名古屋トリプル選挙の意味するもの

山口 巌

名古屋トリプル選挙が昨日行われた。結果は予想通りである。唯、特筆すべきは、河村前市長の、民主党支持層の80%もの得票を得ての圧勝では無いか。

河村前市長の主張は至ってシンプルである。市議報酬の半減に代表される、無駄を省く事で、市民税の10%減税を達成し、結果、地域の経済を活性化するというものである。

無駄を極力省いた、コンパクトで効率的な行政に拠り、地域を再生すると言っても良いかも知れない。

いずれにしても、河村前市長の主張が、名古屋市民に圧倒的に支持された事は選挙の結果より明らかである。

一方、政権与党民主党及び、最大野党自民党の推薦する候補は名古屋市長選挙、愛知県知事選挙共に惨敗した。

自民党は旧態依然の「利益誘導」。一方、自民党に代わって政権の座に就いた民主党は「バラマキ」。何れも中央政府が一旦徴税し、此れを地方に配分する古いシステムである。

今回の選挙はで特筆すべきは、名古屋市民が、そして愛知県民が、古く成って機能しない、此のシステムに「NO」を突き付けたと言う事では無いか。

今回の惨敗を受け、民主党幹部は「河村台風にやられた」との、お得意の妄言を吐いているらしい。何時もながら、実に「疎い」政党である。

彼らが説明する様な、属人的、局地的、そして一過性の事象では無い筈である。

名古屋市民、愛知県民は、大きくて不効率な行政では無く、コンパクトで無駄のない行政を選択したのでは無いか。機能しない中央集権より、自らの声を直接反映出来る地方分権を、より好ましいと選択したのでは無いか。「利益誘導」や「バラマキ」を忌避し、あるべきものとしての「自立」を選択したのでは無いか。

4月に統一地方選挙が予定されている。雪崩現象が起きる事ほぼ確実で、内輪揉めに明け暮れ、大事な事を何も決める事の出来ない、民主党の大敗は確実であろう。

統一地方選挙に於ける大事なポイントは、今回の愛知県、名古屋市の如く、自立を志向する地域と、相も変わらず中央政府からの「補助金」を「おねだり」し続ける地方に、日本の地域が2極分化するのではと言う仮説である。

結果、国論を2分する議論と成るかも知れない。ある意味、政権からの陥落が確実な民主党の惨敗よりも重要な話であろう。

民主党の極度の無能は国民に深い失望を与えた。

しかしながら、此れに危機感を覚えた国民が、4月の統一地方選挙に於いて、大きくて非効率な行政から小さくて無駄の無い行政に、中央集権から自らチェック可能な地方分権に、おねだりを止め、利益誘導やバラマキから自立を選択する事と成れば、正に雨降って地固まるであり、結果、民主党は将来歴史家より、「救国の党」と称される事に成るかも知れない。

コメント

  1. haha8ha より:

     常々思うのですが、「党」っているのでしょうか?
    タクシーの中でみた今朝のNHKテレビでのあいまい情報ですが、市長、県長いずれにも、自民・民主支持者の多くが投票しています。これで推薦候補?無垢なこどもならいうでしょう、「裸の王様!裸の推薦!」と
      
     マニフェストについても、個人単位で作成するべきではないでしょうか?二大政党なんてゲーム理論からも低きに流れるのがオチ。ただし、新人候補がいきなりマニフェスト全部作成は無理だと思うので、「民主労働」系、「小さな政府」系などある程度のテンプレートはあってもいいと思います。当然、再選挙時の評価も個人単位。
     
     制度としては原始的なシステムでしょうが、原始人、アニマルに戻るのも悪くない、と思います。

  2. Toshihisa NAGAI より:

    山口 巌 様

    初めまして。私は高崎市で原発や航空機関連の部品メーカー役員をしております、長井利尚と申します。

    貴殿の慧眼には、いつも胸のすく思いがします。

    弊社は、METIや群馬県から、様々な賞を頂戴しています(元気なものづくり300社、群馬県モデル工場など)。

    弊社を訪問する公務員の皆さんには、ほとんど私が応対をします。

    彼らは必ず「行政に対するご要望は何かございますか?」と質問してきます。

    ここ数年、私は毎回同じ提案をしています。

    「関東地方でもいいし、南関東が嫌がるなら北関東三県でもいいのですが、日本国から独立してください。」

  3. Toshihisa NAGAI より:

    彼らは、「そんなことできるわけないだろ。お前なんかさっさとHKかSGに転居してしまえ」という表情を浮かべているように見えます。

    マラヤ連邦から追い出され、独立を強いられたシンガポール。2007年には、一人当たりGDPで日本を抜き、アジアでもっとも豊かな国になりました。

    かつてシンガポールは、資源も何もない、貧しい国でした。しかしながら、知恵を振り絞って疾走してきました。中には同国を「明るい北朝鮮」と揶揄する人もいます。でも、私はそれが嫌ならば渡米するなどのオプションがあります。リー・クァンユー顧問相、息子のリー・シェンロン首相に至る同国首脳は、一言で表現するならば合理的。私は彼らを心から尊敬しています。リー顧問相はまだお元気ですから、「関東州」もしくは「北関東州」の初代大統領ポストに「お雇い外国人」としてお願いしたいくらいです。関東もしくは北関東のベンチャー企業は、東証を素通りしてSGXで上場するのが当たり前になるでしょう。

    北関東3県だけでも、航空自衛隊百里基地(茨城空港)、陸上自衛隊相馬原駐屯地などがあります。海上自衛隊基地がないのは残念ですが、横須賀基地を管轄するJMSDFと軍事協定を結べばいいのです。高崎には原子力研究組織もありますから、核武装にも役立つのではないでしょうか?

  4. Toshihisa NAGAI より:

    まもなく、高崎と常陸那珂港を結ぶ、北関東自動車道が全通します。これができる前には、高崎から茨城に行く際に、関越・外環・常磐自動車道を遠回りしていくのが、自動車移動では最も合理的とされていましたが、過去の話になります。特に外環は交通量が減るはずです。

    群馬・栃木・茨城の北関東三県は、一般には無名ですが、世界的な技術力を有する中小企業が少なくありません。3月19日の北関東自動車道全通を契機に、このエリアの経済力は伸びると予想しています。

    高崎市では、6期24年に達する、在任期間全国最長の市長が引退します。古い自民党そのものの群馬県知事には呆れ果てていますが、高崎市長選に出馬を予定している方々3名の主張には、根本的な市民生活の問題解決への糸口を見出すことができません。誰に投票したらいいのか、判断できません。3名とも福田系というのも、ジョークにしてはきつすぎます。

    河村たかし氏のような方が高崎市長選に出馬すれば、ポピュリズムと言われようが、私は支持します(高崎経済大の八木先生、ごめんなさい)。

    民主・自民両党に対する根深い不信を背景に、地方の反乱が燎原の火のように全国に飛び火することを願ってやみません。

    もっとも、その頃、私が日本に住んでいる保証はどこにもないのですが・・・。