国会審議と国家公務員の健康の関係を分析した研究が、国際誌に掲載されました。
役所を辞めて研究者になってから、ずーーーーーーっとやりたかった研究が、ついに世に出ました!!!
それが「国会審議時間と国家公務員の健康」に関する研究です。
国家公務員には労働基準法が適用されません。国会会期中には、総理や大臣の答弁の準備で、深夜・早朝まで働くことがよくあります。
そんな超長時間労働が、国家公務員の健康にどのような影響を与えているのか、これまで明らかになっていませんでした。そこで私は「連合会を組織する共済組合における医療状況実態統計調査」という非常にマニアックな調査の個票データ8年分を財務省から取り寄せて、国家公務員の外来医療費を府省別に分析しました。
まずわかったのは、府省によって外来医療費に大きなばらつきがあることです。
一人当たりの外来医療費が最も高かったのは…厚生労働省でした。
厚生労働省では、特にメンタルヘルス関連の医療費が目立ちました。
また、8年間の累積の国会審議時間が最も長かったのも厚生労働省で、2位の内閣府を1000時間以上上回りました。
国会審議時間と外来医療費の関連を分析したところ、対応する常任委員会の審議時間が長い府省ほど、外来医療費が高い傾向がみられました。
この結果はあくまで「相関関係」で、厳密な「因果関係」には言及できません。
しかし、国会業務を含めた国家公務員の「働き方改革」の必要性を示唆する結果です。— 佐藤豪竜|『働き方の科学』著者 (@koryu0610) October 23, 2026
慶應義塾大学の佐藤豪竜さんらによる論文で、北欧の労働衛生分野の専門誌「Scandinavian Journal of Work, Environment & Health」に今月公開されたものです。
役所出身の研究者が、ずっと温めてきたテーマだそうです。

霞が関 国交省HPより
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研究の中身を簡単にご紹介します。
対象は霞が関の主要10府省の本省職員(18〜50歳)。2016年から2023年までの8年分、共済組合の医療費データを財務省から取り寄せて分析しています。
まず、一人当たりの外来医療費は府省によって2倍以上の差がありました。
最も低いのは外務省で月約19.8ドル。最も高いのは厚生労働省で月約42.7ドルです。
厚労省では、精神・行動の障害、つまりメンタルヘルス関連の医療費が平均を上回る最大の要因になっていました。
そして、8年間の国会審議時間が最も長かったのも厚労省です。
さらに、担当する常任委員会の職員一人当たり審議時間が1%増えると、外来医療費が0.25%増える関連が確認されました。
注目すべきは、その中身です。一件あたりの治療費が高くなっているのではなく、受診する件数そのものが増えている。
体調を崩して病院に行く人が増えている、ということです。
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私も国会議員として、委員会で質問する側にいました。
質問通告を出すと、その内容をもとに各府省の担当者が答弁を作ります。通告が前日の夕方や夜にずれ込めば、作業は深夜に及びます。
国家公務員には労働基準法の上限規制が適用されません。国会対応の負担が、どこかで歯止めをかけられる仕組みにはなっていないのです。
霞が関の長時間労働はこれまでも指摘されてきましたが、多くは体験談やアンケートベースでした。
それが医療費という客観的なデータで、しかも府省ごとの比較として示された。ここに大きな意義があると考えます。
もちろん、この研究には限界もあります。
著者自身が述べているとおり、示されたのは「相関関係」であり、因果関係までは言えません。府省単位の集計データによる分析なので、個々の職員の働き方まで追えているわけでもありません。
また、「国会審議は行政監視の場であり、時間を削るべきではない」という意見もあるでしょう。
もちろん、ただ政府をチェックする時間を減らすことを目的としてはなりませんが、では何を減らすのか。
審議を支える「準備の非効率」です。
質問通告のさらなる早期化、レクや答弁作成のデジタル化、答弁内容の過度な擦り合わせの見直し。審議の質を落とさずに削れるものは、まだまだあります。
国会改革というと、議員や政党の都合の話に聞こえがちです。
しかし実際には、国の政策を支える人たちの健康の問題でもある。この研究は、そのことをデータで示してくれました。
議論の土台になる貴重な研究です。国会の側から、しっかり受け止めていきたいと思います。
編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年10月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。







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