GMOの熊谷さんは決して「逃げない」

内藤 忍

GMOグループがハッキング被害に遭遇し、顧客口座の資産を消滅させると脅迫されているというニュースが大きく取り上げられています。

システムの脆弱性を突かれたことに対し社内のセキュリティ対策の不備を指摘する声もあり、今後の顧客への損失補償やシステム改修などを考慮すると多額の損失が発生する可能性は否定できません。

このニュースで思い出すのは、かつて同社が消費者金融事業で直面した大きな危機です。

2000年代半ばにGMOは総合金融グループ化を目指してオリエント信販などのノンバンクを買収しました。

しかし、その直後の最高裁判決によってグレーゾーン金利が否定され、ノンバンクに対する過払い金返還請求が急増することになります。

GMOが買収前の旧オーナー時代の分まで含めた巨額の請求に対応するため引当金計上を迫られ、約250億円を投じた事業をわずか500万円ほどで売却。一時は債務超過の危機に陥るほどの致命的な打撃を受けました。

この未曾有の危機において、創業者の熊谷正寿さんは決して現実から逃げることはありませんでした。

何と100億円を超える個人資産や不動産を会社へ提供し、グループ企業の株式を個人で買い取って現金を投入するなど、自らの私財を投げ打って対応に奔走したと言います。最終的には倒産危機を回避して問題解決へと導いた実績があります。

こうした絶対的に危機的な状況になった時こそ、経営者の真価や胆力が問われます。

今回の危機においても、熊谷代表は自身がSNSを通じて発表しているコメントで「逃げない」という強い意思を示しています。私は今回もきっと危機を乗り越えて問題を解決してくれると思っています。

もちろん、サイバー攻撃を巡る状況には依然として不確定要因が多く、解決までに相応の時間とコストがかかることは避けられないでしょう。

しかし、過去の壮絶な苦境を強いリーダーシップと愚直な誠実さで乗り越えてきた同社の歴史を振り返れば同じ結果に辿り着くはずです。

熊谷さんがSNSで投稿しているプライベートジェットなどの派手な生活ぶりに対するやっかみなのか嫉妬なのかわかりませんが、GMOの経営については批判的な声が大きいように思います。

私はプライベートに関してあれこれ批判をする前に、ゼロからここまでの事業を作り上げてきた起業家としてのパッションと実績を評価すべきだと思っています。

ちなみに私はGMOグループのいくつかのサービスを利用していますが、GMOグループとの利害関係は一切ありません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年10月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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