本当の就職難対策とは - 小林秀行

2011年01月21日 11:27

トヨタの新しい新卒の雇用方針が話題になっている。そのニュースとは、2012年4月入社の新卒採用から、大学・大学院を卒業して3年以内の既卒者 を、新卒扱いとして採用すると発表したこと。日本企業では「新卒」という看板の価値は異常なまでに高い。そしてそれこそが、就職活動の早期化や無意味な大 学の留年を引き起こしてしまっている原因だ。こうした問題に政府や日本経団連は産業界に要請を出しており、今回トヨタはその要請に沿って採用するに至ったのだ。


「卒業3年以内は新卒扱い」というのはいかがなものか。私はこれが、周囲の人を見て良くない方向に作用するのではないかと感じている。その代 表例として、「大手病」学生の存在があげられる。大手病とは、ブランドや安全ばかりを重視し、大企業しか受けない状態のこと。自分の欲求ばかりが先走り身 の丈にあわない企業ばかり狙い、そして不採用を繰り返す。今回の雇用方針は、このモラトリアム期間をむやみやたらに伸ばすだけではなかろうか。一部の学生 のことと思われるかもしれないが、実は優秀大学ほどこの傾向はあまりに多い。

就職難の早期改善は急務であることは間違いない。就職氷河期のというのも数値を見れば明らかだ。しかしながら本当に職がないというわけではな いだろう。農業、介護、中小企業など、まだまだ働き手が足りなくて困っている産業はたくさんある。本当に必要なのはこうした雇用のミスマッチの是正であ る。新卒期間を延ばしたところで雇用の受け皿が広くなるわけではなく、就職できない学生がただ単に後回しになるだけだ。こう考えれば、先日の新規就農者へ の100万円の支給制度のほうがよほど評価できる。

私はこの制度が就職難への対応策というより、むしろ再チャレンジ文化を作るための政策色が強いように感じる。再チャレンジ制度も同じく大きな 課題になっており、同日のニュースにも雇用の安全網のスリム化への見直しが行われたばかり。何にせよ、より良い雇用制度ができるよう皆で議論していかなけ ればならない。
(小林秀行 神戸大学経営学部 忽那ゼミ卒業生)

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