報道によれば「所得税の最高税率引き上げ」という案が出ているようです。また、少し前には「内部留保に課税」「株式配当への優遇税制廃止」などを今の政府は考えているとのことです。どれをとっても「本当!」と疑ってしまう内容だけに、記者が首相等の話に尾ひれをつけて報道したものだとは思います。とはいえ、もし「本当」なら、由々しき問題ばかりです。
このような露骨な「金持ちいじめ」「グローバルな大企業いじめ」をすれば、「金持ち」や「グローバル化した大企業」などはすぐに日本を離れ、どこか違う国に移動してしまうでしょう。それよりも問題なのは、「お金持ちになるために頑張る」というインセンティブが失われ、悪平等的な風潮が強まることから、さらに一層、人々の期待・希望を奪い、国の衰退化を加速させる可能性があることであり、真偽はともかく、このような話が出るだけでも問題だと思います。
財政には「所得の再分配機能がある」ので、競争激化により、何らかの理由で生活に支障が出るような場合、生活が困窮しないように厚いセーフティネットが必要であるということは当然であり、このような福祉政策は行うべきです。しかし「だから」といって競争の勝者を過度に敵視した政策は問題です。
「友愛」という考え方も、非営利事業体を活用した社会システムの構築も大切なのですが、「利益を出す」ということが、すなわち“悪”のように考えるのは良くないと思います。「利益を出す」ということは、その過程で「費用」として社会に還元している部分が必ずあり、その部分が社会を豊かにしていると考えれば、利益が出た時点で社会貢献になっているわけです。
しかも、「利益(リターン)」は事前に確定しているものではなく、そこには必ず「リスク」を伴います。そのリスクを承知で事業を行うわけですから、結果として「利益が出た」という場合の「利益」はリスクを負った人のモノになるのは当然です。にもかかわらず、「利益(つまり、所得)が多いから」ということで、事後的に過剰に税金を課せば、リスクを負う主体が減少するに決まっています。
況してや・・・
利益のうち「配当等」として社外に流さなかった部分、つまり「内部留保」について課税するというのは大きな問題です(本当に「内部留保に課税」などすることはないと思いますが)。そもそも「利益」として法人税を支払った残りですから、ここにさらに課税するというのは二重課税になります。しかも、一般に「内部留保」というのは、剰余金として「資本の部」に計上されたモノ以外に、減価償却費累計額として資産のマイナス計上されたモノも指します。とすると「費用」に課税されることになります。これは会計原則を揺るがす問題になってしまいます。
このようにリターンである「利益(または、減価償却費などの「費用」)」に対して、合理性のない課税を“事後的に”課すのであれば、企業家は「日本での活動をやめる」ということになるでしょう。また、同様に「株式投資」などというのも、決して事前に利益が保証されているものではないにもかかわらず、確定利付き商品と同様、または、それ以上に重い課税をしようとしているのが「株式配当への優遇税制廃止」です。
人・モノというのは、簡単には物理的な国境を超えることはできませんが、おカネは比較的簡単に海外に流出してしまいます。その上、リスク考慮後のリターンを求めて動くわけですから、仮に今の日本に「チャレンジしよう」とする優秀な企業があったとしても、株式投資によるリターンに過度に課税されるとなれば、資金が回っていかないことになります。
以上のように、「所得税の最高税率引き上げ」「内部留保に課税」「株式配当への優遇税制廃止」などはすべて、市場の効率性を歪めるものであり、このような考え方が、(将来も含めて)現状の民主党政権に「ある」と市場が思い込んでいることから、多くの主体が「リスク」を取りたがらなくなっているのだと思われます。日本国内ではあらゆる主体がリスクを取らない状態になっているので、設備投資にも積極的にならず、不況が長引くことから、さらにデフレを引き起こしていると考えることもできます。
つまり、リスクを取った主体が「それなりに報われる」という制度・システムを作らなければ、各種市場に資金は流れ込まないため、いくら「金融緩和」を行っても、肝心なところに資金が流れないので「デフレからの脱却は難しい」ということになります。
したがって、政府としては「日銀には金融緩和を望みます」という前に、まずは政策的に「おカネの流れを滞らせている部分」の改革をすることが必要なのだと思います。さらに言えば、「日銀の金融緩和」を望むよりも、世界から資金が入り込むような「市場」づくりの方が、デフレ脱却には有効であり、今後の「日本」の進む道も見えてくるように感じます(決してそれだけで良いというのではなく、リアルに経済に刺激を与えることが何よりも重要です)。
当然、市場だけをみた、または、「利益追求だけを望む」という、いわゆる「市場原理主義」を標榜するのは問題です。とはいえ、「市場」というのはできるだけ、変な歪が入らないように規制を掛けない方が良いのです(もともとコントロールが難しい「ブラックボックス」のようなものですから)。今の政権は「市場原理主義が社会をおかしくした」という認識が強すぎるため、今のようなおかしな政策議論が出てきているのでしょうが、市場メカニズムを活用しつつ、その上で「人としての豊かさ」を求めていくことは可能だと思います。
一方に過度に偏るような政策ではなく、バランスを取った、「国民生活第一」の政策議論を望みます。
コメント
前田さんはどういう増税ならお気に召すのでしょうか。
再分配を肯定する限り、高所得者や黒字企業がより多くの税を負担することは避けられない。人頭税や赤字法人課税なんてやったら、再分配ではなくなります。
また、必ずしも、所得税や法人税が高いからといって、高所得者や企業が逃げ出すとは限りません。税は公共サービスの対価と考えれば、公共サービスが良いなら、税は高くても企業は逃げない。
私は相続税や贈与税を増税すべきだと思います。
agora_inoueさん、コメントありがとうございます。
お話はわかります。でも、「儲けている人から取ろう」というのも状況を考えるべきだと思います。今、日本経済は「活力」がないのです。活力が出るような政策がまず求められるべきなのに「所得が高い人に」というのでは「頑張ろう」というインセンティブを失わせてしまいます。
>相続税や贈与税を増税すべきだと思います
どの程度の効果があるのかが不明です。特に相続税はごく一部の人になりがちであり、うまくいくのでしょうか?
では「どうする」となれば、現状、やはり、消費税しかないのでしょうね。その上で「福祉部分」については、政府債務残高との見合いで、検討することになるのではないでしょうか。
難しいのは承知ですが、「営利を軽視した政策」は、活力のある人々を遠ざけ、社会全体に逆選択を起こしかねません。
なお、さらに難しい課題ですが、資本家にとっても「日本社会」というものに魅力があるような政策が求められると思います。
前田さんの論は、
「高い所得税は労働意欲をなくす、新規開業を減らす」
「高い法人税は企業が海外に逃げる」
という話を前提にしているのですが、実証研究があるなら教えていただきたい。
>特に相続税はごく一部の人になりがちであり、うまくいくのでしょうか?
一部の人に納税者が限定されているのは、そもそも相続税の控除が多いからです。とくに居住用不動産の優遇はひどいもので、都心に一戸建てをかまえていても、たいていは無税です。これが不動産バブルと非効率的な土地利用を生んでいると、「土地の経済学」を書いた野口悠紀雄が主張していました。
>やはり、消費税しかないのでしょうね。
消費税は消費を減らすんじゃないかという仮説も成り立ちます。
比例税ですから、所得再分配効果は非常に弱い。福祉給付を強化しなくてはなりません。
>「高い法人税は企業が海外に逃げる」という話を前提にしているのですが、実証研究があるなら教えていただきたい
「逃げない」と思う理由がわからないのですが、もし、実証的に「あった」としても、それは使用できるか否か不明でしょう。過度にモデルを信じるのはどうかと思います。社会はそれほど簡単ではありません。
ただ、グローバル化の進展とともに、市場自体は自由化が進んでいます。過度な自由化はダメとはいえ、今のような状況下において、さらに市場に負担をかけるようなやり方はうまくいかないと、“私”は思います。
>比例税ですから、所得再分配効果は非常に弱い。福祉給付を強化しなくてはなりません
そうですね。だから、福祉的な支出については、別途、財政的な手当てを、現状の政府債務残高を考慮しながら、考えていくことが大切になります。
所得再分配の手段として、累進課税ではなく、福祉給付を選択したとしても、結局は、高所得者から多くをとり、低所得者に回すということになりますから、累進課税と効果は同じです。
政策選択としては、「所得再分配をこれ以上強化するかどうか」という問題になります。
人々が合理的に行動せず、自分の手取り収入だけを見て行動するなら、あるいは、所得税減税、消費税増税は経済を拡大させるかもしれません。
> 累進課税ではなく、福祉給付を選択したとしても、結局は、高所得者から多くをとり、低所得者に回すということになりますから、累進課税と効果は同じです
世の中に「高所得者」と「低所得者」しかいないという前提でしょうか?
高所得者と中所得者(ここが多い)の負担で、財源の手当て、及び、福祉への手当を考えるのです。「中所得者」という概念がないと理解できないのかもしれませんが、この辺りの人口が比較的多いと考えた方がよいと思います。
高所得者だけをターゲットにする意味がどこにあるのかがわかりません。
> 高所得者だけをターゲットにする意味
強いて言えば「選挙」だけしか考えられませんね。そういう意味なのでしょうか?
また・・・
>人々が合理的に行動せず、自分の手取り収入だけを見て行動するなら、あるいは、所得税減税、消費税増税は経済を拡大させるかもしれません
ここについても中所得者層に消費税という「もう少しの負担」を求める方が、少数の高額所得者に負担を集中させようとした結果、彼らが逃げ出し、また、中所得者の上位層の「向上心」をはく奪する政策よりもはるかに良いように感じます。
これが「合理的ではない」というのでしょうか?
米国には、 株式配当の優遇税制は現在ありません。 給与収入等と合算して課税されます。 高額所得者が香港やシンガポールに移住したという話はありますが、 極めてまれです。 それよりも、 香港の高額所得者が米国やカナダに移住したという例のほうがはるかに多いとおもいます。
agora_inoueさん
前田さんの論は、
「高い所得税は労働意欲をなくす、新規開業を減らす」
「高い法人税は企業が海外に逃げる」
という話を前提にしているのですが、実証研究があるなら教えていただきたい。
自分はwebプログラマーで現在、日本人向け金融情報サイトの運営、起業へ向けてシステムを構築しています。
正直今回の鳩山総理の発言はモチベーション20%ダウン程度の効果はありました。
万が一、法人税率70%になるなんて事があれば絶対に日本では起業しません。幸い英語が使えるので多少無理してでも海外に活路を見出すでしょう。
他の税率については既に結論は出ているはずです。
消費税は日用品を免除し、嗜好品・贅沢品を重税にする。相続税は高く設定した方が富の流動性が上がり、社会が活性化します。子供に資産を相続させるインセンティブはあまりに利己的なような気がします。
minouratさん、コメントありがとうございます。
>米国には、 株式配当の優遇税制は現在ありません
別に「優遇しろ」と言っているわけではありません。むしろ総合課税にするならいいでしょうね(といっても、いろいろと考えないといけないと思いますから、「総合課税」の部分を突っ込まれても困りますが・・・汗)。
でも今日本の金融投資に関する課税は、「優遇」という名がついているものの、確定利付き商品と同率になっているだけ、それを引き上げ、確定利付きよりも高率にしようとしているのです。
何となく、米国・香港等との例とは違うように感じます。
srx600_2さん、コメントありがとうございます。
ほぼ同感です。
ただ「相続税を引き上げる」という部分については、日本の社会風土やその他の事情を考えるとなかなか難しいものがあるように感じます(だから「上げなくてよい」という話をしているわけではないので、ここへの突っ込みは答えられませんが・・・汗)
プチ事業家の視点から意見させてもらいますと、、、
フラットタックス(一律課税)と社会保障の組み合わせがシンプルでベスト、だと思います。
(言うまでもないですが)フラットタックスって「タックスがフラット」という意味ではないですし。(汗;)
単純計算で恐縮ですが、同じ一票の権利しかない同じ国民であっても、所得が10倍あるという理由だけで、納税額も10倍になるのがフラットタックスです。
そもそも、収入の多い人がより多くの税金を支払う仕組みなのですが、フラットタックスを批判する人はその観点が抜けているのではと勘繰りたくなります。(汗;)
また、累進課税うんぬんと言っても、本質的には数式いじりのお話に過ぎないとは思います。理論上は課税比率に^1.1とか^1.2とかの乗数を掛けるのがフェアなのかもしれません。
しかし、フラットタックスは数式がより単純なので、役人の介入余地も少なく、世界的に見て支持されやすく、また制度としての耐力を持っているのだと思います。
私は中国で起業しましたが、日本で起業する気にはなれませんね。
日本には親から受け継いだ会社を一つ持っていますが、税金の高さに閉口しています。特に利益を配当へ回した時の課税は明らかに2重課税であり、国民を舐めた行為にすら見えます。
よって当社では全部役員報酬で配分していますが、税金対策は、経営者の主な関心ごとであり、政策議論でこれを軽んじるのは大変危険です。
「日本で法人税を上げても企業は逃げない?」という仮説については、欧米では決してそんな意見は出ないと思うのですが、日本はやや特殊な環境ですので、確かにそういう要素はあるかも知れません。
しかし現実には、資本金300万円程度の会社で、中国に現地法人を持っている会社を私はいくつも見ましたから、今は中小企業ですが相当にグローバル化が進んでいるとみて良いと思います。
仮に、本社を移す事が出来ない、としても
日本側の利益を減らして、中国側の利益を増やす事は容易ですし、他にも色々な経営上のテクニックがあると思います。
税率について論じるなら、そういう声も大事にしてほしいなと思います。
@んま
martyjapanさん、コメントありがとうございます。
実業界の具体的なお話し、参考になります。
今後ともよろしくお願いいます。
前田氏の意見に若輩ながら賛成いたします。
議論部分とは違うのですが、
>再分配を肯定する限り、高所得者や黒字企業がより多くの税を負担することは避けられない。
という意見に関して、「現在の所得とかで比べる前に、世代間格差を考えてほしい?」
と思います。
私は30代の子持ちです。この子達を産んで良かったのかと常に思います。それ故、教育と貯蓄に力を入れます。少しでも楽になるようにと。
そう思っている所へ「高所得から・相続税を~」と言われると、「今までこんなに借金作り、払った税金より多くの金を貰い、足りないから金を出せ?」と憤りを感じます。
話にもならない事ですが、「高年齢で高資産の方は、資産を売ってでも高額医療と高額福祉を受け入れてくれ。低資産の方は高資産の方に養われてくれ。」と思う自分がいます。
もちろん、こんな事は論ずるものではありませんが、今の若者として声だけは出しておきたいと思いました。
bakawebさん、コメントありがとうございます。
また
>前田氏の意見に若輩ながら賛成いたします
ご賛同、ありがごとうございます。
世代間格差という問題は「難しい」ですね。この点については本論では全く触れていません(汗)
また、今後機会があれば、その点を考察したいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
>彼らが逃げ出し、また、中所得者の上位層の「向上心」をはく奪する政策よりもはるかに良いように感じます。
いや、高税率をかけても、高所得者は逃げないですよ。渉外の専門家を雇える企業とちがって、個人が海外で生活するコストは非常に高い。特に、外国語の障害が大きい日本人はなおさらです。
個人で働く場合はともかく、組織内で働いている限り、所得よりも、仲間内での尊敬や地位の方が、インセンティブになっているという、経営学からの報告があります。累進課税のために可処分所得が伸びなくても、労働のインセンティブ確保はできるかもしれない。
法人がどこで事業活動を行うかを決めるにあたっては、単なる税率だけではなく、社会的インフラ、市場規模なども重要です。
中国では、法的なインフラが整っていないために、取引コストが大きく、事業の障害になっているとも聞きます。
それらを捨象して、単に税率だけを見て、投資先を決めるようでは、非合理的行動と言われても仕方がないのではないでしょうか。
agora_inoueさん
井上先生のアゴラ執筆におけるコラムの内容にはリスペクトしているのですが、「日本人の語学力」を前提に「逃げない」と考えるのは、如何なものでしょうか?
また、「仲間の存在」という部分も、グローバル企業等の場合、果たしてそうなのでしょうか?
そもそも高額所得者層、および、グローバル企業の話を前提に、私のコラムは構成されています。
まぁ、そう考えられるのであれば、仕方ありません。おそらく議論になりません。理論的な話を期待していましたが、残念です。
井上先生との議論内容とは関係ないですが・・・
今、菅副総理が「所得税の最高税率を引き上げ、それを子供手当の不足分に充てる」というニュースが出ました。
そもそも「足らない」なら「やらなければ良かった」と思うし、せめて「所得制限」等を行い、十分な手当てをしてからやるべきであり、「所得税の最高税率」で調整するのは卑怯だと思います。
前田さんのおしゃっていることはごもっともだとは思います。個人の所得税のことはよく分かりませんが、法人税の高さは、先進国ではトップレベルらしいですし。これ以上高くして、日本で頑張ろうという気にはならないでしょうね。
ただ、世論の流れからして「金持ちに課税しろ!」と言う流れはとても理解しやすく共感を呼ぶものだと思います。私も含めて多くの人は「成功者」にはなれていない訳で、ここでも書かれている会社経営者の方の気苦労なんかは一般ピープーには理解できません(体感できませんから永遠に)。ジニ係数の上昇から見ても体感的に格差が広がっているのは確かですし、ソコに課税しろ!と言うのは、感情論としてとても分かりやすいのだろうな~と思います。
ま・・・それを、政治家が言うのはどうなんだろうな~と思いますけど。そういう感情論を排し、冷静に正しい方向へ導くのも政治家の仕事だと思いますので。
マイネル所長さん、コメントありがとうございます。
お話し「ごもっとも」と思います。私自身としても「金持ちならいいか」と思う気持ちがないわけではありません。
ただ、それによって「選挙」を勝ち抜こうするのは「卑怯」ですし、「がんばろう」と思っている有能な方にとって、かなりモチベーションが下がるのは確かだと思います。
今、日本経済にとって必要なのは「活力」です、その源は、イノベーションです。イノベーションを起こして「名をあげれば良い」という人も中にはいるでしょうが、やはり、そこは人間ですから、「おカネ」も必要ですから、そこに高額の税率をかけるというのは「如何なものか」と言わざるを得ないと思っています。
当然、「税金だけで海外に逃げる」ということではありませんが、大きな要因であることは確かですし、今、それで財政を何とかしようとするのは問題だと思います。それなら、消費税論議を国民レベルでしっかりと行うべきだと思っています。
>前田さん
早速の返信ありがたく思います。
一つだけ誤解の無いようにお願いしたいのは、当方決して安易な感情論をよしとするものではありません。感情論として今の民主党の政策論を見た場合、民主党の政策はある種の「やっかみ」だとしても、万人受けしやすいものだろうと思ったまでです。
今の議論が出ているのは、小泉改革のゆり戻しなんだろうな~と思いますが、前田さんが仰られているように、何事にも偏ることも無く、バランスの良い政策を期待したいものです。その中で必然的に消費税の論議は避けられません。多くの国民に痛みを伴う政策ですから、逃げずに国民的議論をしていければと思います。そういう意味で、管副総理が消費税議論に言及したことに関しては、評価してもよいかと思っています。
PS.今回前田さんのご意見に対して肯定的な意味で「ごもっとも」と書いたつもりでしたが、どうやら揶揄するような形で伝わってしまったみたいです。私の文章力の無さを恥じるとともに、日本語の難しさを実感しました。(笑)
くだらない嫉妬で大企業や金持ち虐めをやることは、貧乏人自身のクビを絞めているのです。
むしろ税金を安くして世界中から企業や人材を集めた方が、貧乏人にも恩恵があることを何もわかっておりません。
近視眼的で感情的で冷静さがない嫉妬の感情論で物事を語っているようですから論外です。
ちなみに日本の所得税の最高税率は世界で4番目の高さです。
そして日本より最高税率の高い3ヶ国(デンマーク、スウェーデン、オランダ)では相続税が存在しません。
日本は相続税、贈与税、法人税が世界で一番高く、それなのに更に金持ちを課税強化しろとか書く人は他人の足を引っ張るろくでなしです。
本人に自覚症状がないから恐ろしいものです。
それにしても世界一高い相続税を上げろと主張する人がいるとは悲しいですね。
そんなに日本を悪平等の世界にしたいのですかね。
平等なんて偽善語使うのは世間知らずのハトポッポみたいなおぼっちゃんだけにしてほしいです。
結果だろうが機会だろうがこの世に平等なんて存在しないという現実を勅旨する教育が大事だと思います。
日本の税制の問題点は、
?受益と負担の関係が米国や北欧のように透明ではない
?法人税率が少し高い
?法人税依存が大きいため、景気に左右されやすい
?消費税率が異常に低い
?金融資産と土地資産への課税率の不均衡
?8000万人といわれる中流層の税負担が小さい
なので、
A「所得税の最高税率引き上げ」
B「内部留保に課税」
C「株式配当への優遇税制廃止」
は論外です。Aは?と?と矛盾。Cは?と矛盾。BとCは二重課税なのでナンセンス。「海外に逃げないからやれ」というのは、石原都知事のホテル税のようなもので、懲罰税に等しい。神野税制会長ってマル経出身でしょう、やばいですね。
平均的な所得者から徴税するのも、高所得者から徴税するのも「海外に逃げないからやれ」という点では変わりはありませんよ。
税制は、突き詰めれば、「誰から取るか」ですから、民主主義の多数決で決めることしかできません。
低所得者からすれば、年収500万でも、大きなインセンティブと感じるわけですから、どの所得層を優遇するかという議論には特に意味があるとは思えません。
マイネル所長さん、私の方こそ、何か誤解があったようで、スイマセン。ご理解していたつもりだったのですが・・・
nnnhhhkkkさん、そうですね。金融リテラシーも含め、教育が大切ですね。
jij999さん、論点の整理、ありがとうございました。
disequilibriumさん、増税なら「中所得者も同じ」で「出ていく」ということですね。増税は「出ていく」というインセンティブを強めるという意味では同意ですが、中所得者以下の層の場合はagora_inoueさんの楽観予想の可能性の方が高まると思います。
中所得者にもいろいろなタイプがありますが、サラリーマン層が多く、また、事業者の場合、地域密着型の方が比較的多いので、「増税→日本を逃げ出す」という可能性が比較的弱いと思われます。
また、「広く薄く」が消費税の概念ですから、一部に負担をかけるよりも税収見込みが立てやすいという利点があります。
欠点としては「選挙では勝ちにくい」ということであり、これは経済学的な問題とは違いますので、私は門外漢です。ただ、「多数決で決まる」という意味では、消費税が選ばれることが少ないとは思います。
アメリカで暮らして、初めて日本が見えてきた経験があります。民族≒国籍である日本人が持つ「国籍」に対する考え方は、世界的には特異です。移民がつくった国であり、未だに移民が集まる国だからでしょうか、「民族は変えられないけど、国籍は選ぶもの」でした。選ぶ理由は「迫害からの逃避」「才能を生かすため」「事業の拡大」など様々ですが、多くの人は損得勘定で国籍を選んでいることを知りました。
日本人が日本国に忠実なのは、特異な「国籍観」と言葉の壁です。文科省の英語教育が成功し、日常会話に困らない日本人が増えたら、能力のある順に日本を出て行くことを私は心配しています。ましてメンタルな呪縛がない組織では、「高い法人税は企業が海外に逃げる」ことに確たる証拠はなくとも、それを心配する蓋然性は十二分にあります。
お金は言うまでもなく、企業も個人も自らの資産や才能を最大限に活かせる土地を求めて易々と国境を越えています。それを踏まえて、国外だけでなく、国内からも投資先として選ばれるための制度づくりが、遅まきながら日本には必要です。
urak164さん、コメントありがとうございます。
>「民族は変えられないけど、国籍は選ぶもの」でした。選ぶ理由は「迫害からの逃避」「才能を生かすため」「事業の拡大」など様々ですが、多くの人は損得勘定で国籍を選んでいることを知りました。
重要なお話し、ありがとうございます。勉強になりました。
>「高い法人税は企業が海外に逃げる」ことに確たる証拠はなくとも、それを心配する蓋然性は十二分にあります
この辺りが懸念されるところだと、私も思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
>24. disequilibrium 2010年02月21日 01:51
平均的な所得者から徴税するのも、高所得者から徴税するのも「海外に逃げないからやれ」という点では変わりはありませんよ。
これはカン違いです。
A受益と負担の関係が米国や北欧のように透明ではなく、シワ寄せが高所得者や低所得者へ行っている。
B8000万人といわれる中流層の税負担が小さい
以上より、
中流層への所得税課税は正当ですね。
>28. jij9992010年02月21日 19:39
所得の再分配の「シワ寄せ」は低所得者以外へ行くもので、
>中流層への所得税課税は正当ですね。
これはおっしゃる通りだと思います。
ただ、高所得者への課税も(所得の再分配の文脈では)同じように正当ではないかということです。
前田さん
>>「高い法人税は企業が海外に逃げる」という話を前提にしているのですが、実証研究があるなら教えていただきたい
日本の国税が「タックスヘイブン対策税制」というものを打ち出している事は、法人税強化で本社機能が海外逃避する強力な状況証拠と見る事ができると思います。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/12/0213000000.html
少なからぬ数の日本人が、節税効果を狙って香港に会社登記しています。
>中国では、法的なインフラが整っていないために、取引コストが大きく、
中国政府は馬鹿ではありません。法的インフラは年々整備されており、北京と上海には欧米企業のアジア・ヘッドクォーターが既にたくさん存在しています。
私が見聞きする、香港と中国華南地区の下請け工場の経営者は、本社と国内工場が経営の足を引っ張っている事に苦慮しており、国内工場を閉めて、本社を香港に持ってきたいと考えている人がかなり多いようです。
その通りだと思います。
利益を出せるということは、経済環境の中で生き残れる力を持っているということ。
ただ、日本企業がリスクテイクを嫌う傾向にある場合、利益を得る勝ち組が固定化されてしまう。
それが現在の日本経済の問題では。
企業に積極的にリスクを取らせる(リスクを取らざるを得ない、リスクを取らなければ生き残りもおぼつかない)政策、環境を整備するべきで、「企業に厳しくする」つもりなら、それこそフェアな「制限」なはず・・・
リスクテイクのチャレンジの中で、考えてもいなかった
技術や市場が見いだされることがあり得るのに、その可能性を探らず安全パイばかり見ているから、袋小路に陥るのでは。
投資側の問題もあるでしょうけど。
bobby2009さん、コメントありがとうございます。また、良い資料(URL)をお教えいただき、ありがとうごxざいました。
タックスヘブンについての対策というのは、海外流出を警戒しているということの証拠とみることも可能ですね。
今後ともよろしくお願いいします。
ta_shimさん、コメントありがとうございます。
「リスクに挑む」という姿勢は重要ですね。
それが足らないと私も思っています。それには、やはり、リスクを取って果敢に攻めることによりリターンが出れば、それは「ご褒美」を与えるべきでしょうね。
リターンが上がって、「良かったね、では、税金」という場所ではなかなか頑張ってリスクテイクしないと思っています。
とはいえ、税金等の規制を低めるのは必要条件であり、これだけでは不十分です。後は民間に対して「如何に」リアルに刺激をするかは別に政策が必要なのだと思っています。
企業の利益と配当収入に対する二重課税を避ける方法があります。 それは、 企業の利益でなく収入に課税する事です。 企業は収入に見合っただけの
公共財を使用しているとおもわれますので。
多額の税金を避ける方法もあります。 GoogleとAppleの創業者のように、 報酬の年額を100円にしてもらうことです。
?中国の新興富豪が日本のブランドカメラを買いにショッピングツアーで日本に来たけれど,お目当てのカメラの底を見るとMade in Thailandの文字が…。わざわざ日本まで来て何でタイ製のカメラを買わなければならないのだと怒って帰ってしまいましたとさ。これって,ものすごくオマヌケな話ですね。
?税金や人件費の安いフィリピンで造船所を創ったはいいけれど,従業員は仕事が無くなると職を失うので,次の船の注文が入るまで,のらりくらりと仕事して,今作っている船を絶対に完成させないそうです。
?トヨタブランドでアメリカ製のアクセルの部品を使って車を作ったけれど…皆までいいません。
要するに企業は,学歴の高い,良心的でお客様を大切にする,品質の高い勤勉な日本人労働者をないがしろにして,税金やら賃金の安い外国の労働者を使うと,長年かかって築きあげた“Made in Japan”という輝かしいブランドを一瞬で失うのです。
これは国益としても,ものすごい損失だと思います。企業は高品質な労働力を生み出す日本社会のために,その品質に見合った対価(税,給料)を納めるべきでしょう。
>品質の高い勤勉な日本人労働者をないがしろにして,税金やら賃金の安い外国の労働者を使うと,長年かかって築きあげた“Made in Japan”という輝かしいブランド
そういうものづくり神話を未だに信じている人間が多いから、日本の経済はいつまでも底辺をさまよっているんですよ。
トヨタが非難されているのは不具合そのもののせいではなく、情報を小出しにし対応が後手後手に回ったからです。100%国産の輝かしきプリウスも同じような経緯でリコールですし、そもそも値段が高すぎるとの声が米国ではボチボチあがっています。
液晶TVなどの家電ではサムソン一社に日本勢は歯が立ちません。携帯・パソコン・IT全般については言わずもがなです。
“Made in Japan”がそんなに素晴らしいなら何故売れないんですかね?自分たち以外に良質なものは作れないなんて考えはもはやレイシストです。「良心的でお客様を大切にする,品質の高い勤勉な日本人」どころか「独善的で市場を見ていない、想像力の無い傲慢な日本人」と言うべきですね。
>>品質の高い勤勉な日本人労働者をないがしろにして,税金やら賃金の安い外国の労働者
>>を使うと,長年かかって築きあげた“Made in Japan”という輝かしいブランド
>
>そういうものづくり神話を未だに信じている人間が多いから、日本の経済はいつまでも底辺
>をさまよっているんですよ。
国内の製造業がこんなに空洞化している現在、「品質の高い勤勉な日本人労働者」はもう過去の歴史でしかありません。国内の主力生産力はロボットに置き換えられています。そして中国の労働者は、日本より若くて生産性が高いのが現実です。
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=1941
国内製造業は、エコノミックアニマルと言われた1980年代がピークだったのでしょうね。