Twitterを公共サービスとして米国政府が買収する? - 小川 浩

09年9月25日に『仕事で使える!「Twitter」超入門』という新書を出しました。おかげさまで1週間足らずで増刷が決まったのは、Twitterの国内普及に弾みがついているという証拠の一つであると思います。

タイトルこそ、超入門なのですが、僕としてはむしろ、若い二人の起業家に率いられたTwitterというベンチャーが抱える将来への野望と、それとは裏腹に見え隠れする GoogleやFacebookなどの強敵に対する不安や恐怖などを浮き彫りにしたかった。ただ、その結論として、彼らが自社をどうマネタイズして、どういう成功への道(造語ですが、サクセスパス)を描いているのかを結論づけることができずにいたことが、やや不満でもありました。

ところが、昨日、友人であるエル・カミノ・リアルの木寺社長が米国出張のおりに仕入れてきたネタが、その回答そのものではないかと、すぽんと腑に落ちたのです。

それは、シリコンバレー辺りの噂では、TwitterはIPOを狙っているのでもなく、そしてGoogleやMicrosoftに買収してもらいたいわけでもなく、実は、米国政府、いってみればオバマ大統領その人に買ってもらいたいのだというのです。


イラン情勢をタイムリーに伝える草の根メディアとして、米国政府がTwitterにメンテナンス時間などに政治的配慮をするようにと依頼したというニュースがさまざまなマスメディアをにぎわせたように、Twitterは、その速報性と情報の伝搬性において、実は既に相当の公共性を帯びています。ある意味、メールやWebそのものと同じく、既にTwitterはリアルの情報をWebにアップして、さらに共有するという意味では標準的なプラットフォームになりつつありますし、むしろWebの新しいインターフェイスとして成長しつつあります。だから、この噂はまんざらジョークであるとも言いがたい気がします。

Twitterが、世界初のベンチャーによる、社会インフラ、真の公共インターネットサービスとして、米国政府に買収されるとすれば、社会起業家としての最大の夢の実現として未来永劫語り継がれる伝説になるでしょう。
世界初の10億人に利用されるインターネットサービスという目標を掲げるTwitterにしてみれば、米国政府公認というお墨付きと、税金によってそのコストをまかなうことができるというのは非常に魅力的なサクセスパスではないでしょうか。