最新調査で外国人増加を嫌う人が激増:日本の将来が暗いと考える人たちが顕著に反対していた

先に結論
  • 最近の調査では外国人が増えるのを嫌う人は、学歴や年収ではほとんど説明できない。東大社研、NIRA、出入国在留管理庁、早稲田の研究者の分析、どれを見ても学歴の差は小さい。「外国人嫌いは低学歴」はいまは否定された。
  • 差がはっきり出るのは①外国人と接点がない ②SNSで情報を取っている ③社会に希望を持てないの3つ。年齢では、ここ2年で若い世代が急に反対へ転じた
  • 受け入れ反対はこの2年で急増。東大社研パネルで35.6%→56.3%。読売・早大調査でも46%→59%
  • でも、気持ちがどうであれ受け入れるしかない。外国人労働者は257万人。この人たちがいなくなると、実質GDPは3年でコロナ禍並みの▲4.8%、5年で▲10%(参議院の試算を筆者が拡大)。好き嫌いで選べる段階はとっくに過ぎている
  • 正直な但し書き:調査ごとに質問文が違う。性別は「男性がやや否定的」という調査と「差なし」の調査が混在。年齢も1本だけ「若い人ほど寛容」という逆の結果がある

こんにちは。永江です。

先日、「犯罪は激減しているのに、なぜ治安が悪化したと感じるのか」という記事で、利用可能性ヒューリスティックの話を書きました。そうなると気になるのは、じゃあ、外国人が増えるのを嫌がっているのはどんな人なのか。

正直に言うと、わたしも最初は「数字が読めなくて、感情だけで判断する人に多いんじゃないの?」と思っていました。学歴とか年収とかで、きれいに差が出るんじゃないかと。確かに少し前の調査ではそういう傾向はありました。

で、ここ1〜2年に出た大きな調査を片っ端から読みました。結果、その予想はほぼ外れ。データが示していたのは、もっと身もフタもない話でした。

① まず前提:この2年で「反対」が一気に増えた

最初に押さえておきたいのは、受け入れ反対がここ2年で急増していることです。調べ方の違う3つの調査が、そろって同じ方向を向いています。

図1 どの調査でも「反対」は50%台に。質問文は調査ごとに異なるので、調査同士の数字を直接比べるのは不可

いちばん信頼度が高いのは東京大学社会科学研究所のパネル調査(代表・有田伸教授、2026年8月7日公表)です。同じ人を2007年から毎年追いかけていて、無作為抽出。「日本に定住しようと思って来る外国人は、もっと増えた方がよい」に反対する人は、2024年の35.6%から2026年には56.3%になりました。それまでは3〜4割でずっと横ばいだったのに、2年で20ポイントです。

スタンフォード大学のStanford Japan Barometerでも、外国人労働者の受け入れへの反対は2022年35.5%、2023年36.6%から、2026年2月には53.1%へ。読売新聞と早稲田大学の共同調査(英語版の転載記事で確認)でも、外国人労働者の積極的な受け入れに反対する人は前年の46%から59%に増えています。

つまり「反対が多数派」になったのはごく最近。じゃあ、誰が反対に回ったのか。

② 学歴と年収は、ほぼ関係ない

ここがいちばん言いたいところ。学歴の差は、どの最新調査でもほとんど出なくなりました。

東大社研のパネルは、2024年に反対ではなかった人のうち、誰が2026年に反対へ転じたかを統計モデルで分析しています。結果、学歴は「概して影響なし」(男性の大学院卒だけが転じにくい)。個人収入も、男性は影響なし。女性だけ「収入が低いほど反対に転じやすい」傾向が出ていて、著者は就業状況や雇用形態が関係している可能性を挙げています(プレスリリースPDF)。

NIRA総研の第3回意識調査(2025年3月、ネット調査1,552人)も、学歴による差は「限定的」としています。こちらは世帯年収が高いほど、地域に住む外国人の割合を多めに許容する傾向が出ています。

早稲田大学のPeter Chai氏が2026年2月の衆院選直後に1,500人を調べた分析(The Conversationの転載)では、約3分の2が外国人の土地取得規制の強化に賛成。そしてこの厳しい見方は性別・学歴・収入を問わず共通でした。

決定打は、出入国在留管理庁の「外国人との共生に関する意識調査(日本人対象)」です。2023年10〜11月に、住民基本台帳から無作為に選んだ1万人に郵送で配り、4,424人が回答。地域社会に外国人が増えることについて、最終学歴別の数字はこうです。

図2 学歴が上がると「好ましい」は増える。でも「好ましくない」は22〜25%でほぼ一定

面白いのはここ。学歴が上がるほど「好ましい」は19.3%→36.3%と増えていきます。ところが「好ましくない」は中卒23.0%、大卒24.9%、大学院卒22.8%と、ほぼ横ばい。学歴が低いほど増えているのは「どちらともいえない」のほうなんです。

つまり、学歴で変わるのは「積極的に歓迎するかどうか」であって、「嫌うかどうか」ではない。「外国人嫌いは低学歴」という説明は、データで否定されます。歓迎するのは高学歴ではあるが、逆は必ずしも真ではない。

③ 年齢:ここ2年で若い世代が急変した

年齢は、学歴と違ってはっきり差が出ます。しかも方向が意外。

東大社研のパネルでは、1987年以降生まれ(2026年時点で30代以下)が、他の世代より反対に転じやすかった。読売・早大調査では、外国人労働者が増えると「治安が悪化する」と答えた人が、18〜39歳で79%、40〜59歳で72%、60歳以上で59%。いまや若いほど治安を心配しているんですね。

早稲田大学の田辺俊介教授らの「国際化と市民の政治参加に関する世論調査2025」(2025年11〜12月、選挙人名簿から無作為抽出、3,009人回答)でも、高市首相、トランプ大統領、参政党といった右寄りの政治家・政党への好感度は若い層で高く、30歳以下では79%が高市首相を「好き」と答えています。

ところが、2023年秋の入管庁調査では、地域に外国人が増えることを「好ましい」と答えた割合が一番高いのは18〜19歳の53.2%でした(ただし回答者は47人と少ない)。否定的な人が多かったのは30代で、「好ましくない」は30〜34歳27.8%、35〜39歳29.6%。

2023年には外国人に一番好意的だった若い層が、2024〜26年に一気に反対へ動いた。複数の調査を並べると、そう読めます。ただし質問文が調査ごとに違うので、これはあくまで仮説。

逆の結果もあります。前述のChai氏の分析は「若い世代ほど寛容」。NIRA調査でも、若い層は「受け入れ0%」と「20%以上」の両方が多く、二極化していました。若者がみんな排外的になったわけではなく、若い層の中で割れていると見るのが正確でしょう。

④ 性別:調査によってまちまち

性別は、はっきりしたことが言えません。入管庁の調査では「好ましくない」が男性27.2%、女性20.1%で、男性のほうがやや否定的。NIRAでも、男性は「受け入れ0%」がやや多い。一方、東大社研のパネルとChai氏の分析では、性別による差はなし。

なので「外国人嫌いは男に多い」とまでは言えません。せいぜい「男性がやや否定的に出る調査もある」くらいです。

⑤ いちばん効いているのは「会ったことがない」

学歴より年齢よりはっきり差が出るのが、外国人との接点があるかどうかです。

図3 交流が「全くない」人だけ、「好ましくない」が「好ましい」を上回る

入管庁の調査で、外国人との交流が「よくある」人は、「好ましい」40.5%に対し「好ましくない」20.7%。それが「全くない」人では、「好ましい」21.3%、「好ましくない」25.2%と逆転します。報告書によると、「外国人の知人はいないし、付き合ったこともない」グループは、「好ましくない」が「好ましい」を上回った唯一のグループでした。

で、問題はその「接点がない人」がどれだけいるか。普段の生活で外国人と交流することが「ない」人は73.0%。外国人の知人がいない・付き合ったこともない人が41.5%。付き合いがない理由のトップは「付き合う場やきっかけがない」で73.5%です。別に避けているわけじゃない。単に出会っていないんです。

海外で3か月以上暮らした経験も効いていて、経験のある人の「好ましくない」は18.7%、ない人は24.0%でした。

NIRA調査には地域別のデータもあります。住んでいる市区町村の外国人比率が高い地域ほど、受け入れを多めに許容する人が多い。ただし比率が最も高い地域では、「0%」と答えた人も最も多い。実際に一緒に暮らすと、寛容になる人と拒否する人の両方が増えるわけです。ここは正直に書いておきます。

⑥ そして「どこから情報を得ているか」

会ったことがないなら、外国人のイメージはどこから来るのか。答えはスマホです。

田辺教授らの2025年調査では、外国人が増えると「治安・秩序が乱れる」と懸念する人は全体で73%。これがSNSで政治や社会の情報をよく得ている人だと84%、SNSをほとんど使わない人では67%でした(概略版PDF)。中国人の増加に賛成する人は、2009年の31%から2025年には10%未満まで落ちています。

東大社研のパネルも、別の角度から同じことを示しています。「日本社会には希望がある」に「とてもそう思う」人で反対へ転じたのは約3割。それが「まったくそう思わない」人では5割を超えました。社会への不安や不満が、外国人の受け入れと結びつけられた可能性がある、というのが研究の考察です。

ここで前回の話につながります。犯罪は減っているのに、SNSでは外国人がらみの事件ばかり流れてくる。思い出しやすい情報ほど「よくあること」に見える。利用可能性ヒューリスティックそのものです。

「数字が読めない人の話」ではない

じゃあ、数字に強い人なら大丈夫かというと、そうでもない。イェール大学のKahanらの実験(2017年、Behavioural Public Policy誌)が有名です。

同じ数値の表を「皮膚クリームの効果」として見せると、数字に強い人ほど正しく読めた。ところが同じ表を「銃規制の効果」として見せると、回答が政治的立場で分かれ、正答率も下がった。しかも数的能力が高い人ほど、分断はむしろ大きくなった。

数字に強い人は、自分が信じたい結論に合わせて数字を読むのもうまい。いや、身につまされますねww 学歴と排外意識がほとんど関係ないのも、これで説明がつきます。

⑦ 不安の中身は、ほとんど「漠然」

入管庁調査で「外国人が増えると地域にどんな影響があるか」を聞いた項目を見ると、治安・風紀に悪影響が「そう思う」は14.9%。「少しそう思う」を足すと45.5%。「具体的な心配事はないが、漠然とした不安を感じる」は「少しそう思う」まで含めて50.6%。

一方で、よく言われる「日本人の仕事が奪われる」は、そう思わない66.0%、そう思う24.4%。経済的な脅威として感じている人は少数派なんです。

具体的な被害ではなく、漠然とした不安。会ったことのない相手への、スマホ越しのイメージ。データを並べると、そういう姿が浮かび上がります。

⑧ でも、好き嫌いで選べる段階はもう終わっている

ここまで「嫌う人の特徴」を見てきました。で、ここからが本題。気持ちがどうであれ、日本は外国人に来てもらうしかないんです。

厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、2025年10月末の外国人労働者は2,571,037人。前年より268,450人増えて、届出が義務化された2007年以降の過去最多です。国籍別ではベトナム605,906人、中国431,949人、フィリピン260,869人。

じゃあ、この人たちがいなくなったらどうなるか。参議院の調査室が出している『経済のプリズム』No.176(2019年5月)で、山内一宏氏が「もし外国人労働者が我が国を選択しなかったら」というマクロモデルの試算をしています。労働者が100万人足りなくなると、実質GDPは1年目▲0.76%、3年目▲1.85%、5年目▲3.88%。筆者自身が「ショッキングな結果」と書いているくらいです。ほぼ日本経済が崩壊するという結論。

これは100万人の話。今の外国人労働者は257万人なので、単純に比例させるとこうなります。

図4 3年目でコロナ禍並み、5年目にはその2倍以上。参議院の試算を筆者が単純比例で拡大したもの

3年目で▲4.8%。コロナ禍の2020年度が実質▲4.5%(内閣府の年次推計、2015年基準)なので、コロナ級の不況が3年後に来て、5年後にはその倍以上。しかもコロナと違って、ワクチンも、終わりもありません。働き手が戻ってこない限りずっと続く。

「外国人がいなくなれば日本人の給料が上がる」と思っている人もいるでしょう。残念ながら逆。同じ試算で、実質の雇用者報酬は5年目に▲4.92%。働き手が減って経済全体が縮むので、日本人の給料も一緒に下がるんです。

足りなくなるのはコンビニの店員さんだけじゃない。外国人労働者の4分の1(24.7%)は製造業で、建設や介護、農業の現場でも外国人が働いています。物は作れない、家は建たない、親の介護は回らない。映画の『マッドマックス』みたいに荒れ果てた世界、と言うと大げさに聞こえるかもしれないけど、GDPが5年で1割消えるというのはそういうレベルの話です。

ちなみに試算の前提も正直に書いておきます。参議院の試算は「日本人か外国人かを区別せず、労働者が100万人減った場合」で、筆者も結果は幅を持って見る必要があると注記しています。257万人への拡大は、わたしが単純に比例させただけ。実際は省力化投資なども起きるので、きっちりこの数字になるわけではありません。でも方向は動かない。

逆向きの試算もあります。大和総研の「人手不足時代の外国人労働者の受け入れと共生の課題」(2026年2月26日、小林若葉氏ほか)は、外国人労働者の増加が労働投入とTFP(全要素生産性)を押し上げて、2035年度までの潜在成長率を年率0.4%pt押し上げると見込んでいます。外国人がいなくなればマイナス、来てもらえればプラス。どっちを選ぶかは明らかでしょ。

最後に

まとめると、外国人が増えるのを嫌う人の特徴は「低学歴」でも「低収入」でもありませんでした。外国人と会ったことがなく、SNSで情報を取っていて、日本社会に希望を持てない人。そして、ここ2年でその傾向が一番強く動いたのが若い世代です。

嫌だと感じる気持ちそのものは、別に責めません。でも気持ちと算数は別。外国人労働者に来てもらえなければ、日本経済はコロナ級の不況を何年も続けることになる。その不況で一番割を食うのは、これから何十年も働く若い世代です。好きでも嫌いでも、否が応でも受け入れるしかない。これが結論です。

で、どうせ受け入れるなら、データが示す処方箋ははっきりしています。入管庁の調査で、偏見や差別をなくすために必要な取組として一番多かったのは「外国人と日本人の交流機会を増やす」で58.6%。大和総研のレポートも、共生の鍵は日本語教育だとしています。

スマホの中の外国人じゃなくて、近所のコンビニで働いている実物の外国人と、あいさつくらいはしてみる。結局、それが一番効くんだと思います。

原典で確認済み

東大社研パネル調査2026年プレスリリース(2)/NIRA総研 第3回意識調査(速報)/早稲田大学・田辺俊介教授らの「国際化と市民の政治参加に関する世論調査2025」(公表ページと概略版)/出入国在留管理庁「外国人との共生に関する意識調査(日本人対象)」(概要版、報告書、学歴・年代・交流頻度別クロス集計)/Stanford Japan Barometer(スタンフォード大学の公表記事)/Kahan et al. (2017)/厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)/山内一宏『経済のプリズム』No.176 補論1/大和総研「人手不足時代の外国人労働者の受け入れと共生の課題」(2026年2月26日)/内閣府 2020年度国民経済計算年次推計。図2・図3と性別の数値は入管庁のクロス集計を筆者が合算、図4は参議院の試算を外国人労働者数に合わせて筆者が単純比例で拡大したもの。

報道・二次情報ベース

読売新聞・早稲田大学共同調査(46%→59%、年齢別の「治安が悪化する」)は、Asia News Networkが転載した英語版記事で確認。Peter Chai氏の分析は、The ConversationをAsia Timesが転載した記事で確認。

確認できなかった主なもの

東大社研パネルの世代別グラフの具体的な数値。NIRA調査の属性別の具体的な%(図の画像内にあり、本文の記述のみ使用)。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年11月3日の記事より転載させていただきました。

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