黒坂岳央です。
住宅選びにおいて「駅チカ」は絶対的な正義のように扱われている。筆者も昔はそう考え、どれだけ駅に近い場所に住めるかを重視した。
ところが、サラリーマンをやめたことで今は価値観が完全に逆転した。現在の筆者は、むしろ駅から近くない方がいいと考えている。そして経営者や投資家など、通勤の必要がない人にとって同じ感覚を持っている人もいるのではないだろうか。

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駅チカの価値は「通勤」
なぜ駅チカは人気なのだろうか。その最大の理由の一つは、毎日の通勤である。
たとえば、駅徒歩5分と20分の住宅では、片道15分、往復30分の差がある。年間240日出勤すれば120時間、10年間なら1,200時間もの違いになる。これだけの時間を節約できるなら、駅チカ物件に高いお金を払う合理性は十分にある。
仮に筆者が一人暮らしで、都内でサラリーマンをしているなら出来る限り会社の近くに住むだろう。
だが、通勤がなければどうだろう。筆者のように自宅で仕事をする人や、通勤の必要がない投資家にとって、駅までの距離は日常生活に全く影響しない。
都心に行くときは車かタクシーを使ってイベントや会食などの時だけ遠出をすればいい。週に5日使う駅と、月に1-2回しか使わない駅では、近くに住む価値がまるで違う。それなのに、駅チカというだけで高額な住宅費を負担するのは合理的である。
駅チカ特有のデメリット
もう一つ見落とされがちなのが、駅チカのデメリットだ。
駅の周辺にはさまざまな人が集まる。通勤客、買い物客、観光客、飲食店の利用者など、人の往来が多い。当然、場所によっては道路が混雑し、騒音も増える。
休日に車で出かけようとしても周辺道路が混んでいる。飲食店やスーパーに行けば人が多い。繁華街に近ければ夜間まで騒がしいこともある。駅チカの利便性を享受するために高い住宅費を払っているのに、その駅周辺の混雑によって日常生活の時間を奪われるのである。これは、電車を使わない人にとっては割に合わない。
一方、駅から少し離れた落ち着いた住宅街なら、車の出し入れがしやすく、道路も比較的空いている。大型スーパーや商業施設に車でアクセスできれば、日常の買い物にも困らない。筆者にとってはイオンモールが1つあれば必要なものの95%くらいは揃う。都心に用事があるのは仕事、人と会う時だけでいいのだ。
電車に乗らない人にとっては、駅徒歩3分よりも、車でストレスなく移動できる駅徒歩1時間の住宅街の方が便利なのだ。
高額な駅チカよりタクシー
駅チカのもう一つの問題は、住居コストである。一般に駅に近い土地ほど需要が高く、同じ予算では住宅が狭くなったり、建物の条件を妥協したりする必要がある。だが、通勤しない人がそこまでして駅に近づく意味はない。
仮に駅チカに住むことで、住居費が月5万円高くなるとする。年間60万円、10年間で600万円の差である。一方、月に4回、往復3,000円のタクシーを利用したとしても年間14万4,000円で済む。つまり、この仮定ではタクシー代を支払っても年間45万6,000円が浮く計算になる。
実際、筆者は仕事で東京に行くときは移動はすべてタクシーに変えた。それにより宿泊するホテルも駅近を選ぶ必要がなくなり、混雑や騒音から解放され、「東京でも駅チカを選ばない合理性」を感じている。トータルだとタクシーに乗ってアクセスが悪いホテルに泊まったほうがむしろ安いこともある。
◇
昔、筆者は先輩経営者から「自営業者は何もかもがサラリーマンの逆が正しい事が多い」と教わったことがあるが、駅チカについても真逆ということを脱サラして感じているのである。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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