ドイツ民間放送ニュース専門局ntvは24日、ドイツのバイエルン州オーバーザルツベルクにあるアドルフ・ヒトラーのティ―ハウス(ケールシュタインハウス)が23日夜、大部分が焼失する状況をタイムラプスで放映した。51秒余りの短い映像だが、ヒトラーがナチス幹部の慰労や要人との接待用として利用していたティ―ハウスが暗闇の中、炎に飲み込まれていく状況が不気味に映し出されていた。

燃え上がるヒトラーのティーハウス、オーストリア国営放送(ORF)のZiB番組からスクリーンショット
山頂にあるケールシュタインハウス(通称イーグルズ・ネスト=鷲の巣)はナチス高官のマルティン・ボルマンが、ヒトラーの50歳の誕生日プレゼントとして1938年に完成させた。標高1,834メートルのケールシュタイン山頂に建てられている。同ハウス内の「黄金のエレベーター」は有名。戦争を生き延び、近年では絶景を楽しめるレストランとして親しまれてきた。ちなみに、ハウス内にはヒトラーの妻エバ・ブラウンの仕事部屋があった。戦後、ヒトラーのティーハウスは米軍が一時完全に管理下に置いた。
警察が撮影したドローン映像では、火災で屋根は崩落し、廃墟からは依然として煙が立ち上り、周囲には降り積もったばかりの雪が広がっている。同ハウスが標高1834メートルの高さにあること、気候が不順であったことから、消火作業は困難を極めたという。
捜査当局は放火容疑で33歳のドイツ人の男を逮捕した。トラウンシュタイン地方検察庁によると、容疑者は精神疾患を抱え、刑事責任能力が低い可能性があるという。また、政治的な動機があったかどうかも捜査の対象となっている。
ライナー・ヴィーツェ検察官は24日、ベルヒテスガーデンでの記者会見で、容疑者に対する予備的な精神鑑定の結果、刑事責任能力が不十分という結論に至ったという。男はローゼンハイムの担当判事のもとに送致された。精神疾患を抱える犯罪者のための司法精神医療施設への収容を求めるための措置という。
なお、バイエルン州のヨアヒム・ヘルマン内相は、放火の疑いが持たれている男が狭く急勾配のケールシュタイン通りをオートバイで走行していた際に、駆けつけた警察官らと遭遇。男はオートバイに乗ったまま逃走を図ろうとするなど、身柄拘束は困難を極めたという。
なお、ヘルマン内相は「廃墟となった建物をそのまま放置しておくわけにはいかない」と述べ、同地の再建の見込みを示唆した。当該物件はバイエルン州の所有であり、バイエルン州内務省の管轄下にある。

アドルフ・ヒトラーの1938年の肖像写真、Wikipediaより
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年10月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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