モンゴル東部の自然保護区で大規模な草原火災が発生し、東京都の約2.4倍に相当する面積が焼失した。出火原因は、日本の通信大手KDDIの連結子会社「モビコム」の幹部らが乗った車両とみられている。KDDIは火災について謝罪したが、現地では企業の責任を追及する声が強まっている。
自然保護区の約8割が焼失
火災が発生したのは10月8日、モンゴル東部ドルノド県のヌムルグ自然保護区だ。火は乾燥した草原を次々と焼き尽くし、16日まで約8日間にわたって燃え続けた。
焼失面積は約5000平方キロメートルに及び、自然保護区の約8割が被害を受けたとされる。同保護区は希少な野生動物が生息する地域で、生態系への深刻な影響が懸念されている。
火災は中国との国境付近にまで拡大し、中国側も延焼を防ぐため約3400人を動員した。
KDDI子会社の車から出火か
中国国営新華社通信などによると、出火の原因は、モビコムの幹部らが乗った車列の一部車両に乾燥した草が挟まり、引火したこととみられる。
モビコムはモンゴル最大手の携帯電話会社で、KDDIの連結子会社だ。現場には日本人幹部も同行していた。
モビコム側は、自然保護区に立ち入った目的について、4G通信網のフィールド試験だったと説明している。一方、現地では希少魚アムールイトウの釣りや狩猟が目的だったとの報道もあり、立ち入りの経緯が問題になっている。ただし、私的な釣りや狩猟が目的だったかどうかは確認されていない。
KDDIは、グループ会社の活動に関連して火災が発生したことを認め、モンゴルの自然環境に大きな影響を与えたとして謝罪した。
モンゴル政府は損害賠償を要求
モビコムの越智康博CEOは記者会見で、自然環境に被害を与えたことについて謝罪した。
しかし、モンゴルのノムトイバヤル副首相は、謝罪だけでは済まされないとの姿勢を示している。政府は関係者の責任を調査し、損害賠償を求める方針だ。
問題は、焼失した草原の損害を金銭だけで償えるのかという点である。自然保護区には希少な動植物が生息しており、生態系が回復するには長い年月がかかる可能性がある。
さらに、立ち入りが厳しく制限された区域で、どのような安全管理が行われていたのかも問われる。通信試験が目的だったとしても、乾燥した草原を車両で走行する危険性は事前に検討すべきだった。
KDDIはフィールド試験の手順や安全管理体制を抜本的に見直すとしている。しかし、今回の被害規模を考えれば、再発防止策だけでなく、環境回復への長期的な関与も求められるだろう。
海外で事業を展開する日本企業にとって、現地の自然環境を守ることは社会的責任の一つだ。今回の火災は、KDDIグループの企業統治と危機管理のあり方を問う重大な事件となった。
現地当局による出火原因や立ち入り目的の最終的な調査結果は、まだ公表されていない。
参考:FNNプライムオンライン(10月21日)、ABEMA TIMES(10月22日)、オルタナ(10月21日)







コメント