、「総理大臣も国会議員も辞める」という有名な発言は本人の自信の表れだったと言えましょう。それに対して簗氏は問題発覚当初から逃げの一手で結局、まともな言い訳1つできず終わっています。つまり完敗と言い切ってよいと思います。
週末の選挙で注目されたのは横浜市長選で、パワハラ問題で辞職した山中竹春前市長が再選をかけて戦ったものの当選したのはコンプラ専門の弁護士の原沢敦美氏。つまり市民は感情的に山中氏の真逆をストレートで選んだのです。これほどわかりやすい結果はないと思いますが、第三者的に見れば横浜市は当面停滞するだろうとみています。理由は市政を攻めから守りに変えてしまう公算が高いからです。

原沢あつみ氏HPより
同様の結果が出たのがバンクーバーの市長選で、ビジネス重視派だった前市長から突如、環境重視派の市長になってしまいました。公約は私から見れば最悪で、貿易より内輪で廻す経済を促進するというもの。「保身的保守」と「成長より安心安定を目指す」ものです。もちろん、市長1人が市の歴史を変えることはできませんが、市政により街の発展やチャレンジが滞ることはよくあることです。
有権者は時として極端な反応を示しますが、近年、その傾向は強まってきているように感じます。SNSやAIによる断片的、断面的な印象付けが増えており、多面的に物事を捉えるのが難しくなったとも言えます。もちろん、選挙戦略として「劇場型」もあり、ある事柄に絞っていくやり方は小泉純一郎氏以降、選挙戦略の重要な手法の一つになったともいえ、小さな政党が乱立するきっかけにもなったといえます。
地方選挙にせよ国政選挙にせよ有権者は様々な方々のミックスであり、一つの事案に対して強烈にアピールするやり方はインスタ的であり、印象付けはよくても、市政ないし国政全体のバランスという意味では不十分なことも多く、当然、盛り上がりやすく冷めやすい傾向もあると思います。
選挙結果も個別で見るより大局的に見るとまた違った社会動向の変化ぶりを感じることが出来ると思います。その中で選挙公約を一覧でみせるウェブサイトは数多く立ち上がりますが、私は選挙管理委員会の業務を事務手続きに留まらず、公的に候補者から直接、一定のフォーマットと字数制限付きで選挙公約を集め、一覧比較を提示すべきではないかと思います。有権者にとって候補者の直接の言質を文章で確認し、公平な意味での比較参照することができれば興味がわくと思います。選挙はいまだに顔かたち、知名度、学歴や経歴など外的要素で選ぶ傾向が強すぎる気がします。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月20日の記事より転載させていただきました。






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