六本木にいる羽振りの良い社長の養分は「情報弱者」から

内藤 忍

六本木でバーを3軒経営している方が「六本木にいる「怪しい社長」の正体」という投稿をSNSにしているのを見つけました。それによれば六本木で羽振り良く飲んでいる経営者の業種は時代と共に変わっていくそうです。

数年前は美容クリニックの社長がとても羽振りが良かったと言います。しかし、クリニックが増えて競争が激しくなったことから六本木の街からは徐々に消えていったようです。また治療に伴うトラブルも増えており、以前は泣き寝入りしていた利用者も声を上げるようになってきました。

美容クリニックに代わってここ3〜4年で急増したのが住宅のリフォーム系の社長だそうです。

リフォームと言えば最近問題になっているのが戸建てに住む高齢者のトラブルです。個別訪問して無料で建物診断すると持ちかけ、必要のない工事を行って高額請求するという高齢者の無知と不安心理に付け込んだ悪質なビジネスがメディアに取り上げられるようになりました。

リフォーム会社社長の羽振りの良さとリフォーム会社の起こしているトラブルが六本木にいると重なって見えるそうです。

そして最近の六本木で増えたのが買取系の社長だそうです。

出張買取などで不用品をまとめて安く買い取って転売すれば大きな利益を得ることができます。売り手の知識と情報が無いことを利用した一種の「情弱ビジネス」と言えるかもしれません。

上記の業種とは別にいつの時代にも六本木で羽振りが良いのが不動産と建設の社長のようです。

不動産も適正な価格が見えにくい商品の1つです。投資用のワンルームマンションなどでは派手な広告を出して割高な物件を言葉巧みに販売している会社も少なくありません。正しい投資情報を知らない個人投資家に情報の格差を利用して利益をあげるビジネスです。

投稿者も明確に書いていますが、六本木で羽振り良く飲んでいる経営者が悪質なビジネスをやっているという訳ではありません。どのような業種であっても真っ当にビジネスを展開して、適正な利益を得ている良心的な会社は存在します。

しかし、六本木に流れ込むお金の源泉の多くは情報格差を利用して情報弱者から吸い上げたものである可能性は否定できません。確かに必要のない工事をするリフォーム業者は詐欺行為の犯罪ですが、それ以外のビジネスは価格設定が顧客に不利になっているだけで法律違反ではありません。

事業を行う会社と顧客の間に情報格差があればあるほど顧客は養分にされてしまい、その超過利潤が夜の繁華街に流れ込んでくる。そんな資本主義の仕組みがあるようです。

ただ「情弱ビジネス」は長続きしません。美容クリニックやリフォーム業の社長が六本木の街から消えていくように、買取業者の社長もいずれ同じ運命を辿ることになるのではないでしょうか。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年11月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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