待ったなしの公務員制度改革 - 事業仕分けに学ぶ! - 北村隆司

2010年05月27日 10:00

 政府の行政刷新会議が、70法人の82事業のうち、37事業を廃止すべきだと判定し公益法人などを対象とした事業仕分け作業を終えました。

私は好意的に見ている仕分けですが、新聞報道は「従来の事業仕分けは、戦略的視点を欠き、政治ショーの色彩が濃かったが、今回は、国民に身近で、仕分け向きのテーマが多かった。長年、多くの人が疑問を感じながら手付かずだった弊害が是正されるなら、成果と言えよう。」と評価する新聞もあれば「劇場効果もそろそろ限界?来場者も低調に」などと、官僚側のニュースを流す記事も散見するなど評価は分かれています。


官製ニュースを流す報道機関は決まって「1時間程度で複雑な業務を整理するのは乱暴だ」と付け加える事も忘れません。元来なら、事業仕分け的作業は報道機関の基本的な仕事であるべきで、アメリカでも数多くのピューリッツァー賞をこの種の調査報道が獲得しています。日本のジャーナリズムが、自ら官僚の無駄を調べて国民に警鐘を鳴らす時代が早く来て欲しいものです。

天下り官僚の高額な給与もさることながら、公益法人を通じて贔屓の団体組織に事業を独占的に受注させて国民負担を増やし続けた慣習は、日本の競争力を史上初めて韓国以下に転落させ、ジンバブエに次いで世界第二の借金国と言う財政悪化に拍車を掛けた一因となって来ました。

「仕分け対象の70法人のうち、69法人に官僚OB334人が役員として天下りし、国や独立行政法人からの補助金・委託費は、27法人で年間746億円に上り、宝くじの売り上げから事業資金を得ている6公益法人の歴代理事長43人全員が、所管の総務省からの天下りで、9割近い38人は、次官らの『指定席』となっていた事や宝くじや馬券などの売り上げが天下り法人を支える構図」も国民に初めて知らされました。

宝くじ関連の仕分けでは、旧自治省の次官級OBをそろえて防戦に当たった法人側ですが、「都心のオフィス賃料は年間約1億8000万円弱。15人の職員のためになぜ必要か」と質問され、「訪問客側の都合もある」と回答して聴衆から「ふざけるな」の野次を受けた二橋正弘財団法人自治総合センター理事長(自治省最後の事務次官で小泉内閣の事務担当官房副長官を務めた人物)や 「在沖縄米軍基地問題に絡んで鳩山由紀夫首相から知事らにお願いがあるが、その状況で一方的に仕分け対象になるのはおかしい」と筋違いのけん制をして失笑を買った伊藤祐一郎鹿児島県知事(総務省OB)など、回答の質の低さと共に、なりふり構わず自己保全に必死の元高官の「人品骨柄」の卑しさが目立ちました。

ケニア出身の環境保護活動家で、環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが2005年頃に流行らせた「勿体無い運動」を覚えておられるでしょうか?

「勿体無い」を字引で調べますと、仏教用語の「物体(もったい)」を否定する言葉で、物の本来あるべき姿がなくなるのを惜しみ、嘆く気持ちを表しているそうです。

現在では「物の価値を十分に生かしきれておらず無駄になっている状態やそのような状態にしてしまう行為を戒める」意味で使用されるのが一般的で、「勿体無い行為を戒める」仕分け人の質問に答える官僚OBの回答は、勿体無いとは無縁な手続き論を振りかざした「屁理屈」を正論だと信ずる感覚のずれが強く印象に残りました。

無駄を通じて国民を食い物にする官僚OBと国民の利害は「猛獣と餌食」の関係に近く、話し合いで解決出来る範囲を超えています。読売の社説は「適材適所の再就職までは否定しないとしても、天下りと補助金の双方を減らすことが必要だ」と主張しましたが、この主張は国民を餌食として生きる官僚OBを益するに過ぎません。

「官僚個人は優秀だが官僚制度が悪いと」思っていた私ですが、一連の仕分け論議を聞いて、制度に毒された官僚は優秀どころか、百害あって一利もない悪徳官としか思えない様になりました。官僚の自己中心的価値観に対抗するには「みんな党」の官僚制度見直し政策を導入する事がベストです。

ハイチのマザーテレサと言われるカトリックの修道女で医師でもある須藤昭子さんは、最近のNHKの番組インタビューで「既に80歳を超えるご高齢の須藤さんは、そろそろ引退もお考えになっていますか?」と問われ、「職業に引退はあると思いますが、私の活動は生き方ですから、生き方には引退は無いのではないのでしょうか」と優しく答えられた姿が目に焼き付きました。

渡りや談合を武器に国民を餌食として潤沢な生活を維持する官僚OBは、今や天下り先は職業ではなく、官僚の「生き方」の道具にまで堕ちてしまいました、この際、事業仕分けを恒久的な制度として確立し、繰り返し官の浄化を図ると共に、官僚の失業などは一切配慮せず、国民の利益だけを考えた公務員制度の構築をすべき時です。

                 ニューヨークにて     北村隆司

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