内田樹氏と望月衣塑子氏の本が批判を浴びている。問題の本はアマゾンからも消えて読めないが、内田氏の話には間違いが異常に多い。彼のブログ「内田樹の研究室」やインタビューにどんな間違いがあるか、チャッピーに指摘してもらった。

間違いだらけのブログ
1.「自虐史観」の意味を逆に取り違えている
彼のブログでは「自虐史観」の意味を取り違えている:
グローバル化に即応した「歴史の書き換え」が進行している。 「慰安婦問題」や「南京事件」について日本を免罪しようとする「自虐史観論者」たちの語る歴史がそれである。彼らが「慰安婦制度に軍部は関与していない」とか「南京事件などというものは存在しなかった」ということをかまびすしく言い立てるのは、その主張が国際的に認知される見通しがあるからではない。
日本の歴史を免罪しようとする人々を「自虐史観論者」と呼ぶのは、話がまるで逆だ。歴史認識を論じる前に、まず日本語を勉強すべきだ。
2.「閣議決定」の意味を知らない
彼は赤旗インタビューでこう語る:
世界史を見ればわかるとおり、独裁というのは行政府が重要な政策を立法府の審議に委ねず、閣議決定だけで実行してしまう政体のことです。行政府への権力の過剰な集中のことを「独裁」と呼ぶのであれば、安倍政権はあきらかに独裁を志向していると言わざるを得ない。
独裁国家には、閣議も閣議決定も存在しない。それは中国へ行ってみればわかる。
3.「モラルハザード」の意味を知らない
彼はブログでこう書く:
モラルハザードは「ルールを愚直に守る人間たちが多数派である場所では、ルールを破る少数派は利益を得ることができる」という経験知に基づいている。
これはよくある間違いで、モラルハザードは「倫理の欠如」ではなく、情報の非対称性を利用した合理的行動である。たとえば社会保険料を払わないで生活保護を受け、老人医療を無料で受けるのがモラルハザードだが、ルールは破っていない。
4.「比較優位」を知らない
彼はブログでTPPについてこう書く:
貿易において一国が輸出によって大きな貿易黒字を得る場合、その相手国は輸入超過となって貿易赤字が増えることになっている。ふつうはそうである。貿易では(グローバリストの好きな)Win-Win はない。片一方が黒字なら、片一方は赤字になる。
これもよくある誤解だ。たとえば日本がバングラデシュに自動車を100億円輸出し、バングラデシュが日本にコメを100億円輸出すれば、バングラデシュ人は自国で生産できない自動車に乗れ、日本人は1/5の価格でコメを食える。これを比較優位というのだ。
5.「米国憲法は常備軍を禁止している」
内田「合衆国憲法は陸軍については『常備軍を持たない』と規定している」(日本にとって「最悪の事態」)
これは誤りである。 合衆国憲法第1条第8節第12項は、議会に陸軍の募集・維持権限を与え、予算の充当期間を制限している。常備軍の保有禁止ではない。
6.ベネズエラの石油埋蔵量を10分の1にしている
内田「ベネズエラの石油埋蔵量は303億バレルで、世界最大である」
米エネルギー情報局(EIA)の数字は、約303 billion barrels=3,030億バレルである。303億バレルではない。桁が1つ違う。 これは政策判断の違いではなく、数字の誤記である。
7.「フランスの保育園はすべて無料」
内田「保育園はすべて無料」(夢の少子化対策)
フランス上院の2006年の資料には、保育施設の保護者負担が所得や家族構成によって変わると明記されている。同年の社会保障予算資料も、保護者が支払う料金の算定方式を説明している。幼児学校の無償制度と、保育所の料金制度を混同している。
8.「株式会社の創立には一円もお金がかからない」
内田「商法の改正によって、現在株式会社の創立には一円もお金がかからない」(掲載:10月21日)
資本金と設立費用の混同である。 2003年に導入されたのは、一定条件の下で資本金1円でも設立できる特例である。資本金ゼロ・設立費用ゼロになったわけではない。内閣府の制度説明も「資本金が1円でも」としている。登録免許税などの設立費用も別にある。
9.EUを「連邦」として説明
内田「日本と韓国がEUのような連邦を形成するというアイディアです」(『日韓連携』まえがき)
EUは米国のような連邦国家ではない。 EU自身の説明は、EUは連邦国家ではなく、加盟国から一定の権限を移譲された独自の超国家的組織であるとしている。
10.F35を「使い物にならない旧式兵器」と説明
F35が米国内で使い物にならない旧式兵器とされ、その「在庫を日本に売りつけている」と説明している。(岸田政権は何をしようとしているのか)
米国自身の調達と、日本向けの製造実態に反する。 記事掲載直前に公表された米国防総省の2024年度予算資料は、F35を83機調達し、能力開発を継続する計画を示している。また、日本向けF35Aには国内で最終組立・検査する機体が含まれる。「旧式の余剰在庫処分」という説明は成立しない。
戦後左翼が劣化してゾンビが残った
以上はチャッピーが3分ぐらい考えた結果の一部だが、「このブログには全部でいくつ間違いがあるか」ときいたら、珍しく「何百個あるかわかりません」と答えた。ここまで間違いの多い有名人は珍しい。
ここからいえるのは、内田氏の思想が左翼的かどうかという以前に、中学の社会科レベルの知識もないということである。彼はたくさん本を書いているが、問題の本と同じような雑談をつなぎ合わせたもので、ゲラも見ないから今度のようなひどい事故が起こる。編集者も出版不況でまもともな人材が入ってこなくなり、劣化しているのだ。
日本の左翼には栄光の歴史があるが、冷戦の終了後も生き残っている内田氏のような劣化左翼の話は聞くに値しない。それはかつて左翼のコアだった社会主義が消滅し、その代わりに平和憲法という偽物のイデオロギーをかつぐようになったからだ。内田氏は、間違いだらけの漫談をくりかえす戦後左翼のゾンビである。







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