世界の主要国は利上げのサイクルのど真ん中にいると言ってよいでしょう。アメリカと欧州が9月に利上げ、カナダが今日、3年ぶりに利上げ、また12月はアメリカ、欧州、日本が利上げの公算が高く、カナダも更なる利上げタイミングを見計らっています。
アメリカはインフレが鎮静化しないので本来であれば、今日、利上げしてもおかしくなかったのですが、私の偏見的な見方として選挙前に利上げするのはあまりにも政局無視とされるのでトランプ氏や共和党に忖度しなかったとは言えないでしょう。記者会見ではウォーシュ議長は明白に否定していましたが、それは口には出せません。ただし、インフレ状況からは2か月連続利上げを拒む積極的理由はなく、ウォーシュ議長も苦渋の選択ではないかとみています。
欧州も今夜、政策決定会合の決定がありますが、フランスの国情が非常に悪く、それが欧州の他国に拡散する傾向もあります。併せてフランス国債の利回りが24年ぶりの水準に張り付いていますが、国債の利回り上昇は実質的には利上げと同じような効果が生じることから一旦様子見にするのではないでしょうか?
今回の利上げサイクルですが、私が俯瞰する限り、上げ幅は0.75%から1%ポイントがMAXではないかと思います。つまり既に9月から上がり始めているのであと2-3回程度の利上げを想定します。サイクルの期間としては短く、たぶん、27年晩春から27年半ばにピーク打ちになると思います。
日本については私が以前から予想しているように12月(ないし1月)に1度、春にあと1度で打ち止めかと思います。つまり1.75%でピーク打ちとみますが、もしも世界で新たな戦争や資源問題などが勃発すればその先の予想は不可能ということになります。

高市首相と城内経財相 首相官邸HPより
私が来年半ばまでには今の状況が変わるであろうと考える理由は以下の通りです。
- 今回の物価高の要因が関税措置とともにトランプ氏のイラン攻めに大きく起因するところがあるが、中間選挙後にイランを更に攻める噂はあるものの、武器装備不足とリスク見合いを考えるとできないとみる。よってむしろ和平の機運が高まれば原油価格は急落し、物価は落ち着きを取り戻す。
- ウクライナ戦争終焉の可能性。トランプ氏はプーチン氏および習近平氏と最終的な調整しながら遠くないうちに終戦させるかもしれない。その場合、ガス価格の下落、及びドイツがロシアへ接近する可能性を含め、復興期と再構築期に入るとみている。
- アメリカやカナダの雇用状況の不安感。2024年春頃から北米の雇用状況は明らかに変質化しており、雇用を十分産み出していない。現在は移民を追い出した効果が残っているが、今後、それが剥離して雇用成長が見られない場合、利下げバイアスがかかりやすい。
- 住宅産業の大打撃。どの国でも住宅産業は産業の要であるが、この高金利では住宅ローンが理不尽であり、住宅が売れず、カナダでは倒産目前の大手企業も数多い。
- 厳しさが続く中国経済の世界への影響。中国と世界経済はデカップリングをしているわけではなく、中国の爆食経済が世界を潤したことは自明。ただ、このところの中国経済の成長率が目標レンジの下限の4.5%程度で株価が長期下落トレンドを辿っており、その深刻さは無視できないレベルの可能性がある。中国の購買力が弱まれば世界に波及するため、西側諸国の企業景観への影響も避けられない。
- AIへの資金流入はピーク打ち。間近に迫るアンソロピックの上場、メタ社とスペースX社の巨額資金調達、そして来年春にもオープンAIの上場でAI投資の今回のサイクルはひと段落するのではないか。とすれば資金需要の下落で利上げバイアスも下がるであろう。
つまり端的に言ってしまえば、戦争により人為的に作られたと言ってよい物価高のみが当面の課題であり、他の経済状況は利上げを支持する状況にはないとみています。
世界は誰が何と言ってもグローバル化していることは間違いなく、金利動向も主要国は同じような政策方針になりやすいものです。仮に日本だけ利上げしないとなればそれこそ、取り残され感満載で失われた30年再来になってしまうのです。むしろ世界と同じように利上げしていることを喜ばしく思うべきでようやく日本も世界と歩調を合わせられるようになった、つまり集中治療室⇒30年のリハビリから脱したと言ってよいのでしょう。
城内実経済財政相は10月23日に「デフレ脱却宣言の状況にない」と述べています。政府は「2度とデフレに戻らないことを確認できていない」ことをその理由にしていますが、こんなのは滑稽さを通り越しています。政府の言うことはもの凄い鈍感性と遅効性があるということを改めて認識すべきでしょう。多分、政府としてはデフレの問題ではなく、国民経済の健全性が十分に戻っていないといいたいのではないでしょうか?ならば一生デフレ脱却宣言もできなくなるかも、です。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月29日の記事より転載させていただきました。







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