惨敗のスケープゴートはヘグセス国防長官か:共和党内からも弾劾の動き

イラン戦争への批判が、ヘグセス国防長官に集中している。民主党だけでなく、共和党議員からも弾劾を求める動きが出ている。ブルームバーグによると、トランプ大統領は、ヘグセスの解任を顧問に相談した。中間選挙で打撃を受けた共和党にとって、ヘグセスはトランプ大統領を守るスケープゴートになるのだろうか。

読売新聞

下院民主党がヘグセス弾劾の動き

ウォール・ストリート・ジャーナルは10月31日、下院民主党がヘグセスの弾劾を優先課題に据えていると報じた。トランプへの3度目の弾劾には政治的な逆効果を警戒する一方、国防長官への追及には積極的だという。WSJ

注目されるのは、共和党のトーマス・マッシー下院議員が弾劾を主導していることだ。マッシーは、議会の承認を得ない対イラン軍事行動などを問題視し、11月9日の週に採決を求める方針を示している。ただし、決議そのものの採決に進むか、棚上げの動議で処理されるかは、議会運営に左右される。Roll Call

これを共和党全体の「反トランプ」への転換と見るのは早い。むしろ、大統領への忠誠を維持しながら、戦争の責任を国防長官に集中させようとする動きと読むべきだろう。

イラン戦争の見通しを楽観して泥沼化

CNNは11月4日、共和党関係者の間で、ヘグセスが短期決着の見通しを過大に示し、出口戦略のない対イラン攻撃を後押ししたとの批判が強まっていると報じた。一方、党内には選挙敗北の責任をトランプに直接問うことへのためらいが残っているという。ABC17NEWS

ここに両党の思惑が交差する余地がある。民主党には政権の責任を具体的に追及できる標的が必要であり、共和党には大統領を直撃しない責任の取り方が必要だ。ヘグセスの更迭や弾劾は、その双方に都合がよい。

もっとも、政策の失敗と弾劾に値する違法行為は区別しなければならない。マッシーの弾劾案は、戦争権限決議への違反や軍事行動をめぐる権限乱用などを主張しているが、それは追及する側の申し立てであり、違法性が確定したわけではない。国防総省側はヘグセスを擁護している。ABC News

トランプ大統領は守れるか

下院での弾劾可決は即座の罷免を意味しない。下院では単純過半数で弾劾できるが、罷免には上院の弾劾裁判で出席議員の3分の2の賛成が必要になる。共和党議員の一部が同調しても、それだけで解任が決まるわけではない。senate.gov

しかし、政治的な圧力は採決前から働く。追及が長期化すれば、政権が長官交代によって幕引きを図る可能性もある。問題は、それで誰の責任が清算されるのかということだ。

ヘグセス自身の判断と指揮責任は厳しく検証すべきだが、開戦を決断した大統領の責任まで消えるわけではない。長官1人を差し出して戦争の検証を終えるなら、弾劾は議会による権力監視であると同時に、大統領を守るための防火壁にもなってしまう。

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