「事業仕分け」で明らかになった埋蔵借金、問われる政治の姿勢

2010年11月09日 08:00

もはや、財政は危機的な状態にある。そのような状況の中、今年10月下旬、「事業仕分け」第3弾前半(特別会計)が終了した。そこで、明らかになったのは、交付税特別会計に代表されるような34兆円にも及ぶ「埋蔵借金」である。


また、「埋蔵金」の代表格であった財政投融資特別会計の積立金は、2005年度末には約20兆円もあったが、景気対策や年金の国庫負担の拡充などによって取り崩され、いまでは概ねカラの状態になりつつある。
あまり知られていないが、この積立金は、金融機関の自己資本に相当し、将来の金利変動リスクに備えたもので、もし今後急速な金利上昇に見舞われると同会計は逆ザヤとなって火だるまになる。そのツケは、最終的に国民の負担となってかえってくるのだ。

さらに、外国為替特別会計も約20兆円の積立金を有しているが、これまでの為替介入で約80兆円の外貨資産が積み上がっているものの、最近の急激な円高で約35兆円もの為替差損が発生しており、実質的に約15兆円の債務超過であることが明らかとなった(2010年9月末)。

以上から、日本財政は「借金漬け」の状態で、歳出削減の限界も次第に明らかになりつつあることから、財政危機の脱却には増税以外に策はないことが、改めて明白となった。

昨今の衆院選や参院選で、何十兆円もの財源が捻出できると主張していた政治家や識者は、この現実をどう受けとめるのだろうか。
そもそも、一般に公表されている特別会計のバランスシートを少し確認すればすぐに分かる話だか、今ごろになって気がついたのか、始めから分かっていたのか。あるいは、「まだ埋蔵金はある」と主張するのか…。

しかし、今回の事業仕分けで明らかになった債務は、特別会計が抱える「埋蔵借金」の一部でしかない。拙書「2020年、日本が破綻する日」(日経プレミアシリーズ)で説明しているように、社会保障(年金・医療・介護)が抱える「暗黙の債務」は対GDPで約230%もある。これはGDPを500兆円とすると、約1150兆円に及ぶ債務であり、この債務と比較すれば、今回の事業仕分けで明らかとなった債務は遥かに小さい金額に過ぎない。

繰り返しになるが、もはや財政に残された時間は少ない。いまこそ、政治の姿勢が問われるときである。

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