鳩山首相の施政方針演説を読んでみました。率直にいって、作文としても出来が悪い。「いのちを、守りたい」という冒頭の文句は、監修した平田オリザ氏の趣味かもしれないが、演出過剰でちっとも心に響かない。中身が単なるバラマキ福祉にすぎないからです。特に引っかかるのは、冒頭でガンジーの「7つの社会的大罪」を引用している一節です:
- 理念なき政治
- 労働なき富
- 良心なき快楽
- 人格なき教育
- 道徳なき商業
- 人間性なき科学
- 犠牲なき宗教
これを受けて首相は「二十世紀の物質的な豊かさを支えてきた経済が、本当の意味で人を豊かにし、幸せをもたらしてきたのか。資本主義社会を維持しつつ、行き過ぎた『道徳なき商業』、『労働なき富』を、どのように制御していくべきなのか」と格調高くうたい上げるのですが、芝居としてはクサイといわざるをえない。
今の日本の最大の問題が「道徳なき商業」を制御してゆくことだと首相が考えているとすれば、問題はかなり深刻です。かつてNYタイムズに掲載された論文で世界から批判を浴びた「市場原理主義」批判こそ出てこないものの、「人間のための経済」とか「新しい公共」などのフレーズには、市場経済をきらう彼の気分がよく出ています。
ガンジーはインドの独立を指揮した偉大な指導者ですが、彼の後継者であるネルーの指導した国民会議派は「道徳なき商業」を否定して社会主義をとり、インド経済は半世紀にわたって停滞と貧困に苦しみました。最近ようやくインドが新興国として高い成長率をみせるようになったのは、国民会議派に代わって政権をとった人民党などが自由経済を導入してITなどに重点を置いたためです。
首相は、これから日本をガンジーやネルーのような社会主義の道に引きずり込もうとしているのでしょうか。毎月1500万円のお小遣いにも気づかない人にとっては、商業より道徳のほうが大事なのでしょうが、今の日本の最大の問題は商業が疲弊して経済が衰退していることです。首相の「労働なき富」も、もとをたどればブリジストンタイヤの「商業」によって築かれたものであることをお忘れなく。
コメント
>首相の「労働なき富」も、もとをたどればブリジストンタイヤの「商業」によって築かれたものであることをお忘れなく。
感銘!
おはようございます。
「労働なき富」とブリジストンタイヤの「商業」との関わりが分かりません。なにかヒントのようなもので結構ですので教えていただきたいのですが・・・。
企業(起業)がインフラ整備とリンクしてる時代なら、
お金儲け=社会貢献 ですが、個人消費に頼るようになった
(成熟した?)経済では、「強欲」の充足になる。
「労働なき富」を社会的大罪とするなら、
子供手当て、学費免除で育った世代は「原罪」を背負うことになるのでは?
子供や学生に社会参加させることをバーターにして、支給しなければ、「人格無き教育」じゃないのか?と思います。
既得権者が他人の欲望を否定するとこう言う意味に聞こえます「貧乏人は一生貧乏でいろ」と。
人の欲望を否定するということは、己のご高説を他人に叩き込みたいという欲望から発生します。
欲望なんて言葉は人間には制御できないトートロジーですよ。
多少・・・浮ついた感じを受ける施政方針演説ですが、まあ演説なんで理想を韻を踏んだ形でかっこつけて言うのもいいのでしょう。
でも、考え方の順序として、まず何が問題なのか、そして、その対処に優先順位を付けてやれることを確実にやるようにして欲しいですよね。
子供手当てで財政が破綻したのでは、子供どころではなくなる悲惨な状況になると思うよ。
まあ、悪い冗談と怖いもの見たさ財政破綻をみたい気もしますが。
>海馬1/2
>企業(起業)がインフラ整備とリンクしてる時代なら、
お金儲け=社会貢献 ですが、個人消費に頼るようになった
(成熟した?)経済では、「強欲」の充足になる。
???経済学の初級を知らないのがバレバレですね。物理や工学のようにキレイに切り取って思考しているのでしょうけど。「生産」とか「消費」とかの概念がむちゃくちゃです。あと高度成長期と大量生産消費社会はパラレルです。
眩暈がしました……鳩山ェ……何訳わかんないこといってんだってばよ……
下向いてショボショボ喋り、言うことはお決まりのポピュリズム。こんな人が一国の首相とは……安部も酷かったのですがそれ以上ですね。
一国の首相ですよ? こんなにも情けない人物が勤めても良いのでしょうか?
そして国民もそれに気づき今度は「前を向いて喋れる」ということだけでヒトラーのような愚物を求めてしまう……
そしてネットではウヨがレイシズム、おまけに「日本財政は破綻しないんだ教」信者。
サヨはまだ化石のような「社会民主主義(笑)」を主張し、おまけに「日本財政は破綻しないんだ教」信者。
僕はまだ高1ですから選挙なんか考えなくてもいいのですが、この国の将来が本当に不安です。
僕たちはみんなうんざりしています。助けて。
>「労働なき富」とブリジストンタイヤの「商業」との関わりが分かりません。なにかヒントのようなもので結構ですので教えていただきたいのですが・・・。
=> ここを参考: http://www.data-max.co.jp/2009/09/_2_37.html
>これから日本を社会主義の道にひきずりこもうとしてるのか。
もちろんそうです。元自民党議員が表面に出ていて、一見した所はそうじゃないように見えますが、民主党の本質は左翼政権です。小沢氏の信認あつく、幹事長代理になってる山梨の輿石参院議員は日教組系です。小沢氏もとっくに左翼へ転向したと思います。
民主党の目玉政策はどれも社会主義の臭いがしてます。
高度成長期の大量消費は広義のインフラ整備と解釈しますが?ちがいますか?w
その場合、生活基本製品であれば、隣、近所とおなじ物を購買しますので、大量生産品が好まれますが、今は充足してこれ以上買う必要が無いので、車離れが起きています。
あと、これ以上ナニカ買わせるには、「強欲」にさせる以外ありませんよ。 そもそも、過剰生産力(労働力)の吸収がうまくいかないことから、はじまってるデフレ・スパイラルであって、
小泉・竹中改革が、サブプライム好景気にまかせて途中放棄されたことの結果であって、リーマンショック以降の云々はゴマカシですよ。
あ、それと、そもそも私は、エジソンなどの業績に見られるように、「需要」と「供給」が自発的に発生して自律して行く物とはおもっていません。
immrmkt様
ご教示ありがとうございました!!
しかし・・・2009年のアーカイブにたどり着けません。もう一度チャンスを是非・・・。
収入見合う働きをしていない自分へのエールじゃないですか。
あるいは、議員の資産を有効に散在するためのフラグかもしれません。
言葉ってすべるんですね。
私的には鳩山さんの演説はとても良かったですね。
ハートがあり、とても心にしみる物でした。
特にガンジー首相のくだりは感動物です。
情緒すぎ、理想論すぎなきらいもありましたが、歴史に残る名演説だったと思います。
これをきっかけに、中国と並ぶ将来の超大国のインドとのよりいっそうの友好関係を築いて欲しいものです。
鳩山さんは東アジア共同体を主張し、今回のインドの発言を見れば日本の将来は明るいのではと思います。
中国、東南アジア、インドなどは鳩山さんの外交姿勢を見れば安心し、日本と共に生きようと考えるのではないかと思います。
そこにこそ日本の生きる道があるのでは?
もちろん、日本にとってアメリカも大事なわけですが、将来の経済規模などを考えれば、いつまでもアメリカ万歳では、日本は今以上の発展はない気がします。
鳩山演説について、私の団塊より少し上の母親が「よかったわー」とえらく感動してました。「どっかの劇作家が演出したらしいよ」というと「やっぱり」と納得してました。ヘタしたら彼の芝居を見に行っちゃうかも(^^;
ネットでは当然「お前が言うな」の大合唱ですが(それについては母も同意)、ああいう奇麗事に簡単に感化されちゃう人が結構いるんですね。やはり団塊以上の方が成仏してくれないと、この国は変らんのですかね。いや、その前にこの国が成仏しそうですが。
オバマ政権が金融規制を行った今は、相対的に日本の金融機関の規制が緩くなっているのだから海外の金融機関を呼び寄せるチャンスの筈。早急に手を打つべきだし、そういう「政治主導」を期待しているのだが……。
日本人一般のメンタリティは小学生並み故、国内向けには「ガンジー」でもいいだろう。しかし、海外、特に紛れもなく大人の集合体であるヨーロッパ辺りとは貿易が途絶える恐れもあるのでは? 彼らから見て利益になりそうなメッセージを日本政府は何も発信していないのだから…。
強欲?
労働なきなんていうアホな事を聞いて、感動だと?
何百兆円もの借金を作っておいて、今更社会主義ですか?強欲だからダメですか?
そもそも経済成長は欲があるから成り立つものです。
そんな欲を否定するなら、自分らの欲でできた借金を返してから言え。子供に自分達の欲の償いをさせておいて、老後安定した生活という欲まで背負わせようとしている。
あの演説を聞いて心底腹が立ちました。
『労働なき富』が具体的に何を指すか、人によってこれほどイメージが違うことは、なかなか無いのでは?
ある人はそれを、労働生産性に見合わない中高年の「ノン・ワーキングリッチ」と言うだろう。堀江氏や村上氏をイメージする人もいることだろう。闘争階級の抜けない人には「経営側の人間」で、逆に、中国の賃金の5倍もする「日本の労働者」だとする企業もあるかも知れない。ワカモノにとっては小金をため込んだ多くの「老人」たちで、非正社員にとっては正社員なのかも知れない。「生活保護受給者」と言う人もいることだろう。まぁ、多くの国民は「お前のことだろ」と言ってますけど。
池田さんのブログで、今年のセンター現国が取り上げられてましたが、これの言うところの「産業資本主義」的発想で本当に良いのだろうか。制御すべきは『富なき労働』ではないのだろうか。
インドの経済改革を推しすすめたマンモハン・シン
氏は国民会議派です。 彼は貧民対策にも心をくだいております。
社会主義理論では過去に労働という言葉を尊び、労働諸関係を唱え、全労働収益を目指した。ところが現在の(1968年以降の)ポスト社会主義の思想では労働は資本へと人間を馴化させる魔の概念であり労働者は労働できないものを阻害することで成り立っていると考えている。
だが、新時代のポスト社会主義の思想も過去の概念を更新することでそのまま使っているので、「労働なき富」という言葉でBIを正当化する矛盾に陥る
「労働なき富」を言う時、人はその源泉を問うが、鳩山や小沢のような金持ちはどう使ったかで判断されるべきだと思っているのだろう。勿論、自分が金持ちだと批判されていることへの自戒を敢えて込めている点もあろう。ただ、どう自戒しようが階層までごまかすことはできない。
なら自己の由来にどう対峙しどう行動で示すかだ。彼らは自らの立てた政治主導・需要サイド政策でそれが示せると思っているのだろう。ならその中身をどう具体化したかで評価されえよう。