「インフレ」と「高齢化」が変えるこれからの資産運用

内藤 忍

人生100年時代と言われる中、これまでの投資の常識が通用しない構造変化が起こっています。

これまで資産運用の王道とされてきたのは、現役時代にコツコツとお金を貯めて、リタイア後はそれを少しずつ取り崩しながら暮らしていくというモデルでした。しかし、この伝統的なシニアのライフプランは、現在の経済環境下では完全に破綻しつつあります。

その要因となっているのが「インフレの定着」と「本格的な超高齢化」です。

インフレはお金の実質的価値を目減りさせていきます。そのしわ寄せは年金生活者と預金者に襲いかかります。

公的年金は物価スライドの仕組みがあるとはいえ、マクロ経済スライド等によって実質的にはインフレのスピードに追いつかず、購買力ベースで見れば大幅に目減りしていきます。

年金だけに頼った生活設計は、年を追うごとにジリ貧になっていくことを意味しています。

これは預金でも同じです。預金金利がアップしたといっても消費者物価指数(CPI)を上回る投資リターンを確保できなければ実質的にはマイナスリターンです。

銀行に預けておくだけでは、インフレという見えないコストによって実質的な購買力はどんどん削られていきます。

さらに、医療の進歩に伴う長生きリスクが環境変化に拍車をかけます。高齢化が更に進みこれから何年生きるか分からなければ、手元資金をどれだけ取り崩せば良いかもわかりません。

つまり資産をいくら積み上げても、物価上昇のなかで取り崩し型の生活を続ければ、いつ底をつくか分からないという精神的ストレスと一生付き合うことになります。

これからの時代に必要なのは、老後に資産をいくら持っているかという「ストック」の概念から脱却することです。物価上昇に負けないインフレヘッジ能力を備えた資産から、毎月いくらの現金が入ってくるかという「インカム」の発想を持つことです。

インカム型の資産として具体的には不動産あるいは債券といった投資対象が考えられます。

ただし債券に関してはインフレに弱いと言う欠点があります。インフレ率を大幅に上回る高利回りの商品を活用することが必要となります。

そこで私は知り合いの経営者の未上場企業が発行する複数の私募債に分散投資しています。年利12%から24%というインフレ率を超える高いリターンが実現できます。ただし、信用リスクがあることを覚悟の上の投資です。

投資環境が変わる今、単なる保有資産の量よりも「インフレに勝つキャッシュフロー」に着目した投資戦略へのシフトが必須になってきたのです。

Dean Mitchell/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年11月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント