所得税はフラット10%にして大幅な税収アップ

2011年03月10日 00:51

確定申告の季節である。自営業者や副業収入のあるサラリーマン、また所得が2000万円を越えるサラリーマンは毎年この時期税務処理で忙しい。筆者も様々な書類を整理して税理士に渡したところである。筆者は常々税制が国の形を決めると思っている。日本がこれからのグローバル経済の中で生き残っているいくためには、思い切った税制改革が必要だ。がんばった人に報いるフェアな税制が求められているのである。政府はそういったフェアな競争のフレームワークを提供しさえすれば、優秀な日本人は自ずと創意工夫を重ねて世界が驚くようなモノやサービスを次々と産み出していくだろう。


そこで今回は所得税の改革案を提示したい。アジアでは香港やシンガポールを筆頭にスタンダードになりつつあるフラット課税、つまり定率の所得税である。アジア諸国間で世界の優秀な人材を獲得するための競争が激化している。いわゆる”War for Talent”に日本も巻き込まれつつあるのだ。日本も優れた人材獲得のため、世界の趨勢となっている低率のフラット課税を可及的速やかに実施するのが喫緊の課題となっている。

筆者は所得税を10%フラットにするのが理想だと考えている。これで個人に対する課税では香港やシンガポール、それに韓国や台湾といったアジア諸国に対抗できる。また日本は深刻な財政問題を抱えており、歳入を増やすことが大きな課題だが、所得税を定率の10%にすることによって大幅な税収アップが可能である。

フラット10%の課税で大幅な税収アップが期待できるのだが、それは何も労働インセンティブが高まるだとか、ラッファー・カーブを持ち出すまでもなく、現在の日本の平均所得税率はそもそも10%よりはるかに低いという事実による。国税庁による平成21年分民間給与実態統計調査によれば、平成21年末での給与所得者数は5400万人。民間の事業会社が払った給与総額は192兆円。192兆円から支払われた所得税は7.5兆円。平均所得税率はなんとわずか3.9%なのである。つまり所得税率を10%に引き上げれば、10兆円以上の税収増が簡単に実現できるのである。

日本は低・中所得層の税負担が極めて軽い一方で、所得税の最高税率(所得の1800万円以上の部分にかかる税率)が住民税とあわせて50%と世界で最も重い。大多数の日本の給与所得者が所得税を払っておらず、過酷な税が課される高所得者層の人数は非常に少ないので、平均した所得税率はおどろくような低率となっている。これが高所得者層の海外移住を加速させ、また、高所得者の海外から日本への流入を阻んでいる。そして結局はそういったツケが低・中所得層に返ってくるのである。愚かなポピュリズム政治ここに極まり、だ。

社会の共通経費を皆でフェアに負担しあうのは当然のことである。一部の高所得者にだけ過酷な重税を課すというのは、いかなる理由をもってしても正当化することはできない。また、そうやって金の卵を生むガチョウを日本から追いだしていくことは、結局は税負担を巧妙に逃げたと思っている層をも苦しめていくとになるだろう。

このように所得税をフラット10%にして、がんばる人に報いる政治をするという強いメッセージを世界に発すれば、日本はまだまだ世界から優秀な人材を惹きつけることができる。何よりそれは抑圧されていた日本人の創造性を解放することでもあるのだ。経済が発展したくさん金持ちがいる国のほうが、弱者を守る社会福祉がはるかに充実するだろうことはいうまでもないだろう。

参考資料
今後は普通のサラリーマンが一番増税される、金融日記
「租税競争」に日本は生き残れるか、池田信夫、Newsweek
平成21年分民間給与実態統計調査、国税庁

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