本日(4月6日)の日経「経済教室」は、私の同僚の土居丈朗氏が「ケインズ政策は復活したか」という見出しで書いていて、その内容は池尾・池田本のそれと基本的に同じですね。すなわち、結論は、
わが国では伝統的ケインジアンの主張を引用し、「穴を掘って埋める」だけの公共事業や減税でも効果がある、という話が政治的に議論されている。しかし、先にも述べたとおり、このたぐいの話は学術的にはもはや信じられていないのである。
というもの。もっとも、日経主幹の岡部直明さんは、「核心」コラムで、依然として「独仏などユーロ圏は景気刺激を優先することだ。ユーロの財政基準を死守することと、大不況防止の切り札である協調的財政出動のどちらがユーロの信認につながるかである」とか書いている。 また、村上龍氏のJMM「金融経済の専門家たちに聞く」の次の質問は、
アメリカやイギリス、そして日本は積極的な財政政策を推し進めています。EU議 長は、それを「地獄への道」だと指摘し、ドイツなども、度重なる財政出動には批判 的なようです。経済危機における財政出動とその規模の是非は、どういった基準で判 断すべきなのでしょうか。
というもの。段々と「100年に一度」という思考停止を誘う呪文から解放されて、迷信を疑う兆しが一部には出てきたようですね。土居くんは、レギュラーの寄稿メンバーだから、なんと答えるか(まあ、想像には難くないけれども...)。 なお、この質問中で言及されているEU議長の発言については、ここか、ここかを参照のこと(ネットで読める報道の量と質の差もよく分かる)。しかし、「地獄への道」は善意以外でも敷き詰められているんだ。
[付記]2009.4.13
今日届いたJMMメールマガジンをみると、土居くんは回答をパスしていますね。まあ、あまりに自分の専門そのもののに関わる質問内容だから、簡単には答え辛いんでしょうね。