もともと我々の領土という愚 ‐ 石水智尚

2010年11月29日 10:00

根津修二氏が尖閣諸島と北方領土について、「もともと我国の領土」とか「我国の権利」などという主張は”お互い様”と述べましたが、私も同意します。人類が出現する前から地球の陸と海は存在しており、もともとどこかの国の領土であった土地はどこにも有りません。


ある土地に視点を固定して、5000年くらいの過去から現在へと時間軸を移動すれば、その土地を領有していた国家はいくつも存在します。たとえば中国の黒龍江周辺は、中国・モンゴル・韓国・ロシア・日本が、それぞれ領有していた歴史を持っています。この土地はいったい、「もともと」はどの国の領土なのでしょうか?明確なのは現在の状態だけです。すなわち、黒竜江(アムール川)の西側を中国が実行支配し、東側をロシアが支配しています。それらの土地を、中国とロシアはそれぞれ、自国の領土と呼んでいます。

それぞれの国の国民が歴史を振り返り、もっとも領土が広かった時代、一度でも領有した土地を、「もともと我国の領土」と主張したらどうなるでしょうか。もともとの領土を回復するのは我々の「権利」であり、「1ミリも妥協しない」と主張したらどうなるでしょうか。武力によって再び地図の色を塗り替える以外に解決の手段はありません。しかし戦争で領土を取り戻す事は、21世紀に相応しい手段とはいえません。特に、尖閣諸島のような無人島、北方領土のような人の居住に適さない環境の領土については、根津氏が指摘されるように、国民の利益を中心に考えるべきではないかと考えます。

根津氏はコメント欄で、無駄な議論を避けるためか、金銭的利益以外に面子のようなものを含めておられますが、私はもっとストレートに、政府は経済合理性を中心に判断すればよいと考えます。北方領土をギブアップしてサハリンの天然ガス採掘権をもらうとか、尖閣諸島を共同統治にして海底油田の共同開発をすぐに始めるとか。どんなにすごい海底資源があっても、領有問題でもめている間は、日本だけで海底資源の採掘はおろか、島周辺での漁もままならない状態が続きます。これらの領土を日本が取り戻す困難さや、争う事によるデメリットと、妥協する事により得る経済的メリットを国民に説明して、説得するのが本来の政治家の仕事であろうと考えています。

ところで、尖閣諸島の領有に関して、興味深い情報があります。尖閣諸島を日本へ編入したのは、wikiによれば、
1885年以降、現地調査を何度も行った結果、無人島であり、中国・清朝の支配下にもないと確認
1895年、日本の領土に編入することを閣議決定
とあります。

編入したすぐ後の1900年5月に、尖閣列島の名付け親であると思われる沖縄師範学校の黒岩恒氏が、島の探検に行きました。その時に製作した島の地図を見ると、黒岩氏はこの島に、「釣魚嶼」という中国名を用いています。この島は日本人だけでなく、琉球人にとっても、馴染みのない島だったようです。つまり、この島は日本人よりも、琉球人よりも先に、中国人が見つけて名前を付けていたという事です。
石水智尚インターネットソリューションズリミテッド 役員)

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑