会社に搾取されるのは「転職しない人」

黒坂岳央です。

最近、「会社は労働者を搾取するのだから、必要最低限の仕事だけをする静かな退職で対抗する」といった意見を見かける。

気持ちはわからなくもないが、キャリア形成という観点から考えると、ハッキリいってこれは悪手としか言いようがない。なぜなら最も損をするのは会社ではなく、市場価値がなくなる労働者側だからだ。

そもそも、従業員をまともに扱わない企業が存続できるのは転職しない、もとい「できない社員」が働き続けているからだ。持論を述べたい。

PonyWang/iStock

ブラック企業は社員が作る

そもそも、法人そのものに善悪があるわけではない。会社とは人間の集まりでそこで働く人間で作られる。ブラック企業を作っているのは、法人という架空の存在に見えて、実際にはその中にいる人間たちなのだ。

そして、筆者が問題だと考えるのは、劣悪な環境なのにそうした会社から人がなかなか辞めないことである。これが会社を延命させる。そしてますます環境は悪化してしまうのだ。

通常、まともな会社は優秀な人材ほど、より良い待遇を求めて転職する。会社は人材流出を防ぐために賃金や労働環境を改善する必要に迫られる。それができなければ、事業を縮小するか、最終的には市場から撤退することになる。これが市場経済における自然な新陳代謝である。

ところが転職できるようなスキル、経験を持っていない人は留まるしかないという発想で滅私奉公を続ける。だからブラック企業は転職できない人たちが作り上げているといっていい。

転職歴ゼロは労働市場の信用がない

頑なに転職しない人の中には「安易に転職すると信用がなくなるから」と不安を口にするケースが多い。それ自体は確かに正論で、短期間に転職を繰り返したり、キャリアの一貫性がない転職は疑いの目を向けられても仕方がない。だが、転職歴ゼロというのも実は信用がない。

これはクレジットカードの利用歴と同じ話だ。世の中には借金を極端に嫌い、クレジットカードもローンも一切利用しない人がいる。

本人は堅実な生活を送っているつもりかもしれない、金融機関から見ると、過去の返済履歴がないため、信用力を判断する材料がないのでお金を貸しづらい。本人だけは無借金のホワイトだと思いこんでいるが、金融機関からはグレーに見えている。

転職にもこれと似た側面があると筆者は考える。一度も転職しないまま40代、50代を迎えた人は、社内では高く評価されているかもしれないが、労働市場では採用に二の足を踏む企業は少なくないだろう。実績0だからだ。

20代で転職を2回は経験しろ

筆者は、20代のうちから転職市場を経験しておくべきだと考えている。

若いうちは未経験の仕事にも挑戦しやすく、仮に転職先が合わなくても、その後にキャリアを修正する時間が十分に残されている。筆者がやったように20代の内に2回くらいはキャリアアップ転職をするべきだと思う。

入社する時は「この会社に一生骨を埋めます」という決意ではなく、「この会社で3年間、労働市場で価値あるスキルと経験を作る。そして次の転職では、絶対に今より高い年収を勝ち取る」最初から転職前提で仕事に取り組めばいいと思っている。

一見すると「会社を踏み台にするような不誠実」と見えるかもしれないがそんなことはない。働く3年間でしっかり仕事で結果を出せば会社も助かるし、いざ辞める時は後任への引き継ぎをきちんとすれば「採用してよかった」となる。

むしろ、やる気もないのに静かな退職で居座られる方が真面目に働いている周囲や会社に大迷惑だ。

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一昔前なら終身雇用を前提に、一つの会社で定年まで働くことが理想的なキャリアだった。しかし、今は違う。転職、独立、なんでも道はある。

筆者自身、会社員時代には何度も転職を経験したし、最後にはサラリーマンが合わないと感じて今はやめてしまった。

最初から起業を目指していたわけではなく、20代の内に何度も転職してキャリアアップも経験して「それでも合わない」と思ったから見切りをつけたのだ。

そして特に20代、30代の若い内は人生の見切りは1日も早いほうがいい。

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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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