高校生の就職を妨げるもの - 長井利尚

2010年10月25日 14:54

各都道府県の労働局が集計した、来春卒業予定の高校生の就職内定率(9月末現在)が発表され始めました。いずれも30%台から40%台であり、極めて低調です。

山形県  高校生37.1%
茨城県  高校生37.5%
長野県  高校生42.2%
大分県  高校生44.1%
鹿児島県 高校生37.2%

記者クラブメディアは、就職内定率低迷の原因を「景気の悪化で求人数が減ったため」としていますが、肝心な部分が抜け落ちた欠陥報道だと思います。


私は以前の記事に書いたとおり、8年前から自社で新卒採用業務に携わっています。
新卒採用業務を始めた当初、自社には創業家出身者以外に大卒以上の学歴を持った社員がおらず、高卒が多すぎて人員構成上バランスが悪い状態でした。
そこで私は、大学生や大学院生の新卒採用を自社で初めて行うことを決めました。
その結果、30名規模の会社で大学卒12名、大学院卒1名となり、いびつな人員構成は解消されました。

今後は、しばらく止めていた高卒者の新卒採用も復活させる必要があります。しかしながら、そこには壁が立ちはだかっています。
簡単に言うと、高校生を採用する場合、企業側の負担が大卒者の採用とは比べ物にならないくらい大きいのです。

具体的な採用スケジュール(群馬県の場合)は以下の通りです。

1.卒業前年の5月下旬から6月上旬にハローワーク主催の企業向け説明会に参加
2.6月20日からハローワークに求人票を提出可能
3.7月1日からハローワークが内容を「審査」した求人票を各高校に提出可能(注1)
4.7月20日頃から三者面談や会社見学が始まる
5.8月上旬から各高校では「選考会議」が始まる(注2)
6.9月5日から各高校が企業側に採用関係書類を送付
7.9月16日から採用試験が解禁(注3)

(注1)求人票提出は郵送も認められているが、担当教諭に手渡ししないと、高校生の目に入らないように放置される場合が多い。
(注2)「選考会議」は「誰をどの会社に応募させるか」を決める、教諭たちによる談合。
(注3)高校生は複数の会社の採用試験を同時期に受けることは禁止されている。不採用通知が来ない限り、2社目を受験できない。

大卒者を募集する場合、Webを中心とした採用媒体を通して、学生が自由に採用試験に応募することができます。
高校生を採用するためには、頻繁に各高校の進路指導教諭に挨拶に行き、個人的に仲良くなっておかないと、学生に自社を紹介してもらうことはまず無理です(就職氷河期を除く)。

中小企業の場合、採用担当者が何人もいることは稀であり、他の業務と兼務していることがほとんどです。
費用対効果を考えれば、高校生の新卒採用に取り組むことのできる会社は少ないですし、「選考会議」に象徴される前時代的な談合システムには付き合っていられません。
高校生の募集に、当事者ではないハローワークが介入するのも意味不明です。

「高校生の内定は1人1社」などという申し合わせを廃止し、大学生と同様の自由応募を解禁するべきです。
そうすれば、高校生が希望の職に就ける可能性は高まるものと私は確信しています。
(長井利尚 株式会社長井精機取締役 twitter)

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑